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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第458話 春風編19 「別れ」の時

お待たせしました、本日2本目の投稿です。


そして、今回は「悲しい話」になります。


 エネルギー発生装置の爆発と共に、周囲の景色が黒く染まった。


 (そう。これがあの日起こった『事件』の真相だ)


 と、春風が心の中でそう呟くと、また周囲の景色が変わった。


 (あ、この『記憶』は……)


 そこは、王立科学研究所内の廊下なのだが、大きく警報がなっている上に、あちこちの部屋で炎と黒煙が上がっていた。


 そんな状況の中、廊下をゆっくりと進む者達がいた。


 そう、春風の両親、冬夜と雪花だ。


 そして、冬夜の背には、意識を失っている小学生時代の春風の姿があった。


 それからある程度廊下を進んでいると、


 「う、うーん。お父……さん? お母……さん?」


 と、小学生時代の春風が目を覚ました。


 「ああ、春風。気がついたかい?」


 と、冬夜が尋ねると、


 「……どう……なってるの?」


 と、小学生時代の春風は意識がハッキリしないままそう尋ね返した。


 それを聞いて、隣にいる雪花は「それは……」と答えるのを躊躇ったが、


 「あのエネルギー発生装置の爆発で、()()()()()()()()()になっちゃってね」


 と、冬夜はざっくりと小学生時代の春風に説明した。


 その説明を聞いた後、小学生時代の春風は「そう……」と言ったが、ここで漸く意識がハッキリしたのか、


 「お、お父さん、怪我、怪我は!?」


 と、冬夜が撃たれたことを思い出した。


 冬夜はその言葉を聞いて、


 「ああ、大丈夫。ちょっと痛いけど、我慢出来ない程じゃないから」


 と笑ってそう言ったので、小学生時代の春風はホッとなったが、またすぐにハッとなって、


 「しょ、所長さんは!? リッキーさんや、アーヤさん達はどうなったの!?」


 と、冬夜の肩を掴んで問い詰めた。


 しかし、


 「「……」」


 冬夜も雪花も、その質問に答えることはなかった。


 その後、小学生時代の春風は質問を変えて、


 「あの人達は……アンディ……さんは?」 


 と、恐る恐る尋ねた。


 その質問に対して、雪花は唇を噛み締めたが、


 「彼らはもう、()()()()()()()よ」


 と、冬夜はそう答えた。


 それから暫くの間、3人は無言で廊下を進んでいると、とある部屋に着いた。


 冬夜は部屋の隅に小学生時代の春風を下ろすと、その部屋に設置された、()()()()()を調べ始めた。


 「……駄目だ。これじゃあ……」


 「そう……」


 と、冬夜と雪花がそんな話をしていたが、春風はその内容がわからなかった。


 その後、近くでドォンという大きな音が鳴ると、


 「セっちゃん、ごめん」


 「いいよ、冬夜君」


 と、冬夜と雪花は顔を見合わせて、何処か悲しそうな笑顔になった。


 そして、


 「春風、おいで」


 と、冬夜が春風を抱き抱えると、彼を調べていた機械の中に寝かせた。


 「お、お父さん、この機械、何?」


 と、小学生時代の春風が尋ねると、


 「緊急用の脱出装置だよ。これで、君を外に出すから」


 と、冬夜は笑顔でそう答えたので、小学生時代の春風は「そうなんだ」と呟いたが、冬夜達の様子がおかしいことに気づいて、


 「……ねぇ、お父さん達はどうするの?」


 と、再び尋ねた。


 その質問に対して2人は、


 「「……」」


 と、無言で困ったような笑みを浮かべた。


 その瞬間、小学生時代の春風は2人が何をしようとしているのかに気づいて、


 「だ、駄目だよ……!」


 と、すぐに起きあがろうとしたが、それよりも早く脱出装置が起動して、春風は中に閉じ込められた。

 

 「お父さん! お母さん! 何で!? どうして!?」


 と、小学生時代の春風は中でドンドンと叩きながらそう叫んだが、


 「ごめんね春風。これで逃げられるのは1人だけなんだ」


 「ええ。だから、私達は一緒に行けないわ。ごめんなさい」


 と、2人は穏やかな笑みを浮かべながらそう謝罪した。


 それにショックを受けたのか、


 「い、嫌だ、嫌だ嫌だ! 嫌だよ! お父さん! お母さん!」


 と、春風は更にドンドンと叩きながらそう叫んだ。


 しかし、それでも2人は穏やかな笑みを浮かべたまま、


 「さようなら、大好きな息子、春風……」


 「さようなら、私達の愛しい春風……」


 「「どうか、生きて幸せになって」」


 と言うと、近くのスイッチを押した。


 それと同時に、部屋の中が炎に包まれて、冬夜と雪花はそれに飲み込まれた。


 

 


 


 


 

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