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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第15章 激闘、セイクリア王国

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第532話 ちょっとした「混沌」


 天使()になった切嗣達によって行われた、新たなルール無視の「勇者召喚」。


 それによって召喚されたのは、春風の後輩である山主明華と、男装の女性ミネルヴァ・レーガ、そして水音の妹である桜庭陽菜だった。


 このとんでもない事態に、春風と水音は勿論、召喚を行った切嗣達でさえ戸惑いを隠せないでいた。


 (ば、馬鹿な、こんなことが……こんな筈では!)


 特に切嗣本人は、実は怒りと憎しみを向けている春風を殺す存在を召喚したかったのだが、実際に来たのは、かつて春風に電話をしてきた、春風に好意を寄せている者達だったので、そのショックは大きかった。


 そんな状況の中、


 「ちょおっとぉ! 何であんたがここに来てるわけ!?」


 と、漸くハッと我に返った凛依冴が、未だに春風に抱きついているミネルヴァに向かって尋ねた。


 それに対して、ミネルヴァは「ん?」と凛依冴を見て、


 「やあ、マリー。久しぶりだね」


 と、春風に抱きついたまま挨拶をしてきたので、


 「だから! 私を『マリー』って呼んでいいのは春風と一部の人だけよ! あんたは入ってないから!」


 と、凛依冴はカッとなって、「ほら、離れなさい!」と怒鳴りながら、ミネルヴァを春風から引き剥がそうとした。


 すると、


 「あ、ちょっと失礼!」


 『ん?』


 突然の声に、春風達が一斉に頭上に「?」を浮かべていると、


 「ハッ!」


 と、いきなりループスが飛び上がり、


 「ゴッド肉球、3連撃!」


 と叫び、明華、ミネルヴァ、陽菜の順に、彼女達の額に向けて自身の肉球をポコっと優しく叩きつけた。


 次の瞬間、


 「あ、あれ?」


 「これは?」


 「……?」


 額から全身にかけて、彼女達の体全体が白い光の幕で覆われた。


 その様子を見て、


 「お、お父さん、何したの?」


 と、リアナがループスに向かって尋ねると、


 「説明しよう。俺の『ゴッド肉球』は、悪い奴にお仕置きするだけじゃなく、対象に俺の加護を与えることも出来るのだ」


 と、ループスは何故かキリッとした表情で説明するように答えた。


 その説明を聞いて、


 『な、何故に?』


 と、春風達が尋ねると、


 「いやぁ、あいつらがやった勇者召喚、かなり不完全なものでな、このままだと彼女達の存在事態が危うくなっちまうんだわ。まぁ、俺自身も力を奪われているから、あくまでも一時的なものだ。後でちゃんと地球の神様にお願いしないといけないんだけどな」


 と、ループスは「やれやれ」と言わんばかりの表情で首を横に振りながら答えた。


 春風はその答えを聞いて、


 「ああ、そうでしたか。ありがとうございます」


 と、お礼を言った。


 その時、


 「ふ、ふざけるなぁ! 余計な真似をしやがってぇえええええっ!」


 と、ブチ切れた切嗣が、背中の白い翼を動かして春風達に襲い掛かろうとした。


 だが……。


 ーーバァン!


 『え!?』


 という大きな音と共に、切嗣はその場から動けなくなった。


 突然の音に目を白黒とさせたリアナ、イブリーヌ、クラリッサ、ループス、ヘリアテス、そしてモーゼスだが、残った春風達はというと、その音に聞き覚えがあった為、


 『ま、まさか……』


 と、恐る恐る音の発生源を見ると、


 「大丈夫かい? 愛しい春風」


 そこには、この世界に相応しくない武器、『拳銃』を構えたミネルヴァがいた。よく見ると、彼女の銃、正確に言えば銃口から白い煙が出ていた。


 それを見た瞬間、


 「あ、どうも、ありがとうございますミネルヴァさん。でも、銃は駄目! いきなり撃っちゃ駄目です!」


 と、春風はお礼を言いながらミネルヴァを叱った。


 お礼からのお叱りを受けたミネルヴァは、


 「おや、何故だい春風? というか、彼らは一体何者なんだい?」


 と、首を傾げながら尋ねると、


 「クラスメイト達です! 俺の所為で『敵』になっちゃったけど、クラスメイト達なんです! 彼らは後で俺が『丸太フルスイング』でぶっ飛ばしますから、どうか銃をしまってくださいお願いしますぅ!」


 と、春風は必死になってミネルヴァに説明しながらお願いをした。


 ただ、その際に、


 (……い、今)


 (何か不穏な単語が聞こえた気がする)


 と、横で聞いていたリアナと水音が、タラリと冷や汗を流していた。


 因みに、ミネルヴァに銃で撃たれたかに思われた切嗣はというと、


 (あ、危なかった)


 しっかり生きていた。どうやらミネルヴァが銃を撃った瞬間その場から僅かに逸れて、銃弾を回避したようだ。銃弾の方はというと、残った礼司達に当たってもいなかった。


 ただその後、


 「うおおおおお、貴様ぁあああああ! 僕達に召喚された存在の分際でぇえええええっ!」


 と、切嗣は鬼のような形相で再び春風達に襲い掛かろうとした。そして、礼司達もムカッと顔を真っ赤にして切嗣に続いた。


 その時、


 「待て」


 という声と共に、1人の人物が春風達と切嗣達の間に現れた。


 その人物の姿を見て、


 「ハ! お前は、()()()の!」


 と、春風は驚愕の表情になった。


 「『北の大地』ぶりだな、悪魔共』


 何故ならその人物とは、『北の大地』で春風達が戦った、偽物の神の1人・ガストを連れ去った長い金髪の青年だからだ。


 

 

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