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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第11章 断罪官の逆襲

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第309話 そして、新たな「始まり」へ

 お待たせしました、第11章最終話です。


 春風達と断罪官達の戦いが終わったその日の夜、エルードとは別の次元に存在するとある空間では、2人の男女と1人の少年が、深刻そうな表情をしていた。


 その中の1人、金髪の青年が、


 「それで、カルドは今どうなっている?」


 と尋ねると、


 「それなんですがぁ、思った以上にダメージが大きいみたいでぇ、まだうんうん唸ってるんですよねぇ」


 と、オレンジのショートヘアを持つぽっちゃり体型の女性が答えた。


 するとオレンジ髪の女性に続くように、緑の髪を持つ少年が口を開く。


 「ちくしょう、マールだけじゃなくカルドまでやられるなんて」


 拳をグッと握りながら悔しそうに呟く緑髪の少年を、オレンジ髪の女性が心配そうに見ていた。


 だがそんな2人を前にしても、


 「ここで今の我々が出来ることは何もない。今は『奴』の動向を探ることに集中しよう」

 

 と、金髪の青年は冷たく言い放つと、2人に背を向けて歩き出した。


 そして青年に続くように、オレンジ髪の女性も歩き出したが、緑髪の少年はというと、


 「……絶対に許さないぞ、幸村春風ぁ!」


 と、春風への憎しみの言葉を小さく呟いた。


 それと同時刻、セイクリア王国王城内では、


 「……ハァ」


 と、国王ウィルフレッドが、自室のベッドに座って溜め息を吐いていた。


 「どうかなさいましたか?」


 と、王妃マーガレットが隣に座って尋ねると、


 「……先程、()()から連絡があった」


 と、ウィルフレッドは表情を暗くしながら答えた。


 「ギルバート陛下から、ですか?」


 「ああ、彼から『嫌な話』を聞かされてな」


 暗い表情のままそう言ったウィルフレッドを、マーガレットは心配そうに見つめるが、すぐに「いかんいかん」と首を横に振るうと、


 「ええと、まず『良い話』とはどのようなものですか?」


 と、真面目な表情でウィルフレッドに尋ねた。


 すると、ウィルフレッドはマーガレットを見ないで答える。


 「……まずは断罪官達なのだが、帝都前で幸村春風とその仲間達と戦い、全員敗北したそうだ。その中には、共に帝都に行った勇者達もいるという」


 「まぁ!」


 「しかも幸村春風達は、断罪官達を1人も殺さなかったそうだ。おかげで幸村春風達だけじゃなく、断罪官側からも犠牲者が出なかったという」


 「まぁまぁ!」


 ウィルフレッドの話に驚きの声をあげるマーガレット。その後、ウィルフレッドはチラリとマーガレットの顔を見ると、その表情はとても輝いていたので、ウィルフレッドは「フフ」と小さく笑い、話を続けた。


 「で、2つめだが、その後、戦いの場にアッシュ達が現れたそうだ」


 「ほ、本当ですか?」


 「ああ。だがそこで、アッシュ達は()()()()()()()()をしでかしたそうだ」


 「とんでもないこと?」


 頭上に「?」を浮かべたマーガレットがそう尋ねると、ウィルフレッドは答えるのを躊躇ったのか、表情を更に暗くしたが、意を決したように口を開く。


 「前に報告された話を、覚えているか?」


 「え、ええ。アッシュ達が、五神教会で保管されていた古代の兵器を持ち出し、勇者の1人を連れて行方をくらましたという話でしたね?」


 「そうだ。で、そのアッシュ達だが、幸村春風達と断罪官達の戦いの後、帝都前に現れたという」


 「それは本当ですか!?」


 「ああ、だが先程言ったように、彼らはそこでとんでもないことをやらかしたのだ」


 ウィルフレッドの言葉を聞いて、マーガレットは心の中で「ま、まさか」と呟いたが、


 「そ、それは一体、何をやらかしたのですか?」


 と、恐る恐る尋ねると、


 「アッシュ達はその古代の兵器を、戦いを終えた幸村春風達と断罪官達に向かって放ったそうだ」


 「そ、そんな!」


 「しかも最悪なことに、その場にはギルとイブリーヌも居合わせていたそうだ」


 「な……」


 「なんですってぇ!?」


 「「!?」」


 ウィルフレッドが話していた中、いきなり部屋の扉がバァンと開かれると、そこから寝間着姿のクラリッサが入ってきて、ウィルフレッドに詰め寄った。


 「お、お父様、今の話は本当何ですか!? イブリーヌは……()()はどうなったのですか!?」


 クラリッサはそう問い詰めると、ウィルフレッドの肩を掴んでゆさゆさと振るった。


 そんな状態の中、ウィルフレッドは口を開く。


 「お、落ち着けクラリッサ。大丈夫だ、イブリーヌは無事だ。ギルからそう報告が入った」


 その言葉を聞くと、クラリッサはウィルフレッドから離れてその場に膝から崩れ落ちると、


 「ああ、イブ。イブゥ……」


 と、幼い子供のように泣きじゃくったので、マーガレットはその側に寄り添って彼女を落ち着かせた。


 その後クラリッサが落ち着くと、マーガレットはウィルフレッドに尋ねる。


 「それで、アッシュ達はその後どうなったのですか?」


 「ああ、アッシュ達はその後、怒りに燃えた幸村春風と異世界『地球』の神によって裁きを受け、今は全員帝国に確保されたそうだ。そしてその際に、アッシュ達によって古代兵器の『エネルギー源』にされていた、勇者星乃香殿を救出したという」


 「まぁ、そうだったのですか!」


 「ああ。で、ここからが本題なのだが、その確保したアッシュ達と、以前幸村春風を暗殺しようとしたルイーズ達の『今後』について話し合いがしたいという」


 「今後……ですか?」


 「そうだ。既に向こうでは彼女達の『処罰』は決まったが、その辺りの意見を私達からも聞きたいそうだ」


 「そう、ですか……」


 と、マーガレットが表情を暗くしながらそう言うと、今、ウィルフレッド達がいる部屋の中が重苦しい雰囲気に包まれた。


 そして最後に、エルードのとある場所では、


 「そうか、『奴』はそこまで強くなったんだな?」


 『うん、とっても強くなったぁ!』


 と一斉に叫ぶ小さな光の粒ーー精霊からの報告を受けて、


 「よし! ならば俺も、動く時が来たようだなぁ!」


 と、()()()()()()()()()()()()()()が動き出した。


 

 

 どうも、ハヤテです。


 というわけで、長くなってしまいましたが、以上をもちまして第11章は終了です。


 次回からはしばらくの間、本編をお休みして、久しぶりの間話を投稿していきますので、皆様どうぞよろしくお願いします。

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