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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第12章 集結、3人の「悪魔」

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第329話 春風と美羽(現在)


 「……そんなことも、ありましたねぇ」


 美羽との出会いを思い出して、春風は「ハハ」と小さく笑った。


 「そうだよぉ。クラスで一緒になった時、最初は大人しそうな人だなって思ってたのに、まさかあんなに()()な一面があったんだから」


 「か、過激って……」


 「でも、何であの時空から落ちてきたの?」


 美羽にそう尋ねられると、春風は恥ずかしそうに顔を赤くして答える。


 「……今だから言うけど、あの日俺、ちょっとした『訓練』をしていて……」


 「訓練?」


 「水音から聞きましたよね? 特殊な『力』を使う集落で、俺も『力』を使えるようになったって」


 「ああ、そういえば……」


 「で、あの日もその訓練をしていたんですけど、ちょっと『力』のコントロールを失敗しちゃって……」


 「それが、あの落下?」


 「……(コクリ)。カッコ悪い理由で、すみません」


 「いいよいいよ、おかげで助かったんだし」


 笑顔でそう言った美羽に、春風は顔を赤くしながら苦笑いする。


 「で、その後私とあなたは話し合った結果、『目立ちたくないからお互いなるべく距離を置こう』ってことになって……」


 「うん、学校の中ではあまり交流を持たないようにしつつ、たまにこうやって話をして、で、中3に上がってクラスが離れて、話す回数も減った中で卒業……と思ったら、まさか一緒の高校になるとはね」


 「そうそう、1年、2年と同じクラスになって、まぁ、中学生の時よりは話す回数も増えるかなってなった時に……」


 「今回の異世界召喚、それも『世界消滅の危機』っていうオマケ付き」


 「そうそう。そしてこの世界に召喚された初日に、あなたがブチキレて大暴れからの、リアナさんと一緒に国外脱出。で、シャーサルで再会して、ユメさん達と一緒にあなたのレギオンに入って、ループス様の分身との戦いの後、帝国に強引に招待されて、憧れの凛依冴師匠の弟子になって、それからも色々あって、今に至るんだよねぇ」


 「そうそう」


 と、2人がそこまで話し合うと、お互い「アハハ」と小さく笑い合った。


 「……ほんっとに、今日まで色んなことがあったね」


 「そうね。あんなに『目立つのは嫌』って言ってたあなたが、いつの間にか()()()()作ってるんだから」


 「うぐ! そ、それは言わないで……」


 と、春風がそこまで言いかけると、


 「……ねぇ」


 と、美羽が真面目な表情で、遮るように話しかけてきた。


 「な、何でしょうか?」


 「あなたは、リアナさんとユメさん、イブリーヌ様や師匠、それにジゼルさんやルーシーさんのこと、どう思ってるの?」


 美羽のその問いに、春風は顔を下に向けて少しの間黙り込むと、


 「……大切だよ。情けないことに、かなり自信ないけど、全員、『大切な存在』。出来ることなら、許されるなら、全員、俺が幸せにする」


 と、真っ直ぐ美羽を見てそう答えた。


 その答えに、美羽は「そう」と小さく言うと、春風の横から正面に移動して、


 「だったら……」


 「え……って、うわぁ!」


 春風は一瞬何をされたのかわからなかったが、すぐに自分が、美羽に()()()()()()のだと理解した。

 

 「み、ミウさん、一体何を……?」


 と、春風が美羽に尋ねると、美羽は真っ直ぐ春風を見て、


 「私も、その『大切』に入らせてもらうから」


 と言った。


 「……へ? な、何言ってるの?」


 突然の告白(?)に、春風はいくつもの「?」を浮かべると、美羽は話を続ける。


 「私ね、3年前のあの日から、あなたのことが気になってたんだ。あんなにすごいのに、そのことを全然自慢しない、あなたが」


 「……」


 「常陽に入ったのだって、偶然だって思ってたでしょ? 実はね、私あなたが常陽に入ろうとしてるのを知って、私も一緒に行こうって決めたんだ」


 「マジで!?」


 「マジで。で、この世界に召喚されてから、最初はあなたも私達と同じ『勇者』で、一緒にこの世界で頑張ろうって思ってたのに、私達のもとを飛び出して、私、すっごく心配したんだからね」


 「それは……ごめんなさい」

 

 「それだけでもショックだったのに、まさかあなたが、憧れの凛依冴師匠の弟子で、ユメさんとは生き別れになった幼馴染みで、もうキスまで済ませて、リアナさんや、イブリーヌ様からも、キス&愛の告白までされて……」


 「ちょっと待って、アレ見てたの!?」


 「うん、見てた。で、それからルーシーさんや、ジゼルさんまでも加わって。最初はね、『私の出る幕はないな』って、諦めようとしたんだよ。でもね……」


 「でも?」


 「ここに来る前にあなた、帝城の中庭でアデレード様と楽しそうにお話してたよね?」


 「ハウ! アレも見てたの!?」


 「うん、見てた。アレ見た時から、私も諦めるの、やめようって決めたんだ。だから……」


 そう言うと、美羽は倒れた春風にガバッと抱きついた。


 「え、ちょ、ミウさん!?」


 驚く春風に、美羽は更に話を続ける。


 「だから、私もあなたのハーレムに入る。入って、あなたを私色に染め上げる。あなただけじゃない、リアナさんも、ユメさんも、イブリーヌ様も、凛依冴師匠も、ルーシーさんも、ジゼルさんも、そして、いずれ入るかもしれないアデレード様も、全員、私無しじゃ生きられないようにするから」


 「み、ミウさん!? あなた、なんてこと言うの!?」


 と、春風が問い詰めると、美羽は春風から離れて、近くの森へ視線を向けると、


 「そういうわけだから、覚悟してよね!」


 と、大声でそう叫んだ。


 その叫びを聞いて、春風が「え?」と首を傾げると、


 『ひゃいいいいい!』


 と、森の中から複数の聞き覚えのある叫びが聞こえた。


 その声に反応した春風が、美羽が見つめる森へと振り向くと、そこにはリアナ、歩夢、イブリーヌ、凛依冴、ジゼル、ルーシー、そして、どういうわけかアデレードがいた。


 「……え、みんな、何でそこにいるの!?」


 と、驚いた春風が彼女達に尋ねようとした、まさにその時、


 「むぐ!?」


 と、美羽に両手で顔面を掴まれて、その唇にキスされた。


 それも、かなり()()()()な。


 『あああああああっ!』


 それを見て、リアナ達がそう悲鳴をあげると、美羽は真っ直ぐ春風を見て、


 「絶対に離さないし、逃がさないから、覚悟してね、()()


 と、笑顔でそう言った。


 それを聞いた春風は、



 (こ、これはもう、逃げられない気がする)


 と思ったのか、


 「……はい」


 と、怯えるようにそう返事した。

 

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