第270話 決戦、断罪官3 リアナ&歩夢vsギャレット
お待たせしました、本日2本目の投稿です。
「まさか、こんなお嬢ちゃん2人が、俺の戦う相手になるとはなぁ」
「「……」」
春風がウォーレンと共に戦場を変える中、リアナと歩夢は、1人の男と対峙していた。
「俺は、断罪官第1小隊隊長ギャレット・フッカー。隊員達のようには、いかねぇぜ」
「七色の綺羅星、リアナ・フィアンマ」
「同じく、海神歩夢。一応勇者」
「ほう、1人は異世界から召喚された『勇者様』ってか。こりゃあ、相手にとって不足はないぜ」
男ーーギャレットはそう言うと、自身の武器を構えた。手にしている武器は、ちょっと大きめだが片手で扱うタイプの戦斧と棘のついた鉄球を、鎖で繋げたもののようだ。リアナと歩夢もそれを見て、持っている武器を構え直した。
その後、少しの間お互い睨み合うと、
「じゃあ、いくぜ!」
と、ギャレットが先に動き出した。初激は鎖付き鉄球による一撃だ。
ギャレットはブンブンと鉄球を振り回すと、リアナ達に向かって力いっぱいそれを振り下ろした。
「「!」」
リアナ達は前方に向かってその鉄球を避けると、その勢いでギャレットに攻撃を仕掛けようと前進した。
そして、素早くギャレットの間合いに飛び込んだが、
「甘いんだよぉ!」
と、ギャレットはもう片方の手に持った片手戦斧を横に振るった。
「「くっ!」」
リアナ達はすぐに背後に飛んで、その一撃を間一髪の所で避けると、持っている武器に魔力を込めて、
「「ハァッ!」」
と、着地した瞬間にギャレットに向かって魔力の斬撃を放った。
2つの斬撃がギャレットを襲う。
しかし、
「だから、甘いって言ってんだよぉ!」
と、ギャレットはまた力いっぱい片手戦斧を振り下ろして、その斬撃を打ち消した。
「ふぅ。お嬢ちゃん達の力はこんなもんか?」
余裕の表情でそう尋ねるギャレットに、リアナ達は冷や汗を流した。
その時だ。
「あん? おいそっちの赤い服の嬢ちゃん、なんか変だぞ」
ギャレットがリアナに向かってそう尋ねた瞬間、歩夢は「あ!」と、あることに気がついた。
「リアナ、チョーカーが!」
「え?」
なんと、リアナがつけていた「擬態のチョーカー」が、今にも千切れそうになっていたのだ。
「あ、本当だ」
リアナはそう呟くと、擬態のチョーカーを強引に引き千切り、それをポケットにしまった。
すると、白い髪と少々尖った耳、そして狐の尻尾というリアナの本来の姿になった。
「! お前、その姿は!?」
その姿を見て驚くギャレットを前に、リアナは自身の武器「燃え盛る薔薇」を構え直した。
「リアナ、良いの?」
リアナの横で歩夢が小さい声でそう尋ねると、
「うん、大丈夫。今は戦いに集中して」
と、真っ直ぐギャレットを見ながらそう答えた。
そして、その状態のまま、
「ユメ、今から私、『すごいこと』をやるね」
と、歩夢にそう言った。
「すごいこと?」
「うん。ただ、その……怖いって感じちゃったら、ごめんね」
リアナの言葉を聞いて、歩夢は頭上に「?」を浮かべていると、リアナは大きく深呼吸して、
「スキル[獣化]、発動!」
と唱えた。
すると、リアナの全身が眩い光に包まれた。
そしてその光が消えると、そこにいたのは、持っている武器と服装こそリアナのものだが、その姿は、人間と同じように2本の足で立つ、白く美しい毛並みを持つ狐だった。
その姿に誰もが目を奪われる中、
「り、リアナ、なの?」
と、歩夢がその白い狐に尋ねると、
「うん。そうだよ、ユメ」
と、その白い狐ーーリアナはそう答えた。
「どう? この姿、怖い……かな?」
リアナは恐る恐る歩夢にそう尋ねると、
「うんうん、凄く、綺麗。というか……」
「?」
「後でいっぱいモフらせて」
笑顔でそう言った歩夢に、リアナはちょっと驚くと、
「うん、いいよ! その時は、ハルも一緒にね!」
と、リアナも笑顔でそう返した。
一方、ギャレットはというと、目の前に立つリアナの姿を見て、
(……なんだ? あの姿、何処かで見たことがあるような……)
と、謎の既視感に襲われていた。
謝罪)
昨日に引き続き、大変申し訳ありません。
第25話に出てきた、ヒロインのリアナさんの専用スキル、[獣人化]と[妖精化]ですが、この度、まことに勝手ながら、スキル名を[獣化]と[妖精化]に改名しました。以後、この名前で物語を進めていきます。
本当にごめんなさい。




