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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第483話 春風編44 「暴食」の賢者


 『う、裏スキル……』


 『暴……食?』


 フリードリヒから語られたそのスキルの名前を聞いて、春風だけでなく仲間達も戦慄した。


 しかし、そんな彼らに構わず、フリードリヒは話を続ける。


 「そう。この力は、そちらにいるルーシーさんの持つ[憤怒]と同じ、『闇のスキル』に属するもの。その能力は、『食いたい』という想いを引き金に、物質、エネルギー、他にも様々な知識や技術を吸収して自身の力に変換する。当然、それには()も含まれているよ」


 と、そう説明したフリードリヒに、春風はタラリと冷や汗を流しながら、


 「命……まさかあなた、それ()()にも使ったんですか?」


 と、尋ねると、


 「……ああ、使ったよ。僕はこの力を使って、故郷の住人達を全員食った。ただその時は僕自身も暴走状態だったからね、人間だけじゃなく鳥や獣、更には魔物まで食いまくった所為か、僕自身の体が()()しちゃって、気づいた時には見た目はこの姿のまま止まって老いることもなくなった上に、どれだけ致命傷を負ってもすぐに回復して、()()ことも出来なくなったんだ」


 と、フリードリヒは表情を暗くしながらそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「し、『死ぬことが出来なくなった』って……」


 「それって……」


 「『不老不死になっちゃった』ってこと!?」


 と、仲間達は愕然とした。


 その言葉に反応したのか、


 「不老不死、か。アハハ、そうだね」


 と、フリードリヒは腹を抱えて笑った。


 しかし、その後すぐに真面目な表情になって、


 「さて。長くなっちゃったけど、おしゃべりはこのくらいにして、()()といこうか。ねぇ、『半熟賢者(半人前)』君?」


 と、春風に向かってそう挑発した。


 「フーちゃん……」


 歩夢が心配そうに見守る中、挑発を受けた春風はというと、「ハァ……」と溜め息を吐いて口を開く。


 「……フリードリヒさん、更に幾つか聞いてもいいでしょうか?」


 「何かな?」


 「ここに来るまでに、俺達の前に現れた変な火の玉。あれ、あなたの仕業ですか?」


 「……うん、そうだけど」


 「てことは、俺の『記憶』、あなたも見ました?」


 「……うん、見させてもらったよ。辛い目にあったんだね」


 「別に不幸自慢したいんじゃないですよ。世の中、俺以上に理不尽なめにあってる人間なんて、それこそ星の数くらいいますから」


 「ほ、星の数……」


 「で、仕方ないとはいえ、仲間達に俺の『恥ずかしいところ』とか『情けないところ』見られちゃうとは。そんで、まさか、ここにきてあなたを相手にすることになるなんて……ねぇ、総本部長さん。いや、最初の固有職保持者さん?」


 と、何処かうんざりしたかのような表情でそう言うと、


 「あ、もしかして、『自慢する材料が出来た』みたいなものかな?」


 と、フリードリヒは嬉しそうにニヤリと笑いながら言った。


 「は? ()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()


 と、春風がそう返した、次の瞬間、


 「ごほぉあああっ!」


 フリードリヒは、ダメージを受けた。それも、苦しそうに腹を押さえながら。


 それを見て、


 『こ、こ、言葉の暴力ぅううううう!』


 と、仲間達は皆、驚きの声をあげた。


 「う、うおお、な、何故だい、春風君?」


 と、フリードリヒは苦しそうにそう尋ねると、


 「何故? 当たり前だろ? 俺、みんな凄い恥ずかしいところとか情けないところ見られたんだよ? これがもし試練的な何かじゃなかったら、間違いなく俺、自室に引き篭っちゃうからな、いや、ほんとに。で、ここまでされて、俺今、マジで怒ってるんだけど」


 『……』


 「マジで怒ってんだけどぉっ!」


 「あ、う、うん! そうだね! ごめんなさい!」


 春風に怒鳴られて、思わず頭を下げて謝罪したフリードリヒ。


 だが、


 「駄目だ許さねぇよ。ほんとに俺、マジで怒ってんだから」


 そう言うと、春風はゴキゴキと指を鳴らした。


 それを見て、フリードリヒは「いや、あの、ちょっと待って……」と後ろに下がると、


 「というわけで……」


 と、春風は満面笑みを浮かべて、


 「ぶっ飛べやこらぁあああああっ!」


 と、フリードリヒの腹を思いっきりぶん殴った。


 しかし、フリードリヒは寸前でそれをガードしていたので、


 「うぅ……」


 と、苦しそうにしながらも、あまりダメージを受けてはいなかった。


 だが、春風はそれに構うことなく、また笑顔でフリードリヒに言う。


 「というわけで、もっといかせてもらいますよ、()()?」


 それを聞いて、フリードリヒは「フフ」と小さく笑いながら言う。


 「……ああ、かかって来なよ、()()


 

 


 

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