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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第14章 更なる「力」を求めて

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第432話 水音編28 白い水音の「疑問」


 3年前の出来事の「記憶」を身終えると、ループス達はまた元の真っ暗な闇の中へと戻った。


 分身1号は「記憶」の内容を思い出して悲しそうな表情をし、更に大きなった水音は今も蹲ったまま、


 「ごめなさい……ごめんなさい……」


 と、謝罪をし続けていた。


 そんな更に大きくなった水音をループスは心配そうに見つめたが、ふと白い水音を見て、


 「ん? オイ、どうした?」


 と、口を開いた。その言葉に分身1号が「ん?」と白い水音の方を向くと、彼は今何か考えことをしていたようだった。


 ループスに声をかけられた白い水音は、それまでしていた考える仕草を解くと、


 「ループス様、何かおかしくありませんか?」


 と、真面目な表情でループスに向かって尋ねた。


 「『おかしい』って?」


 と、ループスが首を傾げると、


 「僕は水音君の中に植え付けられてから今日まで、彼の中のことを十分に理解した気でいたのですが、『記憶』に関してはどうしてもわからなかった部分があるのです」


 と、白い水音はそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「わからなかった部分?」


 と、今度は分身1号が白い水音に尋ねると、


 「幼少期の、()()()()()だけが、何故か見ることが出来なかったのです」


 と、白い水音は分身1号に向かってそう答えた。


 「オイ、それってもしかして、今まで俺達が見てきた記憶のことか?」


 と、ループスが再び尋ねると、


 「ええ、今回初めてその記憶を見たのですが、どうも水音君がループス様達に話したものとは何か違うように感じたのです」


 と、白い水音はコクリと頷いてそう答えた。


 「『違う』……だと?」


 「はい。例えば最初に見た従兄弟殿達との記憶ですが、水音君は彼らにいじめられていたと言ってましたが、あの場面はどう見ても、『いじめられた』というより、『後ろにいる()()を庇っていた』ように見えたのです」


 「何かって、何なの?」


 「残念ながらそれは僕にもわかりませんでした。よく見ようとすると、何故かその辺りだけが黒く染まっていたのです」


 「マジかよ」


 「それだけではありません。お爺さんとの口論していた時も、やはり彼は何かを庇っていた様子でした」


 「「……」」


 「そして極め付けは、3年前の記憶です」


 と、白い水音がそう言うと、更に大きなった水音は蹲ったままビクッとなった。


 白い水音は続ける。


 「妹さんが傷つけられて、少年達に取り押さえられた際に、水音君は彼らに向かって叫んでましたよね?」


 「ああ、途中から何故か何を言ってるのかわからなかったがな。その話をした時、水音は『陽菜に手を出すな!』って言ってたが」


 「う、うん、僕もそう聞いたけど」


 「ですが、そう叫んでいた時の水音君の表情は、『妹を傷つけられて怒った』というより、何か『焦った』ような感じでした」


 「焦った?」


 「ええ、まるで、この後起こる『とんでもないこと』から、()()()()()()()()()()()()()()かのような、そんな感じの焦りでした」


 「……めろ」


 「何だよ、『とんでもないこと』って?」


 「それはわかりません、あくまでも『そんな感じがした』ってだけですから。そして、全てが終わった時の部分ですが、ループス様は気づいてましたか? 水音君やご家族、従兄弟殿達の他に、あの場にもう1人、『女性』がいたのを」


 「ああ、そういえばいたな。それが?」


 「あそこにいたのは、()()()()()()殿()でした」


 「何だと……って、あ! そういえば、あの出来事の後、水音の家に凛依冴殿が来たって言ってたな! ん? ちょっと待てよ」


 そう言って、ループスが蹲った更に大きなった水音に視線を移すと、


 「お前、凛依冴殿があの場にいるって知ってたか?」


 と、尋ねた。


 すると、更に大きなった水音はピタッと震えを止めて、


 「……知りません」


 と、小さく答えた。その答えを聞いて、ループスと分身1号は「どういうことだ?」と言わんばかりに頭上にいくつもの「?」を浮かべた。


 その状況の中、白い水音が口を開く。


 「これはあくまでも『推測』ですが……」


 「「?」」


 「水音君、君は僕達にまだ『言ってないこと』があるんじゃないか?」


 と、白い水音がそう尋ねると、更に大きなった水音はゆっくりと顔を上げて、白い水音を睨みつけて、


 「……何を、言ってるの?」


 と、尋ね返した。


 その様子を見て、ループスと分身1号は更に頭上に「?」を浮かべていると、白い水音はそれに構わず話を続ける。


 「君が少年達に向かって叫んだ後、記憶がブツリと切れていたよね? もしかして、あの後、何か『とんでもないこと』が起きたんじゃないかな?」


 と、白い水音がそう尋ねると、更に大きなった水音はゆっくりと立ち上がって、


 「……違う」


 と、白い水音を睨みながら答えた。


 そんな更に大きなった水音を見て、ループスが白い水音に尋ねる。


 「だ、だから何だよ『とんでもないこと』って? もしかして、水音の『暴走』以上にやばいことが起きたってか?」


 「……違う」


 「ええ、ですから本当にあくまでも『推測』ですが、恐らくあの叫びの後、水音君の暴走とは違う『何か』が起きていて……」


 「……違う違う」


 「その『何か』によって母上殿が……」


 と、白い水音がその先を言おうとしたその時、


 「ちがぁあああああうっ!」


 と、更に大きなった水音はそう叫んで、全身から青い炎を噴出させた。


 そしてその姿は、3年前の時と同じ、中学時代の水音の姿に変わっていた。


 中学時代の水音は、全身を青く燃やしてループス達を睨みながら叫ぶ。


 「全部僕がやったんだ! 僕が航士達を、母さんを傷つけたんだぁあああああっ!」


 


 


 


 


 

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