表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第15章 激闘、セイクリア王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

571/609

第510話 「前原翔輝」という少年2

 前回の続きです。


 「あのー、ちょっとよろしいでしょうか?」


 クラスメイトの1人が発したその言葉に、


 (……え?)


 と、翔輝は思わず頭上に「?」を浮かべた。


 (あ、あれ? 幸村…‥春風君?)


 そのクラスメイトーー春風の表情を見て、翔輝は首を傾げた。


 何故なら、翔輝が知ってる「幸村春風」という少年は、いつも眼鏡をかけていて、授業中も休み時間中も、静かで大人しいという印象だからだ。もっとも、翔輝自身は春風と同じクラスになったのは2年になってからなので、それくらいしか知らないのだが。


 ともあれ、そんな大人しいタイプの筈の春風は今、いつもつけている眼鏡をはずして、国王ウィルフレッドに向かって「はい」と手を上げている。


 そして、眼鏡をはずした春風の素顔だが、その顔はどう見ても「美少女」と呼べるくらい美しく、それが、翔輝を更にポカンとさせていた。


 ーードキン。


 (な、何だ? 何だ、今の音は!?)


 と、心の中で戸惑っている翔輝をよそに、春風はウィルフレッドに向かって幾つかの質問をしていた。


 「……質問は以上です。ありがとうございました」


 「おお、そうか。では、こちらの事情はわかっていただけたかな?」


 「ええ、よくわかりましたよ」


 そして、質問が終わって、


 (あ、ああ、漸く終わったか……)


 と、翔輝が「ホッ」と胸を撫で下ろすと、


 「きったねー仕事は異世界人の俺らに丸投げして、テメーらはベッドでヌクヌクするって事がなぁ!」


 春風は、その態度を一変させた。


 そして、4秒の沈黙後、


 『グオッハァ!』


 翔輝だけでなくその場にいた全員が、左頬に殴られたかのような謎の衝撃を受けて、一斉に吐血した。


 実際には本当に血を吐いたわけではないのだが。


 (な、何だ今のは!? 一体何があった!?)


 と、翔輝が左頬を摩りながら戸惑っていると、


 「あ、すみません。言い方間違えました」


 と、優しく微笑みながらそう言った春風に、


 (な、なぁんだ気の所為か……)


 と、翔輝が安心していると、


 「きったねー仕事は異世界人の俺らに押し付けて、テメーらはのんびりとおやつをムシャムシャ食ってるって事なんだよなぁ!?」


 と、春風はまた態度を一変させた。


 そして、その言葉を聞いて、


 『ゴフゥ! ガファア!』


 翔輝を含めたその場にいる者達全員が、今度は左右の頬に殴られたかのような謎の衝撃を受けて、吐血した。


 実際は血は吐いていないのだが。


 (か、変わってないいいいい! ていうか、増えた!? え、増えたぁあああああ!?)


 まさかの2段攻撃(?)に翔輝はショックを受けたが、すぐにハッと我に返って、


 「オイ、どういうつもりだ!?」


 と、春風を睨みながらそう問い詰めた。


 そんな翔輝に向かって、


 「どうしたんだい前原君、お腹でも壊したのかなぁ?」


 と、春風が惚けた様子でそう尋ね返すと、


 「白々しい事を言うな! さっきからなんのつもりだ!? 僕達だけじゃなく、ウィルフレッド陛下まで苦しめるなんて!」


 と、翔輝は怒りのままに更に春風に向かってそう尋ねた。


 すると、春風は真面目な表情になって、


 「何を言ってるのかよくわからないなぁ。俺はただ、目の前にいる気に食わない連中に文句を言ってるだけなんだけど」


 と、答えたので、翔輝は更に怒り顔で、


 「文句だって!? 彼らはただ、この世界を救う為に神様の命令に従って僕達を召喚しただけだ! それの何が気に食わないっていうんだ!?」


 と、春風向かって怒鳴るように尋ねた。


 すると、春風は「ハァ」と溜め息を吐いた後、優しく微笑んで、


 「『神様の命令』ねぇ。ま、確かに、今は世界滅亡の危機だ。世界を見守る『神様』としては、そんなの黙って見過ごすわけないだろうし、その『神様』の命令とあれば、信じて従ってしまうのも当たり前でしょうねぇ」


 と、言った。


 翔輝はその言葉を聞くと、


 (あ、ああ良かった、わかってくれたか……)


 と、安心して表情を緩ませたが、


 「だが俺が信じてる『神様』は故郷である『地球』の『神様』達だけだぁ!」


 と、また態度を一変させた春風のその言葉を聞いて、


 『ブオアッファアアアアアアアッ!』


 翔輝を含むその場にいる者達全員が、腹に強烈な一撃を入れられたかのような謎の衝撃を受けて、吐血した。


 しつこいようだが、実際に血を吐いたわけではない!


 (や、やめろぉ! やめてくれぇえええええええっ! これ以上食らったら、死ぬ! 死ぬぅうううううううっ!)


 苦しそうに腹を押さえる翔輝。他の人達も同じ様子だ。


 そんな彼らに、


 「あのぉ、さっきから凄く煩いんですけど」


 と、春風はうんざりした表情でそう言った。


 その言葉にブチッとなったのか、


 (お前の所為だろうがぁあああああああっ!)


 と、翔輝は心の中でそう叫んだ。口に出さなかったのは、まだ腹に受けたダメージ(?)が抜けてない為なのだろう。


 しかし、そんな翔輝達を無視して、春風はウィルフレッドに向き直った。


 「さて、ウィルフレッド陛下。俺は今、あなたにお願いしたい事があります」


 「お、お願いしたい事……だと?」


 「ここ、出て行く許可をください」


 と、笑顔でそう言った春風に、


 (……ハァ?)


 翔輝は、頭上幾つもの「?」を浮かべた。


 


 


 まだ、続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ