第382話 占いが終わって……
エスターによる春風、リアナ、水音への「占術」という名の占いが終わると、テントの中はシーンと静まり返った。
春風達をふくめて、誰もがその結果に「うーん」と考え込んでいると、
「ダァーッ! 駄目だ駄目だ! ここで唸ってても何も始まらねぇー!」
と、ギルバートが沈黙を破るかのように叫び出した。
その叫びを聞いて誰もがギョっとなると、ギルバートは怒鳴るように続ける。
「お前ら、彼女の話は聞いただろ! だったら迷うことはねぇ! 行動あるのみだろが!」
そのセリフを聞いて、誰もがポカンとなると、
「……そうですね。考えても、仕方ないですよね」
と、春風が「フフ」と笑いながらそう言った。それに続くように、リアナと水音も、
「「だよね」」
と、笑いながらそう言った。
その後、3人は顔を見合わせると、
「じゃ、行くか」
「「行くとしますか」」
と、すっきりしたような笑みを浮かべてそう言い合った。
そんな3人を見て、ウィルフレッドが口を開く。
「それで、其方達は何処から向かうのだ?」
と、尋ねると、
「それなんですが、ちょっと考えてることがあります」
と、春風が「はい」と手を上げた。
それを聞いて、周囲の人達が「ん?」と頭上に「?」を浮かべると、春風は話を続けた。
「敵がこのまま黙ってるとは思えませんので、1個1個回ってたら時間もかかりますし、きっと何か妨害みたいなことをしてくるかもしれません。ですので、三手に分かれて目的地に向かおうと考えてます」
その提案を聞いて、ギルバートとウィルフレッドを含めた誰もが「なるほど」と納得の表情を浮かべた。
すると春風はエスターの方を向いて、
「すみませんエスターさん」
「何でしょうか?」
「今の『占術』の結果についてですが、その辺りで何かアドバイス的なものがありましたら教えてほしいんですが、よろしいでしょうか?」
と、尋ねた。
尋ねられたエスターは「そうですね」と小さく呟くと、
「まずはリアナさんですが……」
その言葉にリアナが「ん?」と首を傾げると、エスターは視線をとある人物に向けて、
「あなた、この場所のことご存じありませんか?」
と、リアナへの「占術」に時につけた印を指差しながらそう尋ねた。
尋ねられたその人物はチラリと地図とリアナを交互に見ると、
「……ああ、知ってるぜ」
と、若干気まずそうにしながら答えた。
エスターはその答えを聞いて、
「そうですか」
と呟くと、次に水音を見て、
「水音さんでしたら……」
とう言うと、今度は視線をループスに移して、
「えっと、無礼を承知でお尋ねしますが、『邪神』……ですよね?」
と、恐る恐る尋ねた。
尋ねられたループスは「ハァ」と溜め息を吐くと、
「その呼ばれ方は不本意だし、こんな見た目をしているが、一応『邪神』で合ってるよ。ああ、因みに、俺の名前はループスな」
と、「やれやれ」と言わんばかりの表情をしながらそう答えた。
それを聞いてエスターは、
「わかりました。では、ループス様。水音さんへの『占術』に関してですが、この地へはあなたも向かわなければいけないとも出ていました」
と、水音への『占術』の時につけた印を指差しながらそう言ったので、
「え、まじかよ!?」
と、ループスは「何で俺まで!?」と言わんばかりの驚きの表情になった。
その後、エスターは、
「そして、最後に春風さんですが」
と、春風を見てそう言ったので、春風はゴクリと身構えた。
「あなたに関してですが……」
ーードキドキ。
「特にありませんね」
『ないのかよ!』
思いっきりずっこけた。
しかし、
「ああ、でも待ってください! 1つありました!」
と、大慌てでエスターがそう言うと、春風は今度こそ身構えた。
「『ただあなたらしくあれ』。私が言えるのはそれだけです」
春風はその言葉を聞いて、
「最高のアドバイスじゃないですか」
と、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
その顔を見て誰もが、
『ちょっと! その凶悪な笑みは何!?』
と、突っ込みを入れると、
「じゃ、じゃあよぉ! 後は誰が一緒に行くか話し合おうじゃねぇか!」
と、ギルバートが大慌てでその場を仕切った。
その後、誰が春風達と行動を共にするか、全員で話し合うのだった。
予定ですが、次回あたりで今章最終話になります。




