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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第450話 春風編11 父(今は兄)からの「謝罪」


 「……そう。この時の俺は、確かに『賢者』に憧れを抱いてたんだ」


 元いた場所に戻ってから、春風はそう呟いた。


 その呟きを聞いて、共に記憶を見ていた冬夜は若干気まずそうに口を開く。


 「うーん。確かに、『地球』風で言うなら、『賢者』=『世界一の科学者』っていうのはあってるかもしれない。だけど……」


 「?」


 「正直に言うと、僕は……僕や所長達は、春風が思ってるような素晴らしい人間じゃないよ。本当に素晴らしい人間なら、7年前の()()()、君を置いて死んだりなんてしないから……」


 そう言うと、冬夜は悲しそうな表情で下を向いて、


 「ごめんね、情けない()()()()で。本当に、ごめん」


 と、春風に向かってそう謝罪した。


 「冬夜君……」


 そんな冬夜を見て、雪花も、そして春風の仲間達も、悲しそうな表情になった。


 しかし……。


 「それでも……」


 「?」


 「それでも、お父さんや所長さん達は、俺にとって大切な人達だよ。だって、いつも凄く楽しそうに仕事しているし、俺やお母さんのことも置いてったりしなくて、寧ろ俺達と一緒にいる時間を、凄く大切にしてくれたから」


 と、春風は笑顔でそう言った。


 その言葉を聞いて、冬夜は「春風……」と呟くと、春風は更に話を続ける。


 「まぁ、確かにお父さん達が死んでから、悲しいことや理不尽なことがいっぱいあったけど、別に悪いことばかりじゃなかったよ。オヤジと一緒に店やってるの楽しかったし、近所の人達も良い人ばかりだし、マリーさんの弟子になってから、あちこち『旅行』しまくったし、その間に水音とも出会えて、この世界に来てから、いろんな人達にいっぱい出会ったし、それに……」


 『?』


 「こうして、またお父さんとお母さんに会えただけじゃなくて、オヤジの奥さん……いや、()()()()()()()()に会えたから」


 「は、春風……!」


 春風の言葉を聞いて、静流はジーンと泣きそうになった。


 そして、


 「まぁ、そんなわけでさ……」

 

 春風は最後に言う。


 「これからもよろしくね、()()()


 それを聞いて、冬夜は「ハハ」と小さな声で笑うと、


 「ああ、僕達もよろしくね。そして、今度こそ君を置いていったりしない、絶対に」


 と、目元を拭いながら、春風に向かって笑顔でそう言った。


 その言葉に春風を除いた周囲が、ジーンと感動したかのような雰囲気に包まれたが、


 「……ところでぇ」


 次の春風の言葉で、その雰囲気が崩れた。


 「ユメちゃん。ミウさん。ルーシー。何で君達、俺に抱きついているのかなぁ?」


 と、そう尋ねた春風の右腕には歩夢、左腕には美羽、そして背後にはルーシーがギュッと抱きついていた。


 尋ねられた3人は答える。


 「フーちゃんが悪いんだよ」


 「そうよ、師匠とあんなに()()()()()()しちゃってさ」


 「う、うん。は、ハル兄さん、全然、嫌そうな顔、してなかった」


 そう答えると、3人は抱きつく力を強めた。


 それに対して、


 「え、えぇ? お、俺が悪いの?」


 と、春風が戸惑いの表情を見せると、


 「ハルッち……」 


 と、不意に恵樹が話しかけてきた。


 「な、何、ケータ?」

 

 と、春風がゆっくり恵樹の方へと視線を移すと、


 「今のハルッちに()()()()な言葉を贈るね」


 と、恵樹は表情を暗くしながらそう言ったので、春風は頭上にいくつもの「?」を浮かべた。


 そんな春風向かって、恵樹は言い放つ。


 「リア充、爆散しろぉ!」


 「な、なんでやねん!?」


 「ハルッちに突っ込みの資格はなぁい!」


 恵樹のあまりにも酷いセリフを聞いて、


 「そ、そんなぁ!」


 と、春風はショックで膝から崩れ落ちそうになったが、残念な……いや、幸福なことに、抱きついている歩夢達に支えられていたので、そうはならなかった。


 ただ、受けた精神的ダメージは深いようだが。


 それを見て周囲が皆「アハハ」と笑い出した。


 その後すぐに、ゴゴゴという音と共に新たな通路が現れたので、


 「さ、さぁ、みんな! 次行こうか、次!」


 と、春風はなんとか誤魔化しながら、仲間達と共にその通路を進むことにした。

 


 


 

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