第539話 大報告会
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
その後も春風達の前に次々と多くの人達が集まると、次元艇セイクリアから少し離れた場所で、大規模なキャンプが設置された。
それぞれが持ってきた食材を用いた料理が、王都から避難してきた住人達に振舞われると、皆、安心したのか、たちまち笑顔になっていった。
そして、春風達も彼らと一緒になって食事をしていると、
「あ、そうだ! 大事なこと忘れてた!」
と、ギルバートが何かを思い出したかのような表情になった。
突然のことに驚いた春風は、
「え、ど、どうしたんですかギルバート陛下?」
と、恐る恐るそう尋ねると、ギルバートはリアナ、水音、そして春風に向かって答える。
「お前ら、ここにいるってことは全員パワーアップ出来たってことでいいんだよな? 一体どんなことをやってきたのか報告してほしいんだわ」
そう答えたギルバートの言葉に、3人はキョトンとなったが、
「「「ああー、そうですねぇ……」」」
と、すぐに答えにくそうな表情になった。
それから食事が終わると、春風、リアナ、水音の3人は、ギルバートウィルフレッド、そしてクローディアら王族、皇族達だけじゃなく、一緒に目的地へと旅立った仲間達や、そこで出会った新たな仲間達を前に、「大報告会」なるものをすることになった。当然、内容が内容だけに、王都の住人達には別のキャンプ地へと移動してもらっている。
因みに、囚われの状態になっていたクラリッサとイブリーヌはというと、
「まぁ大変!」
と、エリノーラがすぐに服を用意してくれたそうだ。
「で、まずは誰から報告するんだ?」
と、ギルバート尋ねると、
「あ、じゃあ私からします」
と、リアナが「はい」と手を上げると、
「えっと、私達が向かったのは……」
と言って、最初はリアナからの報告となった。
「……というわけで、紹介します。新しい仲間の、コール君です」
「ど、どうも、コール・ブラックマンです。『死霊術師』の固有職保持者です」
『おお!』
「そして、幽霊の『フォルトーラ村』の方々です」
『どうもはじめまして!』
そう言って頭を下げて挨拶する幽霊さん達を見て、春風達はギョッとなったが、
『ああ、こちらこそはじめまして』
と、皆、一斉に頭を下げて挨拶を返した後、
「同じく幽霊の、私の本当の両親です!」
「どうも、父のエルネスト・フィアンマです」
「母のシルビア・フィアンマです」
と、リアナは自身の本当の両親である、エルネストとシルビアを紹介した。
それを聞いた育ての親であるループスとヘリアテスは、
「「ええぇっ!」」
と、ショックを受けたが、
「「ループス様、ヘリアテス様、改めて言います。娘を育ててくれて、本当にありがとうございます」」
と、エルネスト達にお礼を言われたので、
「ああ、そんな! 頭を上げてくれ!」
「そ、そうです! そんなにかしこまらないでください!」
と、ループス達は大慌てで2人の幽霊にそう言った。
その後、リアナは自身が体験した、パワーアップに至るまでの経緯を報告し始めると、
「え、もう1人の自分との戦い!? 何それ、マジで『試練』じゃん! ていうかリアナ、アーデさんとそこまで絆深まっちゃったの!?」
と、今度は春風がショックを受けたので、
「「……」」
と、リアナとアデレードは2人して顔を真っ赤にした。
そして最後に、我に返ったリアナは、その『試練』の後、『天使』になったアッシュ達と戦うことになり、その際見せた、リアナの新たな姿、『混合形態』へと変身した。
長い白髪とそこから伸びた白い狐の耳、そして、9本の狐の尾を持つその姿を見て、
『おおぉっ!』
と、既に見た春風や水音達を除いた、その場にいる者達全員が、更に強くなったリアナの姿に見惚れた。
そんな状況の中、
「うん。改めて見ると、凄く強くなったっていう感じがするし、同時に凄く綺麗になったと思うよ」
「えへへ。ありがとうハル」
と、春風とリアナがそう話していると、
「「ほほう、そいつがそうなのか……」」
と、何やら低い声が聞こえたので、2人は「ん?」とその声がした方へと振り向くと、
「と、父さん母さん、どうしたの!?」
と、リアナが驚いたように、そこには全身から黒いオーラを出しているエルネストとシルビアがいた。
2人の姿を見て、リアナだけでなく春風もギョッとして冷や汗を流すと、
「「お前が、幸村春風だな?」」
と、2人揃って春風にそう質問してきたので、
「は、はい、はじめまして! 幸村春風と申します!」
と、春風はピシッと姿勢を正して挨拶をした。
すると、
「「そうか、お前が……」」
と、エルネストとシルビアは更に低い声でそう言うと、
「「お前が、娘をたぶらかしたのかぁあああああああっ!」」
と、2人は更に黒いオーラを放出させながら叫んだ。
そんな2人を見て、
「ちょ、父さん母さん落ち着いてぇ!」
と、リアナは止めようとしたが、
「「娘というものがありながら、許さん! 許さんぞぉおおおおおおおっ!」」
と、2人はまた更に黒いオーラを出しながら叫んだ。
「す、すいませんでしたぁあああああああっ!」
「ああ、もう、2人とも落ち着いてぇえええええええっ!」
その後、仲間全員でどうにかして2人を落ち着かせると、春風は2人に向かって滅茶苦茶謝罪するのだった。
謝罪)
前回に続いて、まことに申し訳ありませんでした。
この話の流れを考えていたら、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




