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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第11章 断罪官の逆襲

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第272話 決戦、断罪官5 リアナ&歩夢vsギャレット3


 (……コイツ、何を言ってるの?)


 ギャレットの言葉の意味を、リアナは理解出来ないでいた。そしてそれは、隣にいる歩夢も同様だった。


 「あなた、一体何を言ってるの?」


 と、歩夢がギャレットに向かってそう尋ねると、ギャレットは自身の身に纏っている鎧を掴むと、


 「フン!」


 と言って、その鎧を引き剥がした。


 「「!」」


 裸になったその上半身には、無数の切り傷や火傷の痕があった。それを見て2人が絶句していると、


 「へ。わからねぇってんなら、冥土の土産に教えてやるぜ」


 と、ギャレットは自身の過去を話し始めた。


 「17年前、俺は小隊を率いて、とある『村』を滅ぼせという任務についていた。そこは、人間だけじゃなく『悪しき種族』と認定されている『獣人』と『妖精』、更にそれらの血を引く『混血』達が住む村だった。一目見た瞬間、そいつらに危険なものを感じた俺達は、すぐにその村に攻め入った」


 「「……」」


 「あれは大仕事だったぜ。アイツらマジで強かったからな。隊員達も何人か犠牲になっちまったわ。特に、俺が最後に戦った1人の『女』が厄介だった。あの『女』、武器だけじゃなく魔力の扱いにも長けていたからな。赤ん坊を抱えているにも関わらず、この俺の体はこんなにも傷だらけにしやがったんだ。なんとか勝つ事が出来たが、あの『女』、最後の力を振り絞って赤ん坊を川に流しやがったんだ。追いかけようとしたが、俺も受けたダメージがデカくて、結局それは出来なかった。任務自体は『成功』って事になったが、俺にとっては、まだ終わってねぇんだよ!」


 そう話すギャレットの表情は、激しい怒りと狂気に満ちていた。


 そんなギャレットを見て、歩夢はタラリと冷や汗を流したが、リアナはというと、


 「……その赤ん坊が、私だっていうの?」


 と、何処か落ち着いた感じでギャレットにそう尋ねた。


 「ああ、そうだ! あれからかなり時が経っちまってるが、その姿と魔力を交えた戦い方は間違いねぇ! テメェはあの時、俺が取り逃がしたあの『女』の子供だ! ククク、まさか今日、こんな所で会えるとはなぁ! マジで神に感謝しなきゃいけねぇ! テメェを殺せば、俺の『任務』は漸く終わるってもんだぜぇ!」


 狂ったように笑いながらそう答えたギャレットを見て、歩夢は嫌悪感を覚えたが、


 「……そう、アンタが、私の()()()()()を滅ぼしたってわけね」


 と、落ち着いた口調でそう言った。


 「クハハハ、憎いか!? 憎いよなぁこの俺が!? そうだろそうだろ!? 当然だよな!? だったらかかって来な嬢ちゃん! テメェのその憎しみ諸共、この俺が粉砕してやるぜぇ!」


 ギャレットは笑いながらそう挑発すると、歩夢は「コイツ!」と更に嫌悪感を募らせた。


 だが、


 「……ごめん、どう反応すれば良いのかわかんないや」


 と、リアナは申し訳ないといった感じで謝罪した。


 その言葉を聞いたギャレットは、


 「……は?」


 と間抜け顔を晒すと、


 「え、リ、リアナ、あの人の話、ちゃんと聞いてた?」


 と、歩夢がリアナに問い詰めてきた。


 するとリアナは、


 「だ、だって、アイツの言ったことが本当なら、私まだ()()()()だったんだよ!? しかもそれから17年も経ってるんだよ!? 今更『俺が仇だ!』なんて言われても、全然実感湧かないし、いまいちピンと来ないんだもん! ていうか……」


 と、開き直ったかのようにそう答えると、最後に、


 「ぶっちゃけ、アイツの過去話なんて、()()()()()()()!」


 「「ど!?」」


 「でもって何気にアイツ、自分の裸(上半身だけだけど)見せつけてるけど、ハルの方が()()()()()してるもん!」


 「「んな!?」」


 まさかのリアナの発言に、ショックを受ける歩夢とギャレット。特に、体つきを春風と比べられたことに関して、ギャレットはもの凄い精神的ダメージを受けた。


 しかし、そんなギャレットに構わず、


 「というわけでユメ!」


 と、リアナは未だ呆けてる歩夢に話しかける。


 「は、はい!」


 「どうでも良い話はこれでお終いにして、全力でアイツをぶっ飛ばすよ!」


 「え、えっと、それは、何の為に?」


 歩夢は恐る恐る尋ねると、


 「決まってるでしょ!? ハルと幸せな未来を築く為だよ! 勿論ユメも一緒にね!」


 と、リアナはハッキリとそう答えた。


 それ聞いた歩夢は、


 「……うん、そうだね!」


 と言うと、ギャレットに向き直って薙刀型神器を構えて、


 「いこう、リアナ。一緒にアイツをやっつけよう!」


 と、ギャレットに向かってそう言い放った。


 それに続くように、


 「よーし! いくよ、ユメ!」


 と、リアナも燃え盛る薔薇を構え直した。


 一方、思いっきり精神的ダメージを受けたギャレットはというと、


 「……『どうでも良い』だと? 『体つきはハルの方が良い』だと?」


 と、プルプルと体を震わせていた。


 そして、

  

 「上等じゃねーかこのガキャア! この俺様にそんな口きいたこと、後悔させてやるぜぇっ!」


 と激しく激昂するのだった。

 


 


 


 


 

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