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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第16章 決戦前

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第542話 大報告会4


 それから春風達は、ギルバートら集まってきた人達に、セイクリアで起きたことを全て話した。


 当然、そこには敵側に寝返り、「天使」となった勇者(クラスメイト)達のことも含まれていた。


 そして、報告が終わると、


 「あ、あいつらぁ! ぜってぇ許さねぇ!」


 最初に声をあげたのは、鉄雄だった。その顔は、寝返ったクラスメイトーー切嗣達に対する「怒り」で真っ赤になっていた。


 また、恵樹や美羽をはじめとした他のクラスメイト達も、鉄雄と同じように怒りで顔を赤くしたか、敵になったとい事実に、ショックで顔を真っ青にしていた


 そして、担任教師である小夜子はというと、


 「そ、そんな……」


 と、クラスメイトらと同じく顔を真っ青にしてその場に膝から崩れ落ちて、


 「私は……教師失格だ」


 と、両目からボロボロと大粒の涙を流し、それを見た美羽達は、


 『せ、先生!』


 と、すぐに小夜子の側に駆け寄った。


 それから少しの間、その場が重苦しい空気に包まれていると、


 「……私の、所為ですね」


 と、それまで黙って報告を聞いていたクラリッサが口を開いた。


 その言葉を聞いて、


 「お、お姉様?」


 と、側に立っているイブリーヌも口を開くと、


 「私が、『勇者召喚』をした所為で、このようなことになってしまったのですね」


 と、クラリッサも小夜子と同じようにその場に膝から崩れ落ちて、


 「……ごめんなさい」


 と謝罪すると、両手で自身の顔を覆った。


 すると、


 「ま、待つんだクラリッサ! 元を辿れば、其方に『勇者召喚』をするよう命じたのは、父であるこの私だ! ならば全ての責任は、この私にある!」


 と、ウィルフレッドがクラリッサの側に駆け寄ってそう言った。


 そんなウィルフレッドを見て、


 「あなた!」


 「お、お父様!」


 と、マーガレットとイブリーヌは大慌てでウィルフレッドの側に寄った。


 その様子を見て、誰もが「ど、どうしよう!」とオロオロしていると、


 「いいえ。原因は、俺ですよ」


 と、春風がそう口を開いたので、周囲の人達が「え?」と一斉に春風を見た。


 春風は話を続ける。


 「浦部君達の怒りは、間違いなく俺に向けられたものでした。当然ですよ、『勇者召喚』が行われたあの日、事情がなんであれ、俺はみんなに嘘をついて、謁見の間で暴れて、みんなのもとを去ったんです。だから、彼らがあんな風になってしまったのは、俺の責任です」


 そう言って、春風は「すみません」と頭を下げた。


 そんな春風を見て、周囲の人達も「そ、それは……」とどう答えればいいか迷い始めた。


 その時、


 「ダァア! 暗い! 暗すぎるぞお前らぁ!」


 と、顔を真っ赤にしたギルバートが、まるで怒りに任せて噴火したかのように叫んだ。


 その後、ギルバートはクラリッサを見て話しかけた。


 「おい、()()()()!」


 「は、はいぃ!」


 ギルバートに()()()()()()みたいな名で呼ばれて、クラリッサはビクッとなって返事をすると、


 「お前が『勇者召喚』を行なったのは、大事な家族と、セイクリアの国民を守る為じゃなかったのか!?」


 と、ギルバートに問われて、


 「え、そ、それは……」


 と、クラリッサは答えようとしたが、


 「で、春風!」


 それを遮るかのように、ギルバートは今度は春風に向かって話しかけてきたので、


 「な、なんでしょうか?」


 と、春風もビクッと体を震わせた。


 しかし、ギルバートは止まることなく、


 「お前は、大事なものを守る為にこの世界に来た。そして今、この世界で出来た大事なものを守る為に戦おうとしている、違うか?」


 と、尋ねてきたので、


 「……はい」


 と、春風はまっすぐギルバートを見て返事した。


 それを聞いたギルバートは、更に話を続ける。


 「そうだろう、そうだろう! だったらお前ら、全然悪くねぇ! ていうか、話を聞く限りじゃあ、そいつらはお前の『事情』を知ってたんだよな?」


 「ええ、そうですけど」


 「そうとも! そいつらはお前の『事情』を知ったにも関わらず、敵側に寝返ることを選んだ。だったら悪いのはそいつらだ! 違うか!?」


 ギルバートにそう問い詰められた春風は、若干怯えながら、


 「それは、そうかもなんですけど……」


 と、気まずそうに答えたが、


 「『かも』じゃねぇ! 『そう』なんだ!」


 と、ギルバートに怒鳴られてしまい、春風は「えぇ?」と冷や汗を流していると、


 「ていうか、お前このままそいつらを放っておくつもりはないんだろ?」


 と、今度は真面目な表情になったギルバートに尋ねられたので、


 「勿論、そんなつもりはありませんよ。浦部君達は……あいつらは、明華まで巻き込んだんです。だったら、一発ぶん殴ってやります」


 と、春風は真剣な表情で即答した。


 そんな春風にギルバートは「よく言った」と言うと、


 「それなら僕も一緒にやるよ、クラスメイトだし」


 と、水音が春風の肩に手を置いてそう言い、

 

 「いや、それは僕がやらなきゃいけないことだ」


 と、翔輝も春風の肩に手を置いた。


 更に、


 「俺達だっているぜ! 同じ『勇者』として、あいつらはぜってぇ許さねぇからな!」


 「ええ、当然よ!」


 と、鉄雄や美羽、クラスメイト達も「うんうん!」と頷いた。


 そして、


 「……そうだな。みんなの言う通りだ」


 と、涙を拭って気持ちを落ち着かせた小夜子がスッと立ち上がり、春風達を見回しながら、


 「私も、裏部達を止めたい。みんな、こんな情けない先生だけど、力を貸してほしい」


 と、頼み込み、


 『はい!』


 と、春風達はそう返事した。


 そして、ギルバートやウィルフレッド達はそんな春風達を「フフ」と微笑みながら見つめるのだった。


 


 


 


 

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