第522話 救出、脱出、そして……
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
見渡す限りの真っ暗な闇の中。
その闇の中で、2人の少女が抱き合っていた。
1人はセイクリア王国第1王女の、クラリッサ・ヘレナ・セイクリア。
もう1人は彼女の妹にして、セイクリア王国第2王女の、イブリーヌ・ニア・セイクリアだ。
「お、お姉様……」
「イブ、大丈夫だから、ここには私がいるから、ね?」
クラリッサは腕の中で震えるイブリーヌを、ソッと優しく撫でた。自分も今の状況に恐怖しているのに、
(そうよ、大丈夫。私は、イブの『お姉ちゃん』なんだから!)
と、心の中で自身にそう言い聞かせて、イブリーヌを励まし続けていた。
そんな彼女は願う。
(私はどうなっても構わない。でも、イブは、妹だけは、どうか助けて!)
すると、その「願い」が届いたのか、クラリッサ目の前に、眩い「光」が現れた。
(こ、この光は?)
と、クラリッサがその光を警戒していると、その「光」から2本の手が現れて、クラリッサとイブリーヌに触れた。
(あ、ああ……!)
と、クラリッサは最初ビクッとなったが、
(……あれ? 全然、嫌な感じがしない。というか、暖かい……)
と、その手の暖かさが伝わったのか、その後彼女はソッと目を閉じた。
「……ハッ!」
目を覚ますと、クラリッサは異様な雰囲気をした場所にいた。
「こ、ここは?」
と、クラリッサは辺りを見回そうとしたが、
「ハ! イブ! イブ、起きて!」
「う、うーん……あ、お姉様?」
側で気を失っているイブリーヌに気付き、彼女を起こした。
すると、
「イブリーヌ様!」
「クラリッサ様!」
と、自分達を呼ぶ声がしたので、2人はその声がした方へと振り向くと、
「ハル様!」
「翔輝様!」
そこにいたのは、春風と翔輝だった。
「翔輝様。それに、幸村春風も、どうして、ここに?」
と、驚いたクラリッサそう尋ねると、
「決まってるじゃないですか、お二人を助けに来たんです!」
「ええ、僕も同じくです!」
と、春風も翔輝も、まっすぐクラリッサとイブリーヌを見てそう答えた。その答えを聞いて、
「は、ハル様!」
「翔輝様……」
と、2人は今にも泣き出しそうに目をうるうるとさせた。
その後、
「で、幸村。この後どうやってここからクラリッサ様達を連れ出す気だ?」
と、翔輝が春風に尋ねると、
「当然、『賢者』と『勇者』、2人の力を合わせるんだ。で、その為に必要なことなんだけど、まだ『神器』は使えるかな?」
と、春風はそう提案しながら、翔輝に尋ね返した。
その質問に対して、
「ああ、問題ない」
と、翔輝は剣型神器を出現させながら答えると、
「オッケー! それじゃあ、その神器と俺の彼岸花・神ウチのパワーを合体させて、このいやーな空間(?)をぶった斬るんだ!」
と、春風は腰の彼岸花・神ウチをトントンと指で叩きながら言った。
さて一方その頃、
「は、ハルゥ……」
「春風。前原君……」
と、残されたリアナと水音が、春風と翔輝を取り込んだビッグ・モーゼスを見つめていると、
「……ん? 何だぁ!?」
突然、2人を取り込んだビッグ・モーゼスの胸の部分が、赤と白に光り出した。
そして次の瞬間、バリィッという音と共に、ビッグ・モーゼスの胸から、赤と白、2本の大きな剣が突き出てきて、それが胸の部分を切り裂いた。
そして、切り裂かれた胸の部分から、
「「うおりゃあああああああっ!」」
と、イブリーヌを抱き抱えた春風と、クラリッサを抱えた翔輝が飛び出きた。
「ハル!」
「春風! 前原君!」
2人の姿に驚いたリアナと水音。
その後、リアナはフライング・カーペットを動かして、飛び出てきた春風と翔輝を着地させた。
因みに、抱き抱えられたクラリッサとイブリーヌはというと、
「素っ裸は不味いだろ!」
と、春風が用意した大きめの布を体に巻き付けていた。
その後、春風はリアナと交代してフライング・カーペットを動かすと、ビッグ・モーゼスか離れて地面に降り立った。
「よし、救助成功!」
と、春風が小さくガッツポーズを取ると、
「おのれ、貴様らぁあああああ!」
と、ビッグ・モーゼスからモーゼスの叫び声が聞こえたので、
「モーゼス、ちょっと黙ってもらおうか!」
と、春風は自身の右腕に魔力を纏わせて、意識を集中し始めた。
そして、
「ハァ!」
と、春風が上空へと右腕を突き出すと、右腕の魔力が空へと昇った。
次の瞬間、モーゼスの真上に巨大な魔法陣が描かれて、そこから鎧纏った巨大な握り拳が現れた。
「こ、これは……!?」
驚くモーゼスに、春風は口を開き、
「受けろモーゼス! これが俺の『超・全力の一撃』だ!」
その拳の……否、その技の名を叫ぶ。
「マキシマム・パニッシャー改め、アンブレイカブル・パニッシャァアアアアアアアッ!」
そう叫ぶと共に、モーゼスの頭上に巨大な握り拳が落ちた。
「ウオオオオオオオ! そうはさせるかぁああああああ!」
と、モーゼスはビッグ・モーゼスの2本の剣でその握り拳を防御しようとしたが……。
ーーバキィン!
という音と共に、剣は呆気なく砕け散った。
「何だとぉおおおおおおお!?」
ショックを受けたモーゼス。しかし、そんなモーゼスを無視するかのように、握り拳はビッグ・モーゼスに落ちた。
その後、
「グアアアアアアアッ!」
というモーゼス悲鳴と共に、握り拳……否、拳骨を受けたビッグ・モーゼスは、地面へと落下した。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えていたら、その日の内に終えることが出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




