第358話 アデレードとリアナ、そして春風
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「そ、そんなことがあったんですか?」
「ああ。あの後職員の人に聞いたら、なんでも私、闘技台に頭から突き刺さっていたんだそうだ」
「え、さ、刺さってたの!? 叩きつけられたんじゃなくって!?」
「私はそう思ってたんだが、周りの人達はみんな、『思いっきり突き刺さってた』て言ってたよ」
アデレードにそう言われて春風は、
(リアナ、王女様に何しとんねん!)
と、心の中でリアナに突っ込みを入れた。
「とまぁ、その日以来私はリアナと偶にハンターとして共に仕事をしつつ、彼女に再戦を挑んだんだが、その度にもの凄く嫌そうな顔で断られてね。で、そうこうしている内に『紅蓮の猛牛』にスカウトされて入って、で、そこでも仕事をこなしてたら……」
「白金級ハンターになったわけですね?」
「ああ。その頃にはもう、リアナとは疎遠になってしまってね。時々遠くからその姿を眺めるくらいのみとなってしまったわけさ」
と、春風とアデレードがそう話し合っていると、
「いやぁ、懐かしいねぇ」
と、後ろからそう声がしたので、2人は驚いて声がした方へ振り向くと、
「「リアナ!?」」
「ヤッホー」
そこにいたのは、リアナだった。
「ど、どうして、ここに?」
と、驚いた春風が尋ねると、
「ハルのこと探してたの。で、見つけたと思ったらアデレードと楽しそうに話してたから」
と、リアナは頬を膨らませながらそう答えた。
それを聞いて2人は「アハハ」と苦笑いすると、リアナはアデレードを見て、
「で、アデレードは今も私との再戦を望んでるの?」
と、尋ねると、アデレードは「それは……」と答えるのを躊躇ったが、すぐに首を振るった後、真っ直ぐリアナを見て答える。
「……ああ、勿論私はもう一度君と戦いたい。だけど……」
「だけど?」
「……それに負けないくらい、私は、リアナと共にいたいんだ。春風君と同じように」
アデレードはそう言うと、リアナの両手をガシッと握った。
リアナは少し驚いたが、すぐに真面目な表情になってアデレードに尋ねる。
「……友達、みたいなものじゃなくって?」
アデレードは答える。
「『友達』であることもそうだけど、あの戦いに敗北してから……いや、もっと言えば、あの日小闘技場でのリアナの戦いぶりを見て、私はリアナに惹かれたと思っている。いや、惹かれたと言うより、惚れたと言った方がいいのかな。同い年の女の子の君に……」
と、そこまで言ったその時、
「え、ちょっと待って」
と、春風が「待った」をかけた。
「ん? どうしたの?」
と、アデレードが尋ねると、
「アーデさん、失礼を承知で聞きますが……あなた今何歳なんですか?」
と、春風は尋ね返した。
アデレードは頭上に「?」を浮かべながら答える。
「17歳だけど……あれ? もしかして、年上だと思ってた?」
と、アデレードが意地悪するようにそう春風に尋ねると、
「いや、えっと、その、大人っぽい雰囲気を出してるから……すいません」
と、春風はもの凄く気まずそうにそう答えたので、アデレードは「(クスクス)」と小さく笑った。
そんな2人を前に、リアナは口を開く。
「……あのさぁ、アデレード」
「な、何、リアナ?」
アデレードがそう尋ねると、リアナはスッと立ち上がって、ガストとの戦いが終わってからずっとつけていた「擬態のチョーカー」を外して、本来の姿を見せながら、
「私は普通の人間じゃない。人間と獣人と妖精、3つの種族の血を引いている。そして、この世界の、本当の神様であるループス様とヘリアテス様に育てられた『白き悪魔』だよ? こんな私と、本当に一緒にいたいの?」
と、尋ね返した。
すると、
「ああ、勿論さ」
と、アデレードはリアナに真剣な眼差しを向けながら答えた。
その答えを聞いて、リアナは更にアデレードに尋ねる。
「私、もうハルとキスをしたうえに、そのハルが好きな女の子ともキスをしてるんだよ? それでもいいっていうの?」
「そんなもの全然関係ない。私もその子のことを好きになればいいだけのことだ」
まさかの即答だった。
するとそこへ春風が割って入る。
「ちょっと待って、それなら俺だって、イブリーヌ様を含めた複数の女の子や女性の影があるんですけど。おまけにキスまでされましたし、しまいには一緒にお風呂まで入ってしまいましたし……って、あれ? これじゃあ、俺の方が凄い最低なんですけど」
そう言うと、春風は激しい自己嫌悪に陥った。
しかし、
「なら、今度私とも一緒にお風呂に入れば問題ないよ」
と、アデレードにそう言われてしまい、春風とリアナは一瞬ポカンとなったが、すぐに大慌てで、
「「いやいやいや、ちょっと待って……!」」
と突っ込みを入れようとすると、
「「うわぁっ!」」
ガバッとアデレードに抱きつかれて、2人はそのまま押し倒された。
「あ、アーデさん……」
「ちょっとアデレード……」
2人はアデレードに文句を言おうとしたが、
「昨日は思わず『未定』なんて言っちゃったけど……私も、君達の『絆』に加えてほしい」
と、真面目な表情でお願いしてくるアデレードに気押されて、2人はお互い顔を見合わせると、
「……後悔しても知りませんからね」
「……うん、絶対に知らないから」
と、2人はそっとアデレードを抱き寄せた。
それに嬉しくなったアデレードは、
「ありがとう!」
と言うと、春風、リアナの順にキスをした。それも、唇に、だ。
(あ、これやばい。こんなところ誰かに見られたら……絶対に怒られる!)
と、そう思った春風が、ふと周囲を見回すと、
「ゆ〜き〜む〜らぁ〜」
(ゲェ、先生!)
そこには、明らかに鬼の形相をしている小夜子がいた。
「一体お前は何をしてるんだぁーっ!」
「ご、ごめんなさぁあああああいっ!」
その後、3人は小夜子に思いっきり叱られた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。
この話の展開を考えてたら、1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




