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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第12章 集結、3人の「悪魔」

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第328話 春風と美羽(出会い編)


 春風と美羽の出会い。


 その話をする為に、まずは美羽について語るとしよう。

 

 天上美羽、17歳。


 今でこそ真面目な優等生の部類に入る彼女だが、中学……否、小学生時代は少し()()のある少女だった。


 といっても、別に不良という意味ではなく、寧ろ、どちらかというと被害者側の1人だった。


 というのも、美羽が通っていたその小学校には、1人のとんでもない問題児(取り敢えずは『加害者』と呼ぶことにしよう)がいて、美羽だけでなくその周囲の少年少女達(こちらは『被害者』と呼ぶことにしよう)も、その加害者によって酷い目に遭っていた。


 美羽と被害者達は教師に何度もそのことについて相談したのだが、当時は多くの教師が加害者の味方になっていただけでなく、その加害者の親族も偉い立場の人間であるために、誰1人逆らうことが出来ず、幼く弱い美羽達は、ただやられる日々を送っていたのだ。


 そんな悲惨な時を過ごしていたが、ある時とうとう我慢の限界に達してしまった美羽は、加害者に対してちょっとした()()()()をすることにしたのだ。


 それは、幼い子供がやるような単純かつ簡単なもので、その時の美羽は、「ちょっと困らせてやろう」という軽い気持ちでそのいたずらを行った。


 だが、これが美羽が想像していた以上の成果を出してしまい、加害者だけでなく、なんとその親族、果ては関わった教師数名の()()を一気に世間に晒し、結果的には通っていたその学校を()()()()にまで追いやってしまったのだ。


 もっとも、最終的には大幅な教師の変更によってどうにか信頼を回復していったが。


 ともあれ、そのいたずらによって加害者や問題の教師達を学校から追い出した美羽は、被害者達からは「英雄」として讃えられたが、関係のない他の生徒や教師達からは「問題児」扱いされるようになり、それが、幼い彼女を苦しめることになって、挙句学校に行くのも辛くなり、終いには不登校になってしまったのだ。


 それから長いこと学校に行けない日々を送っていた美羽だったが、ある日、大好きな姉と共に、とある「ニュース」を見ていた。


 それは、女性冒険家・間凛依冴が、大きな偉業を成し得たという内容で、その時見た凛依冴の姿に美羽は感動し、


 「私も、この人みたいな強い女性になりたい」


 と思うようになった彼女は、それ以来少しずつだが学校に通うようになり、勉強も運動も頑張った結果、見事有名中学へと入学出来るようになったのだ。


 しかし、小学生の時の出来事を知ってる人がいるかもしれないと思った美羽は、なるべく目立たないように中学生活を送ることにした。


 その為、友人も少なく「花の中学生生活」とは程遠いものになったが、それでも美羽は充実した日々を送っていた。


 だが、中学2年になったある日、美羽は思いがけない「事件」に遭遇してしまった。


 何と、美羽によって学校を追われた加害者達が、


 「あの時はよくもやってくれたなぁ!」


 と、復讐の為に美羽に襲いかかったのだ。


 助けを呼ぼうにも周りには誰もいなくて、美羽は絶体絶命のピンチを迎えていた……と思っていた、まさにその時、


 「ど、ど、どいてくれぇえええええええっ!」


 『え?』


 ドォオンという大きな音と共に、空から1人の人物が、加害者達の1人の上に落ちてきたのだ。


 「お、おぉう? 何か、クッションのようなもののおかげで助かった……て、うわぁ! よく見たら人じゃねぇかよ!」


 人を下敷きにしてしまったことに驚いたその人物に、他の加害者の1人が、


 「こ、こ、この女ぁ! よくも……!」


 と、その人物に襲いかかったが、


 「あぁ? 俺は男だぁあああああっ!」


 と、思いっきりその人物に返り討ちにされた。


 それから更に他の仲間も、


 「こ、こいつぅ!」


 「女のくせにぃ!」


 と、怒ってその人物に襲いかかったが、


 「だ、か、らぁ! 俺は男だってのぉおおおおお!」


 と、そちらも全員、怒ったその人物に返り討ちにされた。


 「ったく、失礼な連中だぜ。だぁれが女だっての」


 そして、加害者達が全員倒されると、それまでその様子を黙って見ていた美羽が、その人物に話しかける。


 「……あなた、もしかして幸村春風君?」


 と、美羽に名前を呼ばれたその人物、春風が、頭上に「?」を浮かべて美羽の方へと振り向く。


 「へ? あれ、あんた……じゃなかった、()()()は、同じクラスの天上美羽さん?」


 ちょっと長くなったが、これが、当時中学生だった春風と美羽の、「運命の出会い」だった。


 

 

 

 

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