表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

529/609

第478話 春風編39 さらば「友」よ

 お待たせしました、1日遅れの投稿です。


 そして、今回もいつもより長めの話です。


 「アアンディイイイイイイイッ!」


 そう叫んだ中学3年の春風が放った、「彼岸花」の斬撃。


 それは、流が乗る黒いジャーベリンから発射されたビームと、その発射元である本体を切り裂いた。


 しかし、それが当たる直前、


 「な、何だと!? くぅっ!」


 流はすぐに黒いジャーベリンのハッチを開いて、外へと脱出し、それと同時に、斬撃を受けた黒いジャーベリンは、大きな音を立てて爆発した。


 「あ、アンディ……さん」


 脱出した流を見て、中学3年の春風がそう呟くと、


 「な、何だよ、これ!?」


 と、彼岸花の刀身にうつった自分の姿を見て驚愕した。


 その時、彼岸花の柄から更に触手が伸びて、中学3年の春風の右腕に絡みついた。


 「う、うわぁ何!?」


 「春風!」


 「春風ちゃん!」


 突然のことに驚く中学3年の春風。そんな彼を見て、丈治とサンディ、そして子供達が駆け寄った。


 「春風ちゃん、大丈夫!?」


 「いかん! このままでは、何か良くないことが起こるかもしれん!」


 丈治達は春風の右腕に絡みついた触手と、その手に持つ彼岸花を掴んで、


 「よし、引っ張るぞ!」


 『せーのっ!』


 と一斉に叫ぶと、中学3年の春風の右腕から、強引に彼岸花を引き剥がすと、それをその場に投げ捨てた。


 「ううあ、ぐうう……」


 あまりの激痛に、中学3年の春風はその場に膝をつきそうになったが、どうにか持ち直すと、落ちていた彼岸花を鞘におさめた。その間、触手が絡みついていた右腕から、血がポタポタと流れていた。


 「春風、すぐに手当てを……!」


 と、丈治がそう言うと、


 「っ! アンディ博士!」


 と、流が足を引きずりながら逃げ出しているのが見えたので、


 「アンディ博士、待って!」


 中学3年の春風はすぐにその後を追いかけた。


 「ま、待て、春風!」


 当然、丈治達もその後を追った。


 「ハァ、ハァ……」


 アジト付近の森の中を、足を引きずりながらも進んでいく流。逃走の果てに彼がたどり着いた場所は、崖の上だった。


 「……く」


 崖下を覗くと海が見えたが、それでも落ちたらただでは済みそうにないと流が理解していると、


 「アンディ博士!」


 と、ここで中学3年の春風達が追いついた。


 流はそれを確認すると、


 「動くな!」


 と、懐から拳銃を手に取って、それを中学3年の春風達に向けた。


 それを見た丈治達は怯んだが、


 「アンディ博士、もうやめましょう?」


 と、中学3年の春風は怯むことなく真っ直ぐ流を見てそう言うと、ゆっくりと近づいた。


 しかし、


 「動くなと言った筈だ!」


 と、流は中学3年の春風の足下の地面に向かって、何発も銃弾を撃ち込んだが、それでも、彼は真っ直ぐ流を見ていた。


 そして、


 「アンディ……いや、()()()()、もうあなたは終わりです。お願いですから、銃を下ろしてください」


 と、中学3年の春風は、流を「アンディ」ではなく本名でそう呼んだ。


 その姿を見て、流は何かを感じたのか、


 「く、来るな! やめろ! 僕をそんな目で見るなぁ!」


 と、まるで怯えるようにそう叫んだ。震えているのか、拳銃を握る手に力が入らないでいた。


 一方、中学3年の春風は真っ直ぐ流を見つめながら、


 「もうやめましょう安土博士。いや……()()()()()()


 と、更に流を、本当の名前で呼んだ。


 「え、流子……お姉さん?」


 「嘘、安土博士って女の子なの?」


 と、後ろで丈治達が頭上に「?」を浮かべていたが、それを無視して、


 「っ! そ、その名前、覚えていたのか?」


 と、流がそう尋ねると、


 「ええ、覚えてますよ。『安土流子』。それがあなたの本名で、本当は女の人だってことも、女の人扱いされるのが嫌で、いつも男みたいな格好をして、みんなに『安土流』って呼ばせていたのも覚えてます。といっても、最終的には『アンディ』って呼ばれることになっちゃったけど……」


 と、中学3年の春風は気まずそうに「ハハ」と笑いながら答えた。


 すると、


 「……して」


 「?」


 「どうしてなの? 5年前、僕は……()は、あなたから両親を奪ったのよ? 両親だけじゃない、所長も、仲間も裏切って、いっぱい人を死なせて、いっぱい人を悲しませたのよ?」


 と、流……否、流子は涙を流しながらそう尋ねてきた。


 その質問に対して、中学3年の春風は答える。


 「……確かに、あなたはお父さん達を裏切りました。ブレイン・ロードって人達によって人がいっぱい殺されました。その所為で、お父さんとお母さんは僕を救って死んで、僕自身も、世間では『死んだ』ってことにされました。そして今、あなた方は『村』みんなを、僕の『大切な人達』に酷いことをしました。それは、絶対に許しちゃいけないことです」


 「だったら……!」


 「だけど……それでも僕は、あなたに生きて欲しい。ぶった斬ろうとしたことは、本当にごめんなさい。死んじゃったらどうしようって思ったけど、生きてくれてよかったって思ってます」


 そう謝罪した中学3年の春風を見て、流子は更に体を震わせる。


 「どうして? どうしてあなたは、そんな風に優しくなれるの!?」


 大粒の涙を流しながらそう尋ねる流子に、中学3年の春風は真っ直ぐな眼差しを向けながら答える。


 「決まってるでしょ? 『友達』だからですよ!」


 「と、友……達?」


 「そうです! あなたとブレイン・ロードの連中は、確かに酷いことをしました。でも僕は、お姉さん達に生きて償って欲しいって思ってます! だから……!」


 そう答えると、中学3年の春風はスッと左手を出して、


 「一緒に帰りましょう? 帰って、みんなに『ごめんなさい』して、やってしまったことを償いましょう? 大丈夫、僕も手伝いますから」


 と言った。


 その言葉を聞いて、流子の震えは止まった。


 「……強いのね」


 と、流子はそう口を開いたが、グッと拳銃を握って、


 「ごめんね春風。私は、あなたのように強くはないの。親の仇を、『友達』と呼べるような、あなたみたいに」


 そう言うと、銃口を自身首筋に当てて、


 「さよなら、大好きな私の『友達』。あなたは、生きて」


 「! 駄目だよ、流子お姉さん!」


 と、中学3年の春風は止めようとしたが、それよりも早く、流子は引き金を引いた。


 そして、バァンという音と共に、銃弾は彼女の首を撃ち抜いて、それと同時に、彼女の体は崖下へと落ちていった。


 「お姉さぁあああああん!」


 と、中学3年の春風が崖縁に立った時、そこには荒れる海が見えるだけで、彼女の姿はなかった。


 「……馬鹿だよ、()()()()()()。僕は……俺は……」


 流子が消えた後で、中学3年の春風は叫ぶ。


 「俺は強くなんかない! 強くなんかないんだよぉおおおおおおおっ!」


 そう叫んだ中学3年の春風を、


 「春風……」


 と、丈治達は悲しそうな表情で見つめていた。


 


 


 


 


 


 

謝罪)


 大変申し訳ありません。この話の展開を考えていたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結局1日遅れの投稿となってしまいました。


 本当にすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ