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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第5章 対決、断罪官

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第68話 アリシア達の事情

 お待たせしました。6日ぶりの投稿です。


 思わぬ形で変な……否、新たな称号を入手したショックにより、その場に崩れ落ちた春風。そんな春風に、


 「あ、あの、大丈夫ですか?」


 と、アリシアからフィオナと呼ばれた少女が話しかけてきた。


 その声を聞いて、春風はスッと立ち上がると、コホンと咳き込んで、


 「失礼。もう、大丈夫です」


 と、真面目な表情で答えると、アリシアの方を向いて、


 「アリシアさん」


 「な、何か?」


 「取り敢えず、色々と聞きたい事がありますので、よろしいでしょうか?」


 「……わ、わかった」


 その後、春風はアリシアから全ての事情を聞いた。


 まず最初に聞いたのは、アリシアの仲間の少年少女達の名前だ。


 少年少女達は全部で5人。最初に森の前で春風に剣を向けた少年の名はアデル。春風に矢を放った少女の名はケイト。斧を持った体格の良さそうな少年、クレイグ。眼鏡をかけた長いおさげの少女、ルーシー。そして、アリシアの妹、フィオナ。彼らは全員幼馴染みで、歳は15歳だそうだ。


 次に3人の幼い子供達。元気いっぱいな8歳の少年、イアン。同じく元気いっぱいな8歳の少女、ニコラ。2人とは対照的に、大人しい性格の小太りな7歳の少年、マーク。アデル達と同じく、彼らも幼馴染みだ。


 小屋に住んでいるのは現在この9人だけで、大人は1人もいないことに気づいた春風は、


 「大人の人は今どこにいるのですか?」


 と尋ねると、イアン、ニコラ、マークを除いて、アリシア達は全員表情を暗くして、誰1人口を開くことはなかった。


 その顔を見て何かを察した春風は、アリシアの方を向くと、


 「それじゃあアリシアさん。あなたが『元・断罪官』を名乗った理由について教えてくれませんか?」


 と尋ねた。その質問にアリシアは、


 「……わかった」


 と答えると、自身の生い立ちと共に、その理由を語った。


 アリシアは元々、エルード辺境の村で両親と妹のフィオナと共に穏やかに暮らしいた。


 しかし、15歳になったその日、神々より「聖戦士」の職能を授けられた。通常の戦士の能力に、光属性のスキルが追加された特別な職能だ。


 そしてそれからすぐ、彼女は五神協会にスカウトされる事になり、故郷を離れてセイクリア王国にある五神協会の総本部で、その力を磨いてきた。


 それから数年後、訓練を経て高い能力を持つ事を証明したアリシアは、協会の中でも精鋭部隊と言われている「断罪官」に配属される事になる。


 「神の名の下に悪しき異端者を討伐する」


 を理念に動く断罪官に入った事を、アリシアは最初は誇らしく思っていた。


 それが、故郷の村にいる大切な家族を守る事に繋がっていると、この時はそう信じていた。


 しかし、数々の任務をこなしていくうちに、アリシアの信じていた思いは、少しずつ壊れていった。


 何故なら、断罪官の任務は、「異端者とその周囲の者達」を殺す事であった。そこには当然、老人や女子供も含まれていた。彼らを問答無用で殺していく他の隊員達を見てアリシアは、


 (自分は本当に、この組織にいていいんだろうか?)


 と悩む様になり、精神を擦り減らしていった。


 そして運命のその日、アリシアは、弾けた。


 それは、とある村に現れた異端者を討伐するという任務だった。


 その村の場所を聞いて、アリシアはショックを受けた。


 そこは、アリシアの故郷の村だった。


 アリシアは信じられないという思いを抱えながらも、所属している部隊と共に久しぶりに故郷を訪れた。


 その後、目的の異端者を発見すると、アリシアを除いた部隊は、一斉に「討伐」という名の「虐殺」を開始した。


 アリシアは次々と殺されていく村人達を見て、


 (い、嫌だ。もう、こんなの嫌だ!)


 そして、アリシアの両親が殺され、フィオナにもその手が迫ったその瞬間、


 「やめろぉおおおおおおおっ!」


 アリシアは持っていた武器や磨いてきた技術で、その部隊を1人残らず殺した。


 全てが終わった時、残っていたのはアリシアとフィオナ、そして、その幼馴染みのアデル達と、幼いイアン達だけだった。


 アリシア達は殺された村人達を全て埋葬すると、村に残っていた使えそうな物と僅かな食糧を持って、新たな部隊が来る前に村を後にした。


 他の町や村に保護を求めようかとも考えていたのだが、断罪官に狙われていると知られたら、自分達だけじゃなく他の人にも被害が及ぶと思い、それは出来なかった。


 そして暫くの間放浪していると、偶然立ち寄ったシャーサル近くの森の中に小屋を発見したので、アリシア達はここで暮らす事にしたのだったが、その頃には食糧がつきかけていて、シャーサルで食糧を買うことも出来ず、また魔物を討伐しようにも、まともに戦えるのはアリシアだけで、戦闘系職能を授かったばかりのアデル、ケイト、クレイグ、ルーシーでは戦力にならず、オマケに慣れない旅の疲れの所為かニコラが病気になってしまい、困り果てたアリシア達は最後の手段として、「盗む」という結論に至り、シャーサルの住人が寝静まったあの夜、アデル、ケイト、クレイグが都市内部に侵入し、実行に移したのだった。

 

 

 


 


 


 




 

 

 


 


 


 


 


 


 


 

 


 

 今回登場したアリシアの仲間達について考えているうちに、結構間が空いてしまいました。遅くなってしまい、誠に申し訳ありませんでした。


 今回の話を読んで、もし何かおかしな部分がありましたら、遠慮なく教えてください。

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