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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの真実

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第31話 「悪魔」の力

 お待たせしました。前回に続き、1日遅れの投稿です。


 ログハウスの外は、すっかり夜になっていた。


 ログハウスの裏には大きな湖があり、春風は今、その湖の側にある大きな木の下に座り込んでいた。


 「『悪魔』……か」


 ボソリと小さく呟く春風は、ログハウスで聞いた話を思い出していた。


 その話をする為に、少し前に遡る。


 「ちょっと待ってくださいよ!」


 ジゼルの話を聞いてショックを受けた春風はそう怒鳴りながら、ダンっと椅子から立ち上がった。


 驚くアマテラス、リアナ、ヘリアテス、ジゼル、そして精霊王達を前に、春風は取り乱した様子で言い続ける。


 「そりゃあ、侵略者の連中は許せないし、召喚を行ったセイクリア王国の連中も許せないけど、そんな、俺とリアナさんと、後もう1人が予言に出てくる『悪魔』? 全然意味がわかりませんよ!」


 そう言い続けた春風の声は、戸惑いや混乱が入り混じって大きく震えていた。


 (春風……)


 リアナはそんな状態の春風を、心配そうに見つめた。


 さらに春風は言い続ける。


 「ていうか、そもそも『固有職能』とか『固有職保持者』って何なんですか!? 説明にも『悪魔の力』って書いてありましたけど、あれどういう意味なんですか!? 何か知ってるなら教えてください!」


 言い終えた春風の状態は、とても辛そうだった。それはそうだろう。故郷「地球」を救う為にこの世界に来た自分が、「予言」に現れる「悪魔」の1人だと知ってしまったのだから。


 苦しそうに肩で息をする春風に、アマテラスは優しく話しかける。


 「落ち着いて春風君、みんなが困っているよ」


 その言葉を聞いて、どうにか気持ちを落ち着かせることが出来た春風は、


 「お騒がせして、すみませんでした」


 と、周りに深く頭を下げて、椅子に座った。


 それから暫く沈黙に包まれた後、ヘリアテスが口を開いた。


 「これは、私とループスと精霊王達で調べてわかったことなのですが……」


 そう言うヘリアテスに、春風、アマテラス、リアナの視線が集まった。


 「『職能』とは、人間の心の中に眠る『力』……というより『素質』の様なものに、侵略者の親玉連中が、「神」の力を使って形にしたものなのです。といっても、それを実行するにはその『素質』が、ある程度大きなってからじゃないとダメな様ですが」


 その瞬間、春風はウィルフレッドが言っていた事を思い出した。


 (そういえばウィルフレッド陛下、職能は『15歳を迎えた時に神より授かるもの』って言ってたな。きっとその時が、ある程度大きくなった時なんだな)


 「ですから、この世界に存在する『職能』……いえ、『職能保持者』は、あの親玉連中の加護を受けていると言っても良いでしょう」


 納得する春風とアマテラスを見て、ヘリアテスはさらに説明を続ける。


 「ですが、『固有職能』にはその加護はありません」


 「どういう事ですか?」


 「普通の『職能』は、親玉連中によって目覚めさせられるものですが、『固有職能』は生まれた時から既に持っていた『力』で、親玉連中をも寄せ付けない、強大な『力』を秘めているのです」


 「『神』を名乗る連中をも寄せ付けないって……。だから、『悪魔』っていうことなですか?」


 春風がアマテラスにそう質問しようした時、

 

 「それにつきましては私説明しましょう」


 と言って、ヘリアテスの代わりにジゼルが説明を開始した。


 「全ては、今から200年前、ある小さな国で1人の赤ん坊が生まれたのが始まりでした。本来は15歳になった時に『職能』を授かるのですが、その赤ん坊はどういうわけか既に『職能』を持っていて、しかも見たこともない珍しい『職能』でした。これが、『最初の固有職保持者』の誕生だったのです」


 「最初の……固有職保持者」


 「その国の王族や神官達は、その珍しい『職能』を持った赤ん坊を『奇跡の子』と呼んで、赤ん坊の親は勿論、国全体でその赤ん坊を大切に育てました。それから数年が経ち、成長した赤ん坊……いえ、『最初の固有職保持者』はその力で人々を様々な危機から救い、やがて『英雄』と呼ばれる様になりました」


 「……」


 「ところが、新たにその国の王となった者は、『最初の固有職保持者』の力を利用して世界を我がものにしようとしたのです。当然、それを知った『最初の固有職保持者』は抵抗しましたが、相手の軍事力と日頃から『最初の固有職保持者』の活躍を妬む者達によって徐々に追い詰められ、『最初の固有職保持者』は多くの愛する者を失ったのです」


 「酷い……」


 「『最初の固有職保持者』は嘆き、悲しみ、怒り狂って、次第に力の制御が出来なくなり、とうとう暴走させてしまったのです。その結果、国は国王や民を巻き込んで、地図から消え去ることになりました。ただ1人、『最初の固有職保持者』を除いて……」


 「そんな……」


 「この事態を知った親玉連中と5神教会は、その『最初の固有職保持者』を恐怖を込めて、『国殺しの悪魔』呼び、それ以来生まれてきた固有職保持者もそう呼ばれる事になり、教会から異端視される事になったのです」


 「「……」」


 「そして、ここからが最も重要な事……というよりも、契約者様にとって辛い事実なのですが、その国を滅ぼした『最初の固有職保持者』の職能が……『賢者』なのです」


 「な、なん……だって?」


 ジゼルが告げたその言葉に、春風は顔を真っ青にするのだった。

 


 


 

 


 


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 間違っています! ただ1人、『最初の固有職保持者』の除いて……」 は ただ1人、『最初の固有職保持者』を除いて……」 だと思います!
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