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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第11章 断罪官の逆襲

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第263話 春風、悩む


 断罪官が帝国に来る。


 ギルバートからそう告げられた春風は今、


 (まったく、次から次へとなんだよもう……)


 と、心の中でそう呟きながら、1人自室のベッドに上でうつ伏せになっていた。


 あの後春風は、詳しい話を聞く為に、ギルバートと共に帝城内の執務室に向かった。当然、その間の訓練は自主練するように言っておいた。


 そして執務室に入った後、ギルバートに向かって、


 「あの、それで、断罪官が来るというのは、どういう事でしょうか?」


 と尋ねると、


 「あぁ、実はな……」


 と、ギルバートは部下から受けた、とある()()を春風に話し始めた。


 報告によると、モーゼス達がセイクリア王国に帰還した後、モーゼス本人はすぐに自室に篭りきりになってしまい、その話を信者から報告という形で聞いた断罪官達は、その翌日、ウィルフレッドに何も言わずにセイクリア王国を発ってウォーリス帝国に向かったという。


 (オイオイ、ウィルフレッド陛下は大丈夫なのか?)


 話を聞き終えて、嫌な予感がした春風は、タラリと冷や汗を流しながら口を開く。


 「あの、もしかして連中の目的って……」


 「勿論、お前の『抹殺』だ」


 キッパリとそう言ったギルバートに春風は、


 「ですよねぇえええええ」


 と、がっくりと肩を落とした。


 落ち込む春風を見てギルバートは、


 「そんな落ち込む事ねぇって。言ったろ? 『お前はもう俺達のもの』だって。連中が何を言おうが、お前をみすみす殺させるかっての」


 と、「ガハハ」と高笑いしながらそう言った。


 だがそれでも、春風の気が晴れる事はなかった。


 そして現在、自室に戻った春風は、


 「チクショウ。何で()()()()に来るんだよぉ。世界救ったら相手してやるから大人しくしてくれよぉ」


 と呟く程、かなりネガティブな状態になっていた。


 そんな春風を見て、


 「は、春風様……」


 ジゼルはどう声をかければ良いのかわからず、ただオロオロしていた。


 するとそこへ、


 「ハル、入って良い?」


 と、部屋の扉をノックする音と共にリアナの声がした。


 「……どうぞ」


 春風はうつ伏せの状態から顔を上げてリアナにそう言うと、ガチャリと扉が開いて、


 「お邪魔しまぁす」


 と、リアナが入ってきた。


 ただ、入ってきたのはリアナだけでなく、歩夢とイブリーヌも一緒だった。


 「あれ? ユメちゃんにイブリーヌ様もどうしたんですか?」


 2人の姿を確認して、春風はベッドから起き上がりながらそう尋ねると、


 「フーちゃん、陛下から話は聞いたよ。それで、イブリーヌ様がどうしても話したい事があるって」


 と、歩夢が答えた。


 春風は「え?」と言って首を傾げると、イブリーヌが春風の前に出て、


 「ハル様、この度は我がセイクリア王国の人間が、本当に申し訳ありませんでした」


 と、深々と頭を下げて謝罪した。


 それを見て、春風は、


 「え、そんな! イブリーヌ様が謝る事ではありませんよ! ですから顔を上げてください!」


 と、大慌てでイブリーヌにそう言った。


 だが、


 「で、ですが……」


 と、イブリーヌは頭を下げたまま何か言おうとしたので、春風はそっとイブリーヌの肩に手を触れて、


 「お願いします。どうか、顔を上げてください」


 と、優しく言った。


 それが通じたのか、イブリーヌはゆっくりと顔を上げた。


 その表情は、まさに「悲しみ」と「怒り」が入り混じっていたようだった。


 だが、穏やかに微笑む春風の顔を見て、イブリーヌは表情を綻ばせた。


 春風はそれを見て、「良し」と頷くと、

 

 「イブリーヌ様が気にするほどの事ではありませんよ。『いつでも来い』って連中に言ったのは俺ですし。先程までは……何と言いますか、どうしても解決しなきゃいけない『問題』を抱えておりまして、どうしたものかと悩んでいたんです」


 と、現在の春風の状況について説明した。


 それを聞いた歩夢が、


 「? 何か悩んでる事があるの?」


 と尋ねると、それに続くようにリアナも、


 「あ、そういえばハル、訓練中も何処か悩んでる様子だったよね。一体何を悩んでるの?」


 と尋ねてきた。


 そんな2人を見て、春風は「ハァ」と溜め息を吐いて答える。


 「実は、ルイーズさん達の『罰』について考えてたんだ」

 


 


 

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