第379話 残った問題・2
今回はいつもより短めの話になります。
なんやかんやで彼岸花に関する問題が解決して、春風達がホッとしていると、
「さて、それじゃあ残った『問題』についても話し合おうじゃないか」
と、ヘファイストスがそう言ったので、春風達が「ん? 問題?」と頭上に「?」を浮かべると、ヘファイストスは「何言ってんだ?」と言わんばかりの表情になって、
「オイオイ、忘れたのか? お前達のパワーアップについてだよ」
と、春風、リアナ、水音の順に指差しながら答えた。
指を差された3人は、
「「「あ」」」
と、たった今思い出したかのような、なんとも間抜けな表情になった。
その後、
「オイ、お前ら、今のはどういう意味だ?」
と、ギルバートが「教えろ」というプレッシャーをかけて尋ねてきたので、すぐに3人は円陣を組んで、
「どうしよう」
「いや、『どうしよう』って言われても……」
「うん、なんかギルバート陛下だけでなくみんなも『え、何それ?』って顔してるし……」
と、周りに聞こえないようにヒソヒソと話し合った。
そしてある程度話終えると、
「えーとですね……」
と、春風は意を決したかのような表情で、昨夜見た「夢」のことを話し始めた。勿論、少女エルードのことは出来るだけ伏せておくという形で
そして説明が終わると、
「……なるほど、そういうことか」
と、話を聞いていたギルバートは納得したかのような表情になった。
そしてギルバートに続くように、ウィルフレッドも口を開く。
「確かに、相手は『神』を名乗る存在だ。単純にレベルを上げてスキルや装備を充実させればいいというものではないだろうな」
すると、そこへ更にクローディアも口を開く。
「しかし、そうなるとどのようにパワーアップなどさせればいいんだ? 我々はレベルアップ以外の方法など知らんぞ」
クローディアのその疑問を聞いて、春風、リアナ、水音だけでなく、ギルバートとウィルフレッド、更には春風の仲間達も表情が暗くなった。
その時だ。
「あ、そうか! だからあいつ……」
と、ギルバートは何かを思い出したかのようにそう言うと、
「ちょっと失礼!」
と、ギルバートは小走りでテントの外に出た。
それから少しして、
「お待たせぇ!」
というセリフと共に、ギルバートがテントの中に戻ってきた。よく見ると、
(あれ? 昨日来た女の人?)
と、春風が心の中でそう呟いたように、ギルバートの横には、昨日来た黒いローブに身を包んだ女性がいた。
その女性を見て、
「あの、ギルバート陛下、その人は?」
と、春風がギルバートにそう尋ねると、ギルバートはニヤリと笑って答える。
「今のお前達に必要な人物だ」
と、ギルバートがそう言うと、
「初めまして、異世界から来た固有職保持者さん」
と、その女性はギルバートの前に出て、それまでかぶっていたフードを外すと、
「私の名は、エスター・ペニントン。『占術師』の固有職保持者です」
と、穏やかな笑みを浮かべてそう名乗った。
その言葉を聞いて、春風だけでなく他の人達も皆、
『.……え?』
と、頭上にいくつもの「?」を浮かべると、今度はギルバートが女性、エスターの横に立って、
「そう。何を隠そう彼女は、帝国保護している固有職保持者だ」
と、ドヤ顔でそう言い放った。
それを聞いて春風達は、
『……え?』
と、また頭上に「?」を浮かべると、
『ええええええっ!?』
と、皆一斉に驚きの声をあげるのだった。




