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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第15章 激闘、セイクリア王国

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第526話 もう1人の「天使」


 「あーあ。くっだらないなぁ」


 『!?』


 突然その声に驚いて、春風達が一斉に声がした方へと振り向くと、1つの「人影」がニヤリと笑って、春風達に向けて一筋の「光」を放った。


 槍のように鋭く、矢のように速く飛ぶその「光」に、リアナや水音は動けずにいたが、


 (()が狙ってるのは、モーゼスか!)


 と、春風はその「光」がモーゼスに向かって飛んできてるのだとわかり、


 「させっかよ!」


 と、すぐにモーゼスと「光」の間に立つと、右足に自身の魔力を纏わせて、


 「ハァッ!」


 と、それで「光」を「人影」に向けて蹴り返した。


 「ゲェッ!」


 驚いた「人影」は、すぐさまその「光」をバンと地面に叩き落とした。


 次の瞬間、ドォンという大きな音と共に、その場に土煙が立った。


 すると、そこで漸くハッとなったのか、


 「ハ、ハル!」


 「春風!」


 「大丈夫ですかハル様!?」


 と、リアナ、水音、イブリーヌが春風に駆け寄ろうとしたが、それを拒むかのように春風は目の前の土煙に視線そ向けながら、無言でバッと左腕を伸ばして「待った」をかけた。


 「は、春風?」


 と、水音は恐る恐る春風に話しかけたが、


 「……」


 春風は無言のまま、目の前の土煙見つめていた。


 やがて、土煙が薄くなると、


 「びっくりしたぁ、やってくれたなぁ。君、本当に『賢者』なのかい?」


 と、そこに立っている「人影」がそう尋ねてきた。


 春風はその声を聞いて、


 (声からして今の『光』を放った奴だな)


 と、理解すると、


 「何のつもりだ、()()()?」


 と、その「人影」に向かってそう尋ねた。


 その言葉に、春風を除いた面々が『え?』と皆、一斉に首を傾げる中、漸く土煙が消えて、「人影」の()()があらわになった。


 「やぁ。()()()、久しぶりだね、幸村君に桜庭君」


 それは、ここ王都に着いた時、偽物の神々の操り人形と化して、春風達の前に「敵」として現れた、「勇者」ことクラスメイトの1人、裏部と呼ばれた少年だった。


 まさかのクラスメイトの登場に、


 「え、裏部君?」


 「裏部……だって?」


 と、水音と翔輝は目を白黒させた。


 整った顔立ちをした、一見大人しそうな雰囲気を持つその少年に向かって、


 「う、裏部君、何で君がここに!?」


 と、戸惑っている様子の水音がそう尋ねると、


 「いやだなぁ桜庭君、君達の加勢をしにきたに決まってるじゃないか。その男は君達の『敵』なんだろう?」


 と、裏部はモーゼスを指差して、ニヤリとしながらそう答えた。


 そして、裏部がゆっくりと春風達に近づいてきた、まさにその時、


 「春風!」


 「フーちゃん!」


 と、()()から凛依冴と歩夢が、春風達と裏部の間に飛び込んできて、ドォンという音と共に着地した。


 「うぉ! 師匠にユメちゃん……て、え?」


 と、突然のことに驚いた春風が2人をよく見ると、その体のあちこちがダメージを受けたかのようにボロボロになっていた。


 「ちょ、師匠にユメちゃん、その体どうしたんですか!?」


 と、春風がそう尋ねると、凛依冴と歩夢はキッと裏部を睨みつけた。


 そして、歩夢はゆっくり春風に近づくと、


 「フーちゃん、気をつけて。裏部君、()()()()()()()()()()()


 と、裏部を睨みながらそう言った。


 そして、歩夢に続くように、


 「ええ、そうよ。こいつはもう、『敵』よ!」


 と、凛依冴も裏部を睨みながらそう言った。


 2人の言葉を聞いて、


 『……え?』


 と、春風達が一斉に頭上に「?」を浮かべると、


 「……フ、ククククク……アーッハッハッハァ!」


 と、裏部は狂ったように大きな声で笑い出した。


 そのあまりの様子に、春風達が更に「?」を浮かべると、裏部は急に笑うのをやめて真面目な表情になると、


 「そうだよ、僕は操られてなんかない。そして……」


 と、そう言った次の瞬間、裏部の背中が白く光り出して……そこから、モーゼスと同じ、一対の()()()が現れた。


 それを見て、


 「え、その翼……まさか!?」


 と、翔輝が呆然としていると、裏部はニヤリと醜く口元を歪ませて答える。


 「そうさ、僕はもう『人間』じゃない。『神々』の手によって、『天使』になったんだ」


 

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