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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第13章 新たな「旅立ち」に向けて

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第357話 アデレードとリアナ2


 「……え、断られたの!? リアナ、断ったの!?」


 と、アデレードとリアナの「ファースト・コンタクト」を聞いた春風が、驚きながらアデレードにそう尋ねると、


 「ああ、思いっきり断られたよ。それも『え、何こいつ? 超めんどくさいのが来たんだけ」と言わんばかりのもの凄く嫌そうな表情でね。私、これでも『王女』なんだけどなぁ」


 と、アデレードは遠い目で「ハハ」と笑いながらそう答えた。よく見ると、その瞳は涙で濡れていた。


 それを見た春風は、


 「え、えぇっと、その後どうなったんですか?」


 と、焦ったように再び尋ねると、


 「ああ、それはね……」


 と、アデレードは表情を変えずに続きを話した。


 そして、時はリアナとの出会いに戻って、


 「お願い! 一回だけでいいから私と戦ってくれ!」


 リアナに断られたアデレードは、すぐに両手をパンと合わせてそう頼み込んだが、


 「だから、嫌だっていってるでしょ」


 と、リアナはもっと嫌そうな表情でそう答えた。


 「そんなこと言わずにどうか!」


 「嫌だってば……」


 そんな2人のやり取りを見て、周囲の人達は皆オロオロしていた。


 すると、「あ、そうだ!」と何かを閃いたアデレードは、


 「じゃあ、食事! 戦ってくれたら、今日の夕食私が奢るから!」


 と、提案してきたので、それを聞いたリアナは「ハァア……」と深い溜め息を吐くと、


 「わかった、わかったよ! じゃあ1回だけね! で、勝っても負けても文句は言わない。これでいい?」


 と、うんざりしたかのような表情でそう言った。


 アデレードはそれを聞いて、


 「うんうん、それでいいよ! ありがとう!」


 と、目に涙を浮かべながら嬉しそうにそう返した。


 (オイオイ、それでいいのか?)


 と、周囲が呆れ顔でそう思っていると、


 「あ、そうそう、言い忘れたけど……」


 と、リアナが何かを思い出したかのようにそう言ったので、アデレードは頭上に「?」を浮かべると、


 「ほんっとうにめんどくさいんだけど……私、()()()でいくからね?」


 と、リアナは真剣でそう言ってきたので、


 「いーや、勝つのは私だ!」


 と、アデレードも負けじとギラリとした笑みを浮かべてそう言い返した。


 2人はお互い睨み合いながら、それぞれの武器を構える。


 周囲が緊張に包まれる中、審判役の職員が宣言する。


 「そ、それでは、両者、始め!」


 その瞬間、2人は同時に相手に向かって飛びかかり、お互いの武器を何度もぶつけ合った。


 その後も2人は、お互い一歩も引かない戦いぶりを周囲に見せた。


 豪快に大剣を振るいながらも一流の戦士のように戦うアデレードに対し、美しくも何処か獣のような戦い方をするリアナ。


 そんな2人の戦いぶりに、その場にいる誰もが「オオ……」と見惚れていた。


 そして、アデレード自身も、


 (この子、本当に強い!)


 と、心の中で喜びの声をあげた。


 (ああ、私はこういう戦いをしたかったんだ!)


 そして、アデレードは嬉しさのあまり、


 「[狂人化]、発動!」


 と、自身の持つスキルを発動した。


 「ヒャッハー! さぁ、ドンドンいくよぉーっ!」


 禍々しい赤いオーラを纏った、ムキムキボディとなったアデレードはそう叫びながら、リアナに何度も攻撃を仕掛けたが、


 「……ふーん」


 と、リアナは落ち着いた表情でそれらを全て回避した。


 そして、何度目かになる回避をした後、


 「それじゃあ私も、()()()()()()()()()


 と小さく呟いた。


 それを聞いて、アデレードは「え?」と間の抜けた表情になると、リアナはその手に握る武器を構え直して、


 「いけぇ、『燃え盛る薔薇』!」


 と、その武器をアデレードに向かって投げ槍のように投げた。


 「なっ!?」


 驚いたアデレードは、すぐにその武器を大剣で弾いたが、ふと気がつくと、すぐ側にリアナがいた。


 その後、リアナはガシッとアデレードの顔面を鷲掴みにすると、


 「ハァッ!」


 と高くジャンプして、


 「うおりゃあああああっ!」


 と、そのまま闘技台の上に思いっきり叩きつけた。


 「グハァ!」


 何が起きたのか理解出来なかったアデレードは、そこで意識を失った。


 気がつくと、アデレードは総本部にある医務室ベッドの上にいた。


 側にいた職員に、


 「戦いはリアナ・フィアンマさんの勝利に終わりました」


 と教えられると、


 「そう、ですか」


 と、アデレードは悔しそうな表情になった。


 そんな彼女に、職員は「あ、そうだ」と思い出したかのように口を開く。


 「リアナ・フィアンマさんから伝言を預かっています」


 「?」


 「『ご飯の奢りはまた今度ね』だそうです」


 「!」


 そう言われた瞬間、


 「ハハ、そうですか」


 と、アデレードは「ハハ」と小さく笑いながら言った。


 (リアナ・フィアンマ、か)


 とまぁ長くなってしまったが、これが、アデレードが生まれて初めて「敗北」を味わった時の出来事だった。


 


 


 


 

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