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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第2章 冒険の始まり

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第24話 脱出

遅くなりました。第2章の最終話的な話です。


 (コイツは一体、何を言ってるんだ?)


 春風の名乗りを聞いて、リアナを除いた謁見の間にいる者達は全員そう思った。


 春風はそんな状態の彼らを無視して、


 「さて、それじゃあウィルフレッド陛下」


 「な、何かな?」


 「ここ、出て行く許可をください」


 と、笑顔で要求した。


 ウィルフレッドはその要求に対して表情を強張らせて、


 「もし、断ると言ったら?」


 「じゃあ、いいです。普通に勝手に出て行きます」


 「ちょっと待て、では何故許可を求めたのだ!?」


 「その方が、後で面倒な事にならないと思ったからです」


 一連の春風とのやりとりに、呆然となるウィルフレッド。しかし、負けるものかと気をしっかり持ちながら真面目な表情で春風に質問する。


 「そなたはわかっているのか? 城の外には、国の外には、危険な魔物だけでなく、邪神によって生み出された魔物もいるのだぞ? そんな状況でも、其方はここを出て行くと言うのか?」


 ウィルフレッドのその言葉に、謁見の間全体が緊張に包まれた。


 だが、その時だった。


 「ハイ! それでしたら、ご安心ください!」


 リアナがバッと右腕を上げて叫んだのだ。


 「む、其方は?」


 「ハイ、改めまして、ハンターのリアナ・フィアンマと申します! 突然で申し訳ありませんが、彼の身柄を、私に預からせてください!」


 リアナのまさかの発言に、それまで呆然としていた小夜子とクラスメイト達は、一斉に「えぇっ!?」と悲鳴をあげた。


 「……理由を聞いてもよろしいかな?」


 ウィルフレッドは真剣な眼差しでリアナにそう尋ねると、


 「ハイ、それは、私なら彼が『最も望んでいるもの』を用意出来るからです!」


 と、リアナはチラリと春風を見てから、負けじと真剣な眼差しでウィルフレッドに答えた。


 そして、リアナは春風に向き直る。


 「春風、で良いんだよね?」


 「……うん」


 「さっきまでの春風の話は全部聞かせて貰ったよ。だから、私にはわかるんだ。春風が求めているものが何なのか」


 「……」


 「今言った通り、私なら、春風が求めているものを用意することが出来る。だから……」


 そう言って、リアナはスッと右手を春風の前に差し出して、


 「私を信じて、一緒に来て!」


 と、春風を真っ直ぐ見つめて言った。


 その目を見た瞬間、春風の心が叫んだ。


 (彼女を信じろ!)


 そして春風は、


 「連れてってください、今すぐ!」


 と、差し出されたその手を握った。


 リアナはパァッと笑顔になって、


 「よおし、じゃあ行こ……」


 「あ! ちょっと待って!」


 春風は連れ出そうとしているリアナに「待った」をかけると、小夜子達に向き直った。勿論、その際リアナの手は離した。


 「高坂先生にみんな、ごめんなさい。ご覧の通り、俺はウィルフレッド陛下達を信用する事が出来ません。なので暫くの間、みんなと別行動をとります。でも俺は、絶対に生きてみんなの所に戻ります」


 そう言って、春風は小夜子達、特にクラスメイトのとある少年と少女に視線を送ると、深々と頭を下げた。それを見て、小夜子達は何も言わなかった。


 「もう、良いの?」


 不安そうに尋ねるリアナに、


 「うん。大丈夫」


 春風は静かに頷くと、再び小夜子達に向き直って、


 「それじゃあみなさん、行ってきます!」


 と、元気良く言った。


 その後、リアナは春風の手をとって走り出し、謁見の間の大きな扉を開いた。


 そこへ、


 「春風!」


 呼ばれた春風が振り向くと、その先には先程春風が視線を向けた少年がいた。少年から少し離れた位置では、同じく春風が視線を向けた少女も春風を見つめていた。


 春風はそんな2人に対し、


 「ごめん」


 と申し訳なさそうに、左手で謝罪のジェスチャーをしながら言った。


 そして、春風とリアナは今度こそ謁見の間を出た。


 「こっちだよ春風!」


 リアナに案内されて王城の外に出た春風。


 そこは、とても綺麗で、多くの人々の活気に満ちた街だった。


 走りながら周りを見てみると、どれも地球では見たこともないものが沢山あって、それを見た春風は改めて異世界に来たんだと実感した。もう少し見たいと思ったが、今はそれどころではないと我慢した。


 「あそこを通れば外に出られるよ!」


 そう言ってリアナが指差したのは、先程通った城門以上に大きな門だった。


 2人が走って門に近づくと、


 「そこの2人、止まりなさい!」


 と、鎧を着た門番らしき男性が呼び止めてきた。


 だが、2人は走るのをやめなかった。


 「ごめんねぇ!」


 先頭を走るリアナは、勢い良くジャンプして門番らしき男性の頭上を飛び越えた。


 一方、春風はというと、


 「[気配遮断]、発動」


 と呟いて、自身の気配を断つと、門番の横を走って通り過ぎた。それに気付かず、門番らしき男性はあたふたとした。


 そして、そうこうしている内に、2人は門の外へと飛び出した。


 こうして、春風とリアナはセイクリアの脱出に成功するのだった。


 

 


 

 


 

 


 

 これで、第2章の終了です。


 続く第3章では、セイクリアを脱出した春風が、とある「真実」を知る事になります。投稿はもしかしたら日時が一定にならないかもしれませんが、しっかり書いていきますので、何卒よろしくお願いします。

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