第267話 決戦前
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
今回は、皆さんに大事な報告があります。
それは、断罪官達が帝都郊外に着く前のことだった。
「みんな、俺、断罪官達と戦うよ」
と、春風は自室で、リアナ達「七色の綺羅星」メンバーに向かってそう言った。
それを聞いたリアナは、
「やっぱり、そうするよね?」
と尋ねると、
「ああ、元々連中に『いつでもかかって来い』って挑発したのは俺だ。だから俺は、奴らと戦わなきゃいけない」
と、春風は真面目な表情でそう返した。ルイーズ達への『罰』がギルバートに認められた今、その表情に迷いはなかった。
メンバー全員がゴクリと固唾を飲む中、春風は更に話を続ける。
「で、ここからが大事なんだけど……」
『?』
「陛下もとに入ってきた情報によると、向こうは全力で俺を抹殺する為に、最高戦力を引き連れて来ているとのことなんだ。そんなのと戦うとなると、俺も苦戦は免れないと思う」
『……』
「だから、その、大変申し訳ないんだけど……」
『勿論行く!』
「えぇっ!? まだ何も言ってないよ!?」
メンバー達のあまりの即答ぶりに、驚きの声をあげた春風。
そんな春風を前に、リアナが口を開く。
「ハル、『一緒に戦ってほしい』って言いたいんでしょ?」
「う!」
「でも、ハルのことだから、『でも、嫌なら嫌だって言っても良いよ』って言う気もあるんだよね?」
「うぅっ!」
「理由は、『挑発したのは自分だから、みんなを巻き込みたくはない』って所でしょ?」
「ううぅっ!」
リアナからの怒涛の質問に、春風は胸を押さえて呻いた。
そう、リアナの言う通り、春風はリアナ達にも一緒に戦ってほしいと思っているのだが、断罪官達を挑発したのは自分だけだから、戦うなら自分1人で戦うべきだとも思っていた。しかし、それを説明した所でリアナ達が納得するとも思えないので、春風は悩んだ末、勇気を振り絞って一緒に戦うか戦わないかを聞いてみようと考え、今、リアナ達の前で尋ねようとしたのだが、まさかOKを貰えるとは思っていなかったので、思わず驚いてしまったのだ。
「……本当に、良いの?」
春風は恐る恐るそう尋ねると、
「ハル、今更水臭い事言わないでよ。私にとって、ハルは大切な人なの。そのハルを殺そうとする連中を、許すわけないでしょ?」
と、リアナは真剣な眼差しで春風を見てそう答えた。
「リアナ……」
「それに、私だってハルと同じ固有職保持者で、連中と戦った人間だよ? つまり、私だって『異端者』なんだけどなぁ」
リアナにそう言われて春風は、
「あ、そういえばそうだった」
と、今になって思い出したかのような表情になった。
するとそこへ、
「ハル君」
と、今度はアリシアが口を開いた。
「な、何? アリシアさん」
「私達はあの日、君に守られ、救われた。事情があったとはいえ、許されない罪を犯した、私達をだ。だから、今度は、私達が君を守り、救う番なんだ。たとえ君が『来るな』と言っても、私達は君と共に戦うことを選ぶよ」
リアナと同じように、真剣な眼差しを春風に向けて話すアリシア。その横では、アデルやルーシー達も、リアナやアリシアと同じ表情をしていた。
「あー、えっとぉ……」
春風はどう答えたら良いのか考えていると、
「フーちゃん」
歩夢が口を開いた。
「な、何? ユメちゃん」
「私達も、一緒に戦う」
「……相手は人殺しの技術に長けた連中だよ?」
「でも、フーちゃんはそんな連中相手にしようとしているんでしょ? そんなの、絶対に嫌だ」
「ユメちゃん……」
「へ! そうだぜ、ハル。そんなヤベェ連中なんかに、ハルを殺されてたまるかってんだ!」
「そうそう! そんなことしたら、俺ら先生に怒られちゃうよ」
「えぇ。そんなの、同じクラスの人間として絶対に許せないわ」
「う、うん。怖いけど、もうそんなこと、言ってられない」
「そうだよ! そんな事言ってる場合じゃないよ!」
歩夢だけでなく、鉄雄や恵樹、美羽、彩織、詩織もそう言ってきた。
更に、
「私達もいるわよ!」
と、バァンという大きな音と共に自室の扉が開かれ、凛依冴、冬夜、雪花、静流が中に入ってきた。
「し、師匠!? それに、兄さん、姉さん、母さんまで!?」
まさかの登場に驚く春風。
更にそこへ、
「僕もいるよ」
と、凛依冴達に続くように水音まで入ってきた。
また更にそこへ、
「俺達もいる」
なんと、煌良、学、麗生の3人も入ってきた。
「え、えぇ!? みんなどうして!?」
驚いた春風がそう尋ねると、
「決まってるでしょ? 愛しい弟子兼スウィートハニーを助ける為よ!」
「そうだ。大切な家族を守るのに、理由なんか要らないよ」
「そうよ! 春風を殺そうとするなんて、お姉ちゃんは絶対に許さないからね!」
「ええ。リョウちゃんと私の大切な息子のピンチだもの。お母さん、頑張っちゃうから!」
「春風、君は僕の、大切な『親友』であり、『好敵手』なんだ。だから、絶対に君を1人でなんて行かせないよ。ああ、因みに、セレスティア様から許可も貰っているから」
「ハル、お前に勝つのはこの俺だ。断罪官とやらに横取りされてたまるか」
「うん、僕も、クラスメイトが危険な所に飛び込もうとしてるのを、黙って見ていられないしね」
「私も同じくだ」
全員の理由を聞いて、春風は開いた口が塞がらなかった。
「あーっと、これ、どうすれば良いのかな?」
春風は口からポロリとそうこぼすと、リアナが背中をバンと叩いて、
「もう! ここはビシッと何か言う所でしょ!? リーダーなんだから!」
と言った。
春風はその言葉を聞いて、
「そっか、『リーダーなんだから』、か」
と小さく呟くと、強い決意をしたかのような表情で、
「みんな……」
と、仲間達を見回すと、
「絶対に勝つぞっ!」
と言い放った。
仲間達はそれを聞いて、
『オウッ!』
と、皆一斉に腕を上げてそう叫んだ。
謝罪)
大変申し訳ありません。この話の流れを考えていたら、投稿が遅れてしまいました。
報告)
どうも、ハヤテです。
活動報告にも書きましたが、去年から書き始めたこの物語ですが、今日から「アルファポリス」と「Nolaノベル」という2つの投稿サイトでの投稿を開始しました。
といってもこちらの投稿も手を抜くつもりはありませんので、皆様、どうぞよろしくお願いします。




