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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第4章 誕生、ユニークなハンター?

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第48話 トラブル発生


 突然の大きな音に驚いた春風とリアナ。


 (なんだなんだ?)


 2人は音がした方にそーっと静かに振り返ってみると、


 「酒だーっ! もっと酒を持ってこーいっ!」


 と、テーブル席に座る1人の男性が、大声でそう叫んでいた。


 どうやら男性はかなり酔っ払っている様子で、彼の周りには樽型のジョッキが幾つも無造作に転がっていた。そんな男性を、他の客達は迷惑そうに見ていた。


 「……またか」


 溜め息を吐いたディランが、ボソリとそう呟いたのを聞いた春風は、


 「『またか』って、何か知っているんですか?」


 と尋ねることにした。


 その質問に、ディランは嫌な顔をせずに答える。


 「……アイツは、『魔術師』の職能を持つ優秀なハンターだった」


 「だった?」


 「……ああ、だが最近になって、その魔術が急に使えなくなったんだ」


 「使えなくなったって……何があったんですか?」


 すると、リアナが思い出した様に口を開いた。


 「あ! そういえば最近、魔術師達が魔術が使えなくなるって出来事が相次いでいるんだった!」


 「え、そうなの!?」


 「うん。その中でも特に酷かったのが、魔術を使おうとして暴発事故が起きたんだって! で、その出来事があってから、魔術師達が魔術を使う事に怯えちゃって、今じゃ全然元気が無いんだぁ。ほら、ギルド総本部にいるローブ姿のハンター達。あれが『魔術師』の職能を持ってる人達だよ」


 「ああ、そういえば……」


 リアナにそう言われると、春風は総本部受け付けにいた先輩ハンター達を思い出した。


 (確かに、戦士風の先輩方は元気そうだったけど、魔術師風の先輩方はみんな何処かションボリしていたな)


 そんな事を考えながら、春風はグラスに残った蜂蜜酒をもう一口飲んだ。


 (うん、やっぱり美味しいな。ほんのりレモンの味と香りもするし)


 初めて酒を飲んだ春風は心の中でそんな事を思い、ちょっと良い気分になっていた。それにつられる様に、リアナも良い気分になった。


 その時だった。


 「ちょっとお客様、いい加減にしてください!」


 突然の大声に驚いた春風とリアナは、「なんだなんだ」と思って声がした方に振り向くと、そこには先ほどの男性の他に、オーナーの娘であるシェリルがいた。様子からして、どうやら酔っ払っている男性に注意している様だった。


 「何だぁ? 俺は酒を持ってこいって言ってるだけじゃねぇか!」


 注意されているにも関わらず、あくまでも「酒を持ってこい」と叫ぶ酔っ払った男性。


 しかし、シェリルはそれに怯まず、


 「貴方これで何杯目だと思っているんですか!? というか、今日までお酒の代金全然払ってませんよねぇ!? 一体いつになったら払ってくれるんですか!?」


 と、男性に向かって怒鳴った。どうやらこの男性、代金を払っていない様だった。


 「だーかーらーっ! ツケにしといてくれって言ってるじゃねぇか! 俺ほどの優秀な魔術師ならちゃあんと払えるってぇの!」


 「何言ってんですか? 魔術が使えなくなって仲間の人達に見捨てられてから、全然仕事してないじゃないですか! ここでお酒に溺れてる暇があったら、少しは原因を探る努力をしたらどうですか!?」


 「……なんだとぉ?」


 シェリルの言葉にカチンとなった男性は、スッと椅子から立ち上がると、


 「このガキィ!」


 と、シェリルを思いっきり突き飛ばそうとした。


 「きゃっ!」


 間一髪で避けたシェリルだが、バランスを崩して尻餅をついた。


 「イタタ……」


 痛そうに尻を摩るシェリルに、男性が近づく。


 「どいつもこいつも、俺を舐めやがってぇえ!」


 男性が持っていたジョッキを、シェリルに叩きつけようと振り上げた。


 「シェリル!」


 それを止めようとリアナが飛び出そうとした、次の瞬間、


 「何やってんだ、テメェエエエエエエッ!」


 「あぁ?」


 ーーズゴォオオオン!


 「グォオハアアアッ!」


 何者かに飛び蹴りをくらい、男性が吹っ飛ばされたのだ。


 男性は壁に背後の激突すると、ズルズルと床にへたり込んだ。


 飛び蹴りをくらわせたその人物は、スタッと綺麗にその場に着地した。


 突然の出来事に、その場にいる全員がポカンとなった。


 4秒の沈黙後、ハッとなったリアナが見たその人物の正体は、


 「は……ハル?」


 そう、春風だった。


 


 


 


 


 

 前回は諸事情で書けませんでしたが、新たに登場したディランという人物は、「ちょっと無愛想だが家族思いの頼れる優しい夫にして父親」というイメージで書きました。


 そして次回、前作で書けなかった「書きたかったシーン」を書きます。

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