表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第15章 激闘、セイクリア王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

580/609

第519話 目覚めの一撃と……


 「ぼ……僕、を……ぶん殴ってくれ!」


 「……え?」


 翔輝にそう言われて、春風は思わず首を傾げたが、何かを察したのか、


 「ああ、わかった!」


 と、ニヤリと笑い、その後すぐに行動に移った。


 「やるよ、ジゼルさん!」


 と、小さな声でそう言うと、春風は彼岸花・神ウチに魔力を込めて、それを思いっきり地面に突き刺した。


 すると、翔輝の周囲の地面から何本もの真紅の鎖が伸びて、翔輝の体に巻き付いた。


 「っ!」


 翔輝は必死になって鎖を引き千切ろうともがいたが、もがけばもがくほど鎖の締め付ける力が強くなった。


 そんな状態の翔輝を前に、


 「春風様、この後どうする気ですか!?」


 と、彼岸花・神ウチからジゼルがそう話しかけると、


 「決まってるでしょ……」


 春風は再びニヤリと笑って、


 「こうするんだ!」


 と、彼岸花・神ウチから手を離して、なんと丸腰のまま翔輝に向かって駆け出した。


 「……え、ちょ、春風様!?」


 驚くジゼルを無視して、春風は走る。


 それを見て、翔輝はすぐに持っている剣型神器に魔力を込めて、それで鎖を叩き斬ると、そのまま春風のもとへと駆け出した。


 「ああ、春風様!」


 と、再び驚いたジゼルだが、それでも、春風は止まらなかった。


 やがて春風と翔輝が至近距離まで近づくと、翔輝は剣型神器を大きく振り上げ、春風目掛けて力いっぱい振り下ろした。


 だがその直前、


 「前原ぁあああああああっ!」


 と春風はそう叫ぶと、銀のガントレットを装着した左腕に魔力を込めた。


 そして、その状態のままグッと握り拳を作ると、振り下ろされた剣型神器目掛けてパンチを繰り出した。


 次の瞬間、剣型神器の一撃は、その魔力を込めたパンチに弾かれて、翔輝はその衝撃で後ろに倒れそうになった。


 その最中、春風は一歩前に出ると、今度はガントレットを装着してない右手をグッと握り締め、


 「歯ぁ食いしばれやぁあああああああっ!」


 その拳を思いっきり前に突き出し、翔輝の左頬に当てて、彼を殴り飛ばした。


 「っ!」


 翔輝はその勢いで後ろへ吹っ飛ばされると、地面に何度も体をバウンドさせて、最終的には王城の壁の一部に激突した。


 その様子を見て、


 「「う、うわぁ……」」


 と、2体の神騎士と戦っていたリアナと水音は、戦闘中にも関わらずドン引きしたかのような声を漏らした。


 勿論、ループス、ヘリアテス、イチ、更に上空で見ていたモーゼスも、


 「「「「うわぁ……」」」」


 と、リアナ達と同じようにドン引きしたかのような表情になった。


 しかし、春風はそんな彼らを無視して、翔輝のもとへと歩き出した。


 そして、翔輝のすぐ近くで止まると、


 「……」


 翔輝はゆっくりと左腕を動かした。


 それを見て、「あ!」とループス達は身構えたが、次の瞬間、


 「……っ!」


 なんと、翔輝は左手を自身の左耳に近づけた後、そこに着いているイヤリングを外し、バキッと音を立てて壊した。


 春風はそれを見て、クスッと笑うと、


 「大丈夫、前原君?」


 と、翔輝に向かってそう尋ねた。


 すると、翔輝は春風を見て、


 「……自分で頼んでなんだけど……もっと優しく殴ってほしかった」


 と、答えた。


 その答えを聞いて、春風は「アハハ」と笑うと、


 「手ェ貸すよ」


 と言って、スッと右手を差し出した。


 だが、


 「いや、いい」


 翔輝はそれを拒み、


 「自分で立てるよ」


 と言って、ゆっくりと立ち上がった。


 「お、凄いじゃん」


 と、春風はちょっと驚いた表情をしながらそう言うと、


 「カッコ悪いところ、見せたくない人がいるんだ」


 と、翔輝はチラッととある方向を見ながらそう返した。


 春風も「ん?」と翔輝が見た方向を向くと、そこにあるものを見て、


 「……ああ、もしかして()()()()()()?」


 と、すぐに翔輝に向き直ってそう尋ねた。


 その質問に対して、


 「(コクリ)」


 と、翔輝は無言で頷くと、


 「やっぱりかぁ」


 と、春風は「参ったぜ」と言わんばかりに自身の額に手を当てて、


 「あー、ごめんリアナに水音」


 と、神騎士と戦闘中の2人に話しかけた。


 戦闘中だというのに急に話しかけられて、


 「「な、なぁに?」」


 と、リアナと水音はそう返事をすると、


 「そいつらの胴体部分、引っぺがすこと出来ない?」


 と、春風はちょっと恐る恐るな感じの態度でそう尋ねた。


 それを聞いて、リアナと水音は「え?」となったが、


 「「……まさか」」


 と、何かを察したのか、すぐに持っている武器に魔力を込めて、それで神騎士の胴体部分を切り裂いた。勿論、()()()()()()()()()()に、だ。


 その後、斬られた神騎士の胴体を覆う鎧がバラバラと地面に落ちると、そこに現れたものを見て、春風、リアナ、水音は、


 「「「やっぱりか」」」


 と、辛そうにしながらも納得の表情を浮かべ、ループス、ヘリアテス、イチはというと、


 「「「そ、そんな……!」」」


 と、絶句した。


 何故なら、2体の神騎士の中にいたのは、()()()()()()()で拘束されている、クラリッサとイブリーヌだからだ。


 


 


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ