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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第4章 誕生、ユニークなハンター?

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第47話 食堂でのひと時


 オーナーのレジーナの娘シェリルに案内された部屋に入ると、春風はマントを脱いで左腕のガントレットを外すと、部屋のベッドに座った。当然だがマントの下は白い襟首を持つ薄い灰色の袖なしシャツに革製の胸当てをつけている。因みに、リアナの部屋は春風の隣で、今は部屋に戻っている。


 その後、暫くベッドの上でぐったりしていると、


 ーートントン。


 「ハル、いる?」


 と、ノックの音と共にリアナの声が聞こえたので、春風はすぐにベッドから降りて、部屋のドアを開けた。


 「リアナ、どうしたの?」


 「晩ご飯、一緒に行こう!」


 リアナがそう言った次の瞬間、春風のお腹が「ぐぅうううう」と大きく鳴った。


 それを聞いた春風は顔を真っ赤にして、


 「……うん、行こう」


 と、恥ずかしそうに頷いた。


 この「白い風見鶏」という宿には食堂兼酒場が備わっており、2人が入った時には既に夕方という事もあってか、沢山の人が食事か酒を楽しんでいた。


 「あ、ハル、あそこが空いてるよ」


 そう言ってリアナが指差したのは、入って奥にあるカウンター席だった。2人は他の人に取られる前に、急いでその席に座った。


 「……いらっしゃい」


 カウンターで2人を迎えたのは、鋭い目つきと鍛え上げた筋肉を持つ大柄の男性だった。


 (あ、白いエプロンがスッゲェ似合ってる)


 春風は心の中でそう感心すると、


 「紹介するね、レジーナさんの旦那さんで、料理人のディランさん。ちょっと無口だけど、優しい人で料理がすごく美味しいの」


 と、リアナが小声で男性をそう紹介した。


 男性ーーディランは鋭い目つきで春風を見た後、


 「……よろしく」


 と、ぺこりとお辞儀をして挨拶したので、春風も頭を下げて、


 「あ、どうも、ハルと申します。よろしくお願いします」


 と返した。


 「……注文、どうする?」


 挨拶が終わると、ディランが何を食べたいか聞いてきた。


 「え、えーと……」


 春風がどれにしようか悩んでいると、


 「私と同じのでいいかな?」


 と、リアナが尋ねてきた。


 「同じのって……リアナは何を頼もうとしてるの?」


 「『ロック・ボアのクリームシチュー』、ここのおすすめだよ」


 「じゃあ、それでいいよ」


 「うん、わかった。ディランさん、『ロック・ボアのクリームシチュー』を2つ、パン付きで!」


 リアナがそう注文すると、


 「……わかった」


 と言って、ディランは早速料理に取り掛かった。


 暫くすると、出来上がった料理が2人の前に出された。


 (おお、結構美味しそうだな)


 そう思った春風は皿の横に置かれたスプーンを手に取って、


 「いただきます」


 と言うと、中に入ってる肉(おそらくロック・ボアの肉だろう)を掬い上げると、パクリと口の中に入れた。


 すると、


 (う、美味い!)


 じっくりと煮込まれた肉の旨味が、口の中いっぱいに広がった。


 そして、それに刺激されたのか、一口、また一口とシチューを口の中に放り込んだ。当然、途中でパンをちぎってシチューにつけると、そちらも口の中に放り込んだ。


 「ふぅ」


 気がつくと、シチューで満たされていた皿の中は空っぽになっていた。


 「凄い食べっぷりだね!」


 それを見て、リアナは「アハハ」と笑いながら言った。


 「さて、私も食べ終わったところで、ディランさん、『蜂蜜酒』2つ追加ね」


 「え?」


 「……わかった」


 そう言ってディランは2人が食べた料理の皿を片付けると、黄色い飲み物が入ったグラスを差し出した。


 春風は恐る恐るリアナに尋ねる。


 「あの、リアナさん?」

 

 「なあに?」


 「もしかしなくてもこれ、お酒?」


 「そうだけど……どうしたの?」


 「……俺の故郷、お酒は20歳からなんだ」


 「え、そうなの!?」


 リアナはその答えに驚いたが、すぐに笑顔になって、


 「じゃあ、一足早く『大人の味』を堪能って事で! ああ、心配しないで。これそんなに強いものじゃないから!」


 春風はすぐに「そう言う問題じゃない!」と言いたかったが、その前に、


 「それにね、これだけじゃなくって、さっきのシチューも、私の奢りだから」


 とリアナに言われて、春風は思わず「は?」となった。


 「どういう事?」


 春風がそう尋ねると、リアナは申し訳なさそうな表情になって、


 「今日は、ハルに嫌な思いさせちゃったから。こんな事で許されるわけじゃないのはわかってるけど……」


 「リアナ……」


 そう聞いた途端、春風はリアナ以上に申し訳なさそうな表情になったが、すぐに意を結したようにグラスを持って、


 「いただきます」


 と言うと、ゴクリと中身を一口飲んだ。


 その後、春風はグラスを置くと、


 「うん。とっても美味しいよ」


 と、笑顔でリアナにそう言った。


 「! ありがとう」


 その顔を見て、リアナも笑顔でそう言うと、自分も一口、その蜂蜜酒を飲んだ。


 「はぁあ、美味しい」


 その後、2人が今後の予定について話し合おうとした、その時だった。


 ーーパリィイイイン!


 「「!?」」


 2人の背後で、大きな音が響いてきた。


 


 


 


 


 

 


 


 

 

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