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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第471話 春風編32 「記憶」の感想と、「嫌な予感」


 「私は君が欲しい。私のものになれ、春風」


 ミネルヴァがそう言った瞬間、景色がガラリと変わり、春風達は元の何もない部屋へと戻っていた。


 (うわぁ、なんて嫌な記憶だよったく……)


 と、春風が心の中でそう呟くと、


 「で、ミウさん。君は何で俺の頬を抓ってるのかな?」


 と、チラリと美羽を見てそう尋ねた。尋ねられた美羽はというと、春風が言うように、ギュッと春風の頬を抓っているのだが、それと同時に体をプルプルと震わせながら、顔を真っ赤にして目に大粒の涙を浮かべていた。


 「春風が()()()()()思い出したからでしょが!」


 と、震えた声で美羽が怒鳴ると、春風は「ああ……」と、自分と美羽との記憶かと思い出して、


 「うん、ごめんなさい」


 と、抓られた状態のまま美羽に謝罪した。


 すると、


 「ま、まあまあミウッちちゃん、ハルッちも悪気があったわけじゃないし、俺らもミウッちちゃんの気持ちはわからないわけでもないから」


 「そ、そうそう、あんなの見たら俺らだってビビるわマジで!」


 と、恵樹と鉄雄が美羽を宥めた。


 必死になっている2人の言葉を聞いて、美羽は「うぅ……」と唸りながら春風の頬から手を離すと、


 「てゆうか幸村、色々突っ込みたいけどまずは()()から言わせてくれ」


 と、それまで黙っていた小夜子が、春風に向かって何やらもの凄く真面目な表情でそう言ったので、


 「な、何ですか、先生?」


 と、春風が恐る恐る尋ねると、小夜子は春風の両肩をガシッと掴んで、


 「お前、ブレイン・ロードとか、神代総理大臣とか、『村』の『村長』さんとか、桜庭とか、山主さんとか、天上とか、で、今のミネルヴァさんとか、なんかもの凄い『出会い』多くないか!? 流石にちょっと()()過ぎる人生を送ってるんじゃないか!?」


 と、ユッサユッサと揺すりながら問い詰めてきた。それと同時に、他の仲間達も皆、「うんうん」と頷いていた。


 必死な形相で問い詰めてきた小夜子に対して、春風はというと、


 「……え、そんなに濃密でした?」


 と、本気で「何言ってんですか?」と言わんばかりの表情でそう尋ね返したので、


 『どう見ても濃密だろうがぁあああああああ!』


 と、仲間達はピシッと青筋を立てて一斉に突っ込みを入れた。


 ただ、冬夜と雪花と静流はというと、


 「うーん。まぁ確かに……」


 「私達から見てもちょっと……」


 「濃密よねぇ……」


 と、遠い目をしながら「ハハ……」と乾いた笑い声をこぼしていた。


 その時、


 「ねぇ、ちょっといいかしら?」


 と、ユリウスが「はい」と手を上げた。


 「? 何でしょうか?」


 と、春風が尋ねると、


 「あなたがあの『村』での訓練のおかげでで『力』が使えるようになったわかったけど、それは今でも出来るの?」


 と、ユリウスが真剣な表情で尋ね返してきた。


 春風はその質問に対して、


 「出来ますよ」


 と答えると、スッと右腕を上げて、手の平で小さな『竜巻』を作った。勿論、皆が見てもわかるように色をつけて、だ。


 それを見て、ユリウスを始めとした仲間達は「おおっ!」と歓声をあげた。


 「え、は、ハル兄さん、そ、それって、スキルによるものじゃ、ないの?」


 と、ルーシーが尋ねると、


 「ああ、こいつはこの世界風に言うなら、俺の中にある『風』属性の魔力を放出させただけだよ。放出させるだけなら、スキルとか必要ないんだ」


 と、春風はあっけらかんとした表情で答えた。


 「う、嘘でしょ? あの『村』の人達、一体何者なのかしら……」


 と、ユリウスが考え込んでいると、突然壁の一部がゴゴゴと開いて、新たな通路が現れた。


 春風はその通路を見て、


 「あ、ほら、新しい通路が出てきましたよ! さぁ、みんな、先へ進みましょう!」


 と、早歩きで通路へと進み始めたので、


 「あ、コラ! 逃げるな!」


 と、小夜子と仲間達はすぐに春風を追った。


 その最中、春風はというと、


 (……でも、村長さんや水音達はともかく、何で明華さんやミネルヴァさんも出てきたんだろう?)


 と、疑問に思い、


 「何か、凄く()()()()がするなぁ」


 と、小さい声でそう呟いたが、


 「ま、考えても仕方ないか」


 と、春風はそう考えて、これ以上考えるのをやめた。


 しかし、まさか近い将来、その「嫌な予感」が現実のものになっしまうとは、この時の春風は知るよしもなかった。


 


 

 


 

 

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