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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第11章 断罪官の逆襲

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第300話 最悪な状況……と、思ったら

 お待たせしました、本編300話目です。そして今回は、いつもちより少し長めの話です。


 セイクリア王国の騎士、アッシュとその仲間達と共に現れた、500年前に使われていたという異形の戦車。


 その中から現れた、アッシュが「エネルギー源」と称したものの正体は、春風達のクラスメイトだった。


 「……小日向、さん?」


 と、春風が言ったそのクラスメイトの苗字を聞いて、


 「え、小日向って……」


 「嘘だよね?」


 「ま、まさか、星乃香(ほのか)ちゃん!?」


 「え、星乃香なの!?」


 と、鉄雄達クラスメイトも口々にその名前を言った。


 そんな彼らを見て、


 「お、オイ、どうした? お前ら何か知ってるのか!?」


 と、ギルバートが尋ねると、水音がゆっくりと異形の戦車の中から出てきたものを指差して、


 「へ、陛下、あそこにいるのは、あの中にいるのは、僕達と同じ世界から召喚された『勇者』の1人で、クラスメイトの小日向(こひなた)星乃香(ほのか)さんなんです」


 と、半ば信じられないといった感じでそう答えた。


 「な、なんだと?」


 と、ギルバートが驚いた表情になっていると、


 「ど、どういうことだアッシュ! 何故その子がそこにいる!?」


 と、ディックが驚きと怒りをあらわにしてアッシュを問い詰めた。


 すると、アッシュはクスクスと笑って、


 「ああ、それはな、つい最近知ったことなんだが、実はこの兵器は、人間の魔力をエネルギー源として動き、それを砲撃の威力に変えることも出来るんだ」


 「に、人間の魔力を、だと!?」


 「ああ、そうだ。で、彼女がここにいる理由だがな、女神マール様が潰されたあの日から、信者達が次々に五神教会から去っていくだけじゃなく、教会の信用もどんどん落ちていてな、姉様達を救出すると同時に、そこの()()に責任をとってもらおうと思って、勇者達の1人に手伝ってもらおうと交渉したら、あの小夜子という女が首を縦に降らないのでな、()()()()()()に頼んだら、『自分がいくからみんなに手を出さないで』と、彼女が協力してくれたのさ」


 と、醜く口を歪め、春風を指差しながらそう説明したアッシュ。


 その瞬間、春風達はそれがどういう意味なのかを理解した。


 そう、恐らく彼らは残った勇者(クラスメイト)達を無理矢理異形の戦車のエネルギー源にしようとしたところ、それを止めるために小日向星乃香が自ら志願したのだろう、と。


 そしてそれを理解した瞬間、


 「そ、そんな、星乃香ちゃん、いやぁあああああっ!」


 と、彩織が膝から崩れ落ちて悲鳴をあげ、それと同時に、鉄雄達もショックで顔を真っ青にした。


 その悲鳴を聞いて、


 「あ、アッシュ、これは命令です! 今すぐ彼女を解放しなさい!」


 と、イブリーヌが怒ってアッシュにそう命令すると、アッシュは歪んだ笑みを浮かべたまま、


 「嫌ですよ」


 と、その命令に逆らった。


 「な……なん、ですって?」


 思わぬ言葉を受けてイブリーヌが呆けていると、アッシュは続けて答える。


 「申し訳ありませんが、元々我々が忠誠を誓っているのは、この世界を守る五大神であって、()()()()()()()などではないのです。というか、()()()()()()()()()が我らに命令するんじゃない」


 と、アッシュがそう言い放ったのと同時に、彼の仲間達もクスクスと笑い出した。


 「そ、そんな」


 ショックを受けたイブリーヌは、彩織と同じようにその場に膝から崩れ落ちると、


 「アッシュ、貴様ぁあああああっ!」


 と、激昂したディックが剣を抜いてアッシュに斬りかかろうとした。


 だが、


 「五月蝿いぞ」


 と、仲間の1人が素早く矢を放ち、ディックの太ももに突き刺さった。


 「グアッ!」


 矢を受けたディックは、痛みのあまり剣を落としてその場に倒れた。


 そんなディックに向かって、アッシュは冷たく言い放つ。


 「フン、雑魚が。そこで大人しくしていろ。こっちは先にやることがあるんでな」


 そう言うと、アッシュは異形の戦車を見て何か合図のようなものを送った。


 すると、異形の戦車の砲身が、音を立てて動き出した。恐らく、戦車の内部にも仲間がいて、その人物が動かしているのだろう。


 そして、異形の戦車の砲身が、ある位置に止まった。


 その先には、春風がいた。


 「さぁ、悪魔よ! まずは貴様からだ!」


 と、アッシュが叫んだその時、


 「……その前に、一言いいですか?」


 と、春風は落ち着いた口調でそう言った。


 その言葉を聞いて、


 (……あれ?)


 と、水音が何やら、背筋に寒気がするのを感じた。


 しかし、そうとは知らないアッシュは、


 「ハハ、なんだ? 死ぬ間際の最後の一言か? いいだろう、言ってみろ」


 と、馬鹿にした口調でそう言うと、春風は静かに言う。


 「求めるは“火”、『ファイア』」


 次の瞬間、アッシュの体の、()()()()が激しく燃え上がった。


 それは、全ての男が、()()()()()()()()()()という、大事な大事な部分だった。


 「ぎゃあああああああっ!」


 『なぁあああああああっ!』


 突然の事に悲鳴をあげるアッシュと、その場にいる全男子、男性陣。


 その後、春風はアッシュの仲間達(男性)にも、


 「求めるは“火”、『ファイア』」


 と、全員、アッシュと同じ部分を燃やした。


 『ぎゃあああああああっ!』


 大事な部分を燃やされ、その場にのたうち回るアッシュ達。


 そんな彼らを見て、春風の仲間達(男子、男性)と断罪官の男性陣は、大事な部分を押さえて口をあんぐりとしていた。


 因みに、女子、女性陣はというと、


 『あらやだ』


 と、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。


 とんでもない出来事にその場は騒然となったが、ハッと我に返ったギルバートが、


 「お、オイ春風、何してん……!?」


 と、春風に詰め寄ろうとすると、


 (ん? なんだ?)

 

 と、その前に何かがいるのに気づいて足を止めた。


 それは、恐怖でガタガタと体を震わせた水音だった。


 「や、やばい。やばいやばいやばい……」


 と、明らかに怯えている様子の水音を見て、


 「おい、どうした水音? 何がやばいんだ?」


 とギルバートが尋ねると、水音は震えながら答える。


 「……春風が、()()でキレた」


 それを聞いた周囲の人達は皆、


 『……え?』


 と、頭上に「?」を浮かべた。

 

謝罪)


 前回に引き続き、まことに申し訳ありません。前々回の話に出てきた、「異形の戦車」に関する説明ですが、勝手ながら少し文章を追加させてもらいました。


 本当にすみません。

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