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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第490話 春風編51 「最後の仕上げ」へ


 「間凛依冴、ただいまとうちゃーく!」


 と、ポーズをとりながらそう言った凛依冴に、その場にいる誰もがポカンとした。


 ただし、操られている者達は無表情のままだった。


 そんな状況の中、


 「あー、師匠……」


 と、春風が口を開くと、


 「あ、春風ぁ! お待たせマイスウィートハニ……って、うわぁお何そのぶっとい丸太!? ま、まさか、それで戦う気!? 駄目よ、幾らロマンに溢れているからってそんなの持っちゃ! ほら、()()!」


 と、凛依冴は表情をコロコロと変えながらそう言って、背中に背負っている「とあるもの」を春風に差し出した。


 「あ……」


 春風はその「とあるもの」を見ると、持っていた丸太を腰のポーチにしまって、


 「彼岸花……」


 その「とあるもの」ーー鞘におさまった彼岸花を受け取った。


 「師匠、これ……」


 と、春風が凛依冴に何か言おうとしたが、それを遮るように凛依冴が真面目な表情で口を開く。


 「精霊の彼岸花ちゃんとジゼルさんなら、()()()にいるわ。そして、ヘファイストス様から『伝言』よ」

 

 「伝言?」


 「『形は整えた。最後はお前が仕上げるんだ』」


 その言葉を聞いて、春風が「え?」と頭上に「?」を浮かべていると、


 「……ハッ! ゆ、勇者達よ、何をしている! 奴を倒すのだぁ!」


 と、我に返ったモーゼスが操られている状態のクラスメイト達にそう命令した。


 すると、


 「うるさい」


 と、凛依冴はそう言って、モーゼスを睨みつけた。


 すると、凛依冴から何かを感じたのか、モーゼスクラスメイト達も、ビクッとなってその場から動けなくなった。


 そんな彼らを睨みながら、凛依冴は春風に質問する。


 「ねぇハニー、あいつらって『敵』なの?」


 「いいえ、あの背中に翼が生えた男だけで、あとは操られているだけです」


 そう即答した春風に、凛依冴は「フフ……」と笑うと、


 「オッケー! そんじゃあ……!」


 と言って、凛依冴は腰のポーチに手を突っ込んで、そこから何か取り出した。


 それは、歪な形をした、刀身から柄まで真っ黒な「剣のようなもの」だった。


 それを見て、誰もが「う!」と表情を曇らせていると、


 「出番よ、ヴァイオレット」


 と、凛依冴が「剣のようなもの」に話しかけた。


 すると、


 「ケケケ! あいよ、相棒!」


 と、ヴァイオレットと呼ばれた「剣のようなもの」から、気の強そうな女性の声が聞こえたので、


 『喋ったぁ!』


 と、ヴァイオレットを見たことがある冬夜、雪花、静流以外の者達が驚きの声をあげた。


 「あ、そういえばハニーにヴァイオレットを見せたの初めてだったわ」


 と、凛依冴は思い出したようにそう呟いたが、すぐに真剣な表情になって、


 「さぁ、春風は早くそのコを仕上げて!」


 と、モーゼス達を睨みながら春風にそう言ったが、


 「……あのぉ、『仕上げて』って、どうやって?」


 と、春風は困ったようにそう返したので、


 「どうやって……って、ええ!? もしかしてわからない!?」


 と、凛依冴は春風の方を向いてそう尋ねた。


 それに対して、春風が「はい、すみません」と謝罪すると、


 「……ちょっと、よろしいでしょうか」


 と、それまで座り込んでいたフリードリヒが、スッと立ち上がった。


 「む、あんたは?」


 と、凛依冴が尋ねると、


 「はじめまして、僕は春風君の()()の、フリードリヒといいます」


 と、フリードリヒはそう名乗った。


 それを聞いて、


 「先輩? そう、私は凛依冴、春風の師匠で、()で、()()()()()()()()よ」


 と、凛依冴もそう名乗った。その際、「おいコラ!」と周囲から声が上がったが。


 しかし、それに構わずフリードリヒは口を開く。


 「あぁそうですか、よろしくお願いします。それで、早速ですが、今あなたが言った『最後の仕上げ』ですが、僕に()()()()がありますので、ちょっと春風君をお借りしたいのですが、よろしいでしょうか?」


 「……ふーん、心当たりねぇ」


 と、凛依冴はヴァイオレットを構えながら考える素振りをすると、


 「いいわ、じゃあハニーをお願いね」


 と、フリードリヒの提案に「オッケー」を出した。


 その後、フリードリヒは「ありがとうございます」とお礼を言うと、春風の腕を掴んで、


 「というわけで春風君、悪いけど僕と一緒に来てくれ。君に、()()()()()()がいるんだ」


 と、真剣な表情でそう言った。


 春風は「え?」と少し驚いたが、フリードリヒの目を見て、


 「わかりました」


 と、返事すると、


 「師匠、ちょっと行ってきます!」


 と、凛依冴に向かって力強くそう言い、


 「オッケー! 行ってらっしゃい!」


 と、凛依冴も力強くそう返事した。


 その後、春風は「お願いします」とフリードリヒに向かって言うと、彼と共に部屋の奥にある通路へと駆け出した。


 「……に、逃すな!」


 と、それに気づいたモーゼスが、クラスメイト達にそう命令を出したが、


 「行かせないわよ!」


 と、凛依冴がその前に立ち塞がった。そのおかげで、春風とフリードリヒは通路の中へと入っていった。


 (よし……)


 と、凛依冴はチラッとその様子を見ると、クラスメイト達に視線を戻して、


 「さぁ坊や達、お姉さんが相手になってあげるわよ!」


 と、ヴァイオレットを構えながらそう言った。




 


 


 




 

 

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