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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第489話 春風編50 操られし者達、そして……


 「天使」となったモーゼスが、春風達の前に召喚したもの。


 それは、断罪官副隊長のルークと、ユリウスと同じ小隊長のダリア、そして、小夜子や歩夢達と同じく「勇者」として召喚されたクラスメイト達だった。


 「る、ルーク副隊長、どうしてここに……!?」


 と、驚いたアリシアが近づこうとしたその時、


 「待って、様子がおかしいわ!」


 と、ユリウスが「待った」をかけた。


 次の瞬間、ルークがゆっくりとユリウスとアリシアに視線を向けると、


 「……」


 無言で攻撃を放ったのだ。放たれたのは、手に持っている剣による斬撃だ。


 「「っ!」」


 2人はすぐ近くにいた春風の仲間達を抱えると、すぐにその場からジャンプしてその攻撃を回避した。


 「な、何をするのですか副隊長!?」


 と、着地したアリシアが、ルークに向かってそう尋ねたが、


 「……」


 ルークは何も答えなかった。


 よく見ると、その瞳に光はなく、まるで「闇」が目の中で広がっているようだった。


 そして、それはルークだけでなく、ダリアや4人のクラスメイト達も同様だった。


 そんな彼らの様子を見て、


 (あれ? この感じは……まさか!)


 と、春風の脳裏に「ある記憶」が浮かんだ。


 「そうだ。あの状態、()()()()()()()()と同じだ!」


 そう、それはかつてウォーリス帝国帝都での水音との「決闘」の最中、水音が女神マールに操られた時の記憶だった。


 春風のその言葉を聞いて、歩夢達も「あ、そういえば!」と言わんばかりの驚きに満ちた表情になり、


 「モーゼス教主! あなた、ルーク副隊長達に何をしたのですか!? というより、何故、王都に向かった筈の彼らがここにいるのですか!?」


 と、今度はユリウスがモーゼスにそう尋ねると、モーゼスは「フッフッフ……」と「天使」にあるまじき醜悪な笑みを浮かべながら答えた。


 「決まってるじゃないですか。彼らに()()()使()()を思い出してもらっただけですよ」


 「本来の……使命?」


 「そう、『異端者を討つ』という『断罪官本来の使命』と、『神を殺す悪魔を倒す』という『勇者としての使命』をね。そして、『何故この場にいる』という理由については、丁度王都に戻る最中だったところを、『神』のもとにご招待しただけですよ。ああ、ただ……」


 「?」


 と、モーゼスの言葉にユリウスだけでなく春風達も頭上に「?」を浮かべていると、モーゼスは更に醜く口を歪ませて言う。


 「国王ウィルフレッドと断罪官大隊長のウォーレンにつきましては、『神』の名のもとに()()が決定されましたがね」


 『なっ!?』


 その言葉を聞いて、春風も仲間達も驚愕した。


 「ちょ……ちょっと待ってください! 処刑ってどういうことですか!?」


 と、小夜子が顔を真っ青にしながらモーゼスにそう尋ねると、

 

 「言葉の通りですよ。ウィルフレッドは国王でありながら、『悪魔』に加担して『神』を蔑ろにした。そして、ウォーレンは大隊長でありながら、討つべき『異端者』に2度も敗北しただけでなく、その『異端者』に自身の武器にして『神の戦士』の証である聖剣スパークルを明け渡した。これは、到底許されることではありません。よって、この2人の『処刑』が決定されたのです」


 と、モーゼスはそれまでの醜悪な笑みからガラッと変わって、真面目な表情でそう答えた。その答えを聞いて、小夜子だけでなくユリウスとアリシアも、


 「「そ、そんな!」」


 と、ショックで顔を更に真っ青にした。


 すると、


 「……ちょっといいですか?」


 と、ここでそれまで黙って話を聞いていた春風が、ゆっくりと口を開いた。


 「むむ、何ですかな?」


 と、モーゼスが反応すると、春風は表情を暗くして、


 「イブリーヌ様は、どうしたんですか?」


 と尋ねたが、モーゼスは黙ったままで何も答えなかったので、


 「どうしたんですかって聞いているんだ!」


 と、春風は怒鳴るようにそう尋ねた。


 すると、モーゼスは再び醜悪な笑みを浮かべて、


 「勿論、彼女も一緒に『神』に捧げましたよ。今頃は、あの方達に()()()()()をされてるやら……」


 と答えた。


 その瞬間、春風の脳裏に浮かんだのは、


 ーーハル様ぁ!


 笑顔を浮かべたイブリーヌだった。


 そして、春風はモーゼスに、怒り満ちた眼差しを向けて、


 「モーゼス教主……いや、()()()()! テメェは、絶対許さねぇ!」


 と叫び、グッと丸太を握る力を強くした。


 しかし、


 「フフフ。幾ら貴様が半人前とはいえ『賢者』の固有職保持者で、『始まりの悪魔』を倒した丸太を持っていても、その『始まりの悪魔』との戦いでかなりの力を消耗した貴様が、『天使』となった私と……」

 

 と、モーゼスは余裕に満ちた表情を浮かべると、


 「『勇者』を相手に勝てるのかな?」


 4人の操られた状態のクラスメイト達を、春風の前に並ばせた。それと同時に、彼らは無表情のまま、春風に向かってそれぞれ戦闘体勢に入った。


 そんな彼らの様子を見て、


 「や、やめろ近藤、遠山!」


 「愛島さん、深見さんも、目を覚まして!」


 と、鉄雄や歩夢達が彼らのもとへと駆け寄ろうとしたが、


 「「……」」


 ルークとダリアが無言で割り込んできて、こちらも戦闘体勢に入った。


 そんな状況の中で、


 「さて皆さん、この状況でどう動きますかな?」


 と、モーゼスが醜悪な笑みを浮かべたまま尋ねてきた。


 その時、


 「ちょおっと待ったぁあああああっ!」


 という叫びと共に、モーゼスが開けた天井の穴から、1つの「影」がもの凄い勢いで落ちてきた。


 そして、ドォンという音と共に着地したその「影」は、ビシッとしたポーズをとって口を開く。


 「間凛依冴、ただいまとうちゃーく!」


 


 


 


 


 



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