表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/609

第29話 出会ったのは、小さな「希望」

今回、謝罪したい事があります。


 (何だよそれ……何なんだよそれ!? 何が『邪神』だ! 何が『悪しき種族』だ! 本当の悪党は、テメーらの方じゃねぇか!)


 500年前の真実とヘリアテスの話を聞いて、春風の心の中は激しい怒りに満ち溢れ、身体は小刻みに震えていた。


 そして、その怒りの矛先は、セイクリア王国の王族達と、彼等が崇める5柱の神……否、侵略者の親玉達に向かっていた。


 春風が今にも飛び出しそうになっていると、


 「落ち着いて春風君」


 と、アマテラスはポンと春風の方に手を置いた。


 「アマテラス様……」


 ハッとなった春風がアマテラスの方を向くと、彼女は穏やかな表情で、


 「君の気持ちはよくわかるよ。だけど、今の君は『力』に目覚めたばかりの未熟者で、今行ったところで返り討ちに遭うのは目に見えている。それはわかっているよね?」


 と、優しく厳しい事を言った。


 「っ!」


 それを聞いて、春風は急速に頭が冷えていくのを感じて、


 「申し訳ありませんでした」


 と、アマテラスに深々と頭を下げた。


 それを見て、アマテラスは「うんうん」と頷くと、


 「それで、封印から解放された後は何をしていたの?」


 と、ヘリアテスに向き直って質問した。


 ヘリアテスは涙を拭いながら答える。


 「はい、私はその後、奴等に見つからない様に生き残った精霊達に助けられながら、同じく封印から解放されたループスと再会しました。力を奪われたと言っても、まだほんの僅に残っていましたので、居場所はすぐにわかりました」


 「そう」


 「ですが、力の無い私達に出来る事はなく、マール達精霊王と共に作ったこの空間に隠れ住む事にしたのです。変わり果ててしまったこの世界で、私達は絶望するしかない日々を過ごしていました」


 「……」


 「ですが、それから3年経ったある日、私達にある出会いがあったのです」


 「出会い?」


 「はい、それは……」


 その後のヘリアテスの説明によると、きっかけは、幼い精霊達が大きな籠を運んできた事だった。なんでも、川に流されていたところを拾ってきたというのだ。


 中を見てみると、そこには布に包まれた泣いている白い髪の赤ん坊が入っていた。それは、この世界を襲った侵略者と同じ種族「人間」の女の子の赤ん坊だった。


 しかしよく見ると、女の子の耳は僅に尖っていて、お尻には小さな狐の尻尾が生えていた。尖った耳は妖精族、尻尾は獣人族の特徴だった。


 ヘリアテスとループスは、僅に残った神の力で、その赤ん坊を調べた。その結果、赤ん坊は妖精族、獣人族、そして人間の、3つの種族の血を引いている事がわかった。


 ヘリアテスはすぐに精霊達に、赤ん坊の親と故郷を探して欲しいと頼んだ。


 しかし、その後わかった事は、()()()()()()()()()()()()()という事だった

 

 ヘリアテス達はどうしたものかと悩んだ。いくら自分達が生み出した種族の血を引いているとはいえ、そこにさらに憎き侵略者の血も混じっているからだ。


 だが、悩んでいる彼女達を見て面白そうに笑う赤ん坊を見て、いつの間にか自分達も笑う様になっていて、しまいには悩んでいるのが馬鹿らしく思う様になっていた。


 さらに赤ん坊からもう1つ、あるものを感じ取った。


 それは、大きく深い「愛」だった。


 その時、ヘリアテス達は思った。


 (この子はきっと、これからの世界の『希望』、もしくはそれに近いものかもしれない)


 赤ん坊を包んでいる布をよく見ると、そこには「リアナ・フィアンマ」と書かれていた。


 きっとこの子の名前に違いないと思ったヘリアテス達は、その赤ん坊ーーリアナを育てる事を決意したのだった。


 「……これが、私達とリアナとの出会いでした」


 『……』


 ヘリアテスの説明が終わると、ログハウスの中は沈黙に包まれた。


 暫くすると、その沈黙を破ったのは、春風だった。


 「あの、『白い髪』って、どういう事ですか?」


 春風はチラリとリアナを見てそう質問すると、リアナはスッと椅子から立ち上がり、首につけているチョーカーを外した。


 すると、リアナの体が一瞬光って、茶色だった髪は雪の様に真っ白になり、左右の髪の間からピョコンと尖った耳が、お尻から白い大きな狐の尻尾が現れた。


 「これが私の、本当の姿です」


 そう言われると、春風とアマテラスはその姿に見惚れた。その後、リアナは再び椅子に座った。


 そして、ヘリアテスはまた話し出した。


 「それから私とループスは、ファンテーヌ達に手伝ってもらいながらリアナを育てていました。子供を育てるのは初めてでしたので、最初は苦労したのですが、成長していくリアナを見ていると、そんな苦労も吹っ飛んでいくのを感じて、とても楽しい日々でした。ですが……」


 「? どうかしたの?」


 「外の世界では、人間達の間で、ある『予言』が広まっていたのです」


 「!」


 その言葉を聞いた瞬間、春風はそれが、謁見の間でウィルフレッドから聞いた、あの「予言」だと思い出した。


 春風は恐る恐るヘリアテスに質問した。


 「あの、その『予言』について、貴方は何か知っている事があるのですか?」


 「それは……」


 ヘリアテスが答えようとしたその時、


 「それは私が答えましょう」


 と、何処からか老婆の声が聞こえた。


 春風とアマテラスは「誰だ!?」と周りを見回すと、


 「ここですよ」


 そう言って、春風達の前にスーッと現れたのは、老婆の()()だった。


 


 


 


 


 

 

 

謝罪) 第22話のリアナの登場シーンですが、誠に勝手ながら、「白髪」だったのをより面白くする為に「茶髪」に変更しました。既に投稿しているものなのに大変申し訳ありませんでした。また、前話の最後の部分にセイクリアの王族と彼等が崇める神についての文を加えました。そちらも大変申し訳ありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ