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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第473話 春風編34 「最悪の再会」と、「出発」

 今回はいつもより長めの話です。


 「……アンディ博士?」


 と、燃え盛る「村」の中でそう呟いた中学3年の春風。


 その彼の目の前には、亡き父・冬夜と同じ「愛染総合科学研究所」の科学者である、アンディこと安土流がいた。


 そして、


 「本当に、春風なのか?」


 その流もまた、目の前にいる中学3年の春風を見てそう尋ねると、


 「春風ぁ!」


 と、背後で声がしたので、中学3年の春風がハッとなって振り向くと、そこには自身のもとへと駆け寄ろうとする中学3年の水音がいた。


 その時だ。


 「水音、来ちゃ駄目だ!」


 中学3年の水音の更に後ろに、銃を構えた人影を見つけて、中学3年の春風は思わずそう叫んだ。


 その瞬間……。


 ーーダダダダダッ!


 人影から数発の銃弾が、水音に向かって放たれた。


 そして、


 「水音ぉ!」


 ーーバッ!


 「うわっ!」


 その間に割り込むように凛依冴が水音に抱きついて、銃弾を回避してが、


 「あぐっ!」


 「師匠!」


 それでも完全に回避したわけではなかったので、数発の銃弾が凛依冴の体を数ヶ所かすめた。


 中学3年の春風はそれを見た瞬間、


 「テメェエエエエエエエッ!」


 と、ブチキレて両足に風を纏わせると、素早く銃を撃った人影に向かってジャンプし、


 「うあああああああっ!」


 と、その人影に強烈な飛び蹴りをかました。


 「グアッ!」


 蹴り飛ばされた人影はmその勢いで背後の壁に激突すると、そのまま意識を失った。


 その後、


 「師匠! 水音!」


 と、中学3年の春風はすぐに凛依冴達のもとへと駆け寄った。その近くには、先ほど助けた「村」の住人がいた。


 「師匠、水音、大丈夫ですか!?」


 と、中学3年の春風が尋ねると、


 「く、私達は大丈夫、それより奴らを追って、奴ら『村』の子供達を!」


 と、負傷した凛依冴がそう答えたので、中学3年の春風は「何だって!?」と立ち上がった。その後、


 「『村』の裏手にも、あいつらが乗ってた乗り物があるのを見た。そこに子供達がいる!」


 と、住人がそう教えたので、中学3年の春風は「ありがとうございます!」と言うと、すぐに「村」の裏手へと駆け出した。


 暫く走ると、住人が言ったように、入り口にあったワゴン車とは違う頑強そうな大型の車があり、そこには武装した人物が数人と、彼らに無理矢理大型の車に乗せられている「村」の子供達 、そして、流の姿があった。


 「待てぇ!」


 と、中学3年の春風が叫ぶと、武装した人物達は春風に向かって持っている銃を構えて、撃った。


 「っ!」


 その瞬間、春風はすぐに横に飛んでその銃弾を回避すると、足下に落ちてた石を数個拾い上げ、それに風を纏わせると、銃を撃ってきた人物達に向かって投げた。


 「ぐっ!」


 「グアッ!」


 風を纏った石は、全て武装した人物達の銃を持った手に当たり、その為彼らは思わず銃を落とした。


 そして、


 「邪魔だぁあああああっ!」


 と、そこへ中学3年の春風による飛び蹴りやパンチが入り、武装した人物達は全員倒された。


 しかし、


 「しまった!」


 そうこうしていたうちに、流と子供達を乗せた大型の車が動き出した。


 「ま、待て……!」


 と、中学3年の春風は追いかけようとしたが、


 「あ、あれ?」


 と、何故かヨロヨロと地面に倒れてしまった。


 「や、やばい、力を使いすぎた」


 と、中学3年の春風がそう呟くと、


 「ま、待て、待ってよ、アンディ博士! 子供達を返してよ!」


 走りだした大型の車に向かって、中学3年の春風はそう叫んだ。


 しかし、その声が届くことはなく、


 「返してよ、アンディ博士ぇえええええっ!」


 大型の車はそのまま走り去り、その瞬間、景色が真っ黒に染まった。


 「……アンディ博士」


 と、その時の記憶を見た春風が、悔しそうな表情でそう呟いた時、また景色が変わった。


 そこは、同じく「村」の裏手のようで、今、春風の目の前では、中学3年の春風が、武装した人物達が乗っていたバイクに跨っていた。


 「よし、上手く動くぞ」


 と、中学3年の春風が小さくそう呟くと、


 「は、春風、何してるの?」


 と、背後にいる中学3年の水音にそう尋ねられた。


 「……水音、俺、行ってくる」


 「い、行ってくるって、何処に?」


 「決まってるだろ、子供達を助けに行くんだ。あいつらのアジトの場所はわかったからね」


 と、中学3年の春風はそう答えると、


 「だ、駄目だよ春風、危険すぎるよ! ここは……そう、警察! 警察にお願いしようよ!」


 と、中学3年の水音はそう提案したが、


 「無理だよ。警察じゃあいつらをどうにかすることは出来ない。それに急がないと、子供達が危ないから」


 と、中学3年の春風はそれを却下し、出発しようとした。


 すると、


 「……何でだよ」


 「?」


 「そんな危険な連中なら、何で春風が行くんだよ!? 何で春風が行かなきゃいけないんだよ!?」


 と、中学3年の水音が、中学3年の春風に近づいて、肩を掴もうとした。


 だが、中学3年の春風は逆にその手を掴んで、


 「……あいつらは、住人達に酷いことをした」


 「え?」


 「……子供達も、連れ去った」


 「な、何を……」


 「……師匠と、水音を、傷つけた」


 「何を言って……」


 そして、中学3年の春風は、中学3年の水音の胸ぐらを掴んで、叫ぶ。


 「俺の『大切なもの』を、傷つけやがったんだ! 行く理由なんて、それだけで充分だ!」


 と、今にも泣きだしそうな表情でそう叫んだ中学3年の春風に、中学3年の水音は何も言えないでいた。


 するとそこへ、


 「春風……」


 と、2人の前に包帯を巻いた凛依冴が現れた。よく見ると、その手に何か長いものを持っているのが見えたが、


 「し、師匠、お願いします、春風を……!」


 と、中学3年の水音は、幸運と言わんばかりに凛依冴に春風を止めてほしいと頼もうとした。


 だが、


 「……春風、コレを持って行きなさい」


 と、凛依冴はそう言って、中学3年の春風に持っていた長いものを渡した。


 それは、どうやら布袋に入れられた長い棒のようなもので、受け取った中学3年の春風は「何だろう?」と思ってその中を見ると、


 「……あ」


 それは鞘に収まった日本刀だった。それを見て、中学3年の春風は、


 「彼岸花……」


 と小さく呟くと、凛依冴を見た。


 「し、師匠、何をしてるんですか?」


 と、尋ねてきた中学3年の水音を無視して、凛依冴は中学3年の春風に言う。


 「それを持って、あなたに『大切なもの』取り戻してきなさい。ただし、あなたも絶対に生きて帰ってきて」


 その言葉を聞いて、中学3年の春風は、


 「はい! 絶対に、生きてみんなを連れて帰ります!」


 と、力強く返事をした。


 そして、「え、そんな、駄目だよ! 何で!?」と慌てふためく中学3年の水音を無視して、中学3年の春風は受け取った日本刀・彼岸花を背負い、乗っているバイクを走らせた。


 その際に、


 「行かないで! 行かないでよぉ! 春風ぁあああああああっ!」


 という中学3年の水音の叫びが聞こえた。


 


 

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