第541話 大報告会3
「さてと。じゃ、後はお前だけだぞ」
水音の報告が終わって、ギルバートが春風に向かってそう言うと、春風はビクッと体を震わせた。
そんな春風を見て、
「え、おい、どうした春風?」
と、気になったギルバートが尋ねると、春風は顔を真っ青にしながら答えた。
「いえ、ちょっと自分の報告に自信が持てなくて……」
すると、
「おいおい、ハル! んなことねぇだろ!」
「そうだよハルッち! 君だって凄く強くなったんだから!」
「フーちゃん自信持って!」
「そうよ、シャンとしなさい!」
と、鉄雄、恵樹、歩夢、美羽に肩を掴まれてユッサユッサとされたので、
「う、うん、わかったよ……」
と、春風はそう言って深呼吸すると、
「じゃあ、報告します。まずは俺達が向かった場所は……」
春風はみんなに向かって報告を始めた。
自分達のレギオンの拠点の地下にあった扉から入り、その先で春風の「過去」に触れたこと。
そしてその奥で、ハンターギルド総本部長フレデリックの正体が、最初の固有職保持者「賢者」のフリードリヒだという事実を知り、彼と直接戦い、見事勝利したこと。
その後、「天使」となったモーゼスが現れて、操り人形状態になったクラスメイト達や、ルークとダリアに襲われて、仲間達が彼らを止めている間に、更に奥にいるエルードの「意思」そのものであるクロエルとシロエルに出会い(といってもシロエルとは既に会っていたが)、彼女によってフリードリヒから裏スキル[暴食]を受け継ぎ、見事「賢者」へのランクアップを果たしたこと。ああ、因みにその時一緒に彼岸花も「彼岸花・神ウチ」へパワーアップして、ジゼルと精霊の彼岸花が融合し、「ジゼル・リコリス」となったことについても報告した。
全ての報告を終えて、
「……とまぁ、俺からの報告はこんな感じでして……」
と、春風が気まずそうにすると、
「「いや、十分凄いから!」」
と、リアナと水音から突っ込みを入れられた。
「え、えぇそうかな……」
と、春風が困った顔をすると、
「何言ってんだ。2人の言う通り、十分凄いと思うぞ俺は」
「そうだな。私なんか未だに『信じられない』と思ってるよ。まさか、『最初の固有職保持者』が今もこうして生きているとはな」
と、ギルバートとウィルフレッドは手で自身の顔を覆った。特にウィルフレッドは報告を聞いてから、横で座っている「最初の固有職保持者」ことフリードリヒをチラチラと見ていた。そんなウィルフレッドに、
「アハハ、どうも」
と、フリードリヒは笑顔で手を振った。
そんな中、
「むぅ……」
と、リアナは何やら不思議なものを見るような目で、春風の隣で浮いているジゼルを見つめていた。
「ど、どうしたのリアナ? そんなにジィッとジゼルさんを見つめて」
と、春風が尋ねると、
「ジゼルおばあちゃん、もう『おばあちゃん』って呼べなくなっちゃったんだよね?」
と、尋ね返されてしまったので、
「あら、『お姉ちゃん』って呼んでくれてもいいですよ?」
と、ジゼルは「ふふ」と笑いながら答えた。
その答えを聞いて、リアナだけでなく凛依冴や歩夢といった「春風のお嫁さん」達も、
『グヌヌ……』
と、ジゼル睨んだ。
すると、
「……あの、クロエル……さん」
と、水音が口を開いたので、
「……ん? なぁに?」
と、クロエルが反応すると、
「その、春風の記憶の中には、2年前の『あの日』の記憶もあるんですよね?」
と、水音はチラチラと春風を見ながら、気まずそうにそう尋ねてきたので、
「……うん、あるよ」
と、クロエルが答えると、
「その時の記憶、僕にも見せてくれませんか?」
と、更に尋ねてきたので、クロエルは思わず春風を見た。
「……うん、いいよ」
と、春風がニコッと笑って言うと、クロエルは水音に向き直って、
「……わかった、後でちゃんと見せる」
と言った。
それに水音が「ありがとう」とお礼を言うと、
「さて、これで全員の『パワーアップ』に関する報告は以上だな?」
と、ギルバートが春風達を見回しながらそう尋ねたので、春風達はコクリと頷くと、
「じゃあよ、あそこで何が起きたのか教えてくんねぇか?」
と、ギルバートは次元艇セイクリアを指差しながら再び尋ねた。
そんなギルバートに対して、春風、リアナ、水音は「あ……」と言ってお互い顔を見合わせると、
『ハァ……』
と、3人同時にため息を吐いて、
『わかりました』
と、最後の報告を始めた。
えー、春風君の「過去」に関するくだりですが、色々と書きたかったけど、上手く文章に表すことが出来ませんでした。本当にすみません。しかし、出来たら別の形で書いていこうとも考えております。
そして、今日、活動報告にも書きましたように、現在「更なる修正版」とその「派生作品」についての設定を作成していて、それが終わり次第その物語を書いて投稿しようと考えております。
ただ、今書いている物語も最後まで書きますので、どうぞよろしくお願いします。




