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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第9章 出会い、波乱、そして……

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第208話 仲直りと、「改めて」

 今回は、いつもより短い話になってます。


 (うーん、参ったなぁ……)


 恵樹の謝罪を聞いて、春風はどう返したら良いのかを考えた。


 その後、春風は「うん」と無言で頷いて、ゆっくりと口を開く。


 「ねぇ、ケータ」


 「な、何?」


 「ケータはさ、お父さんのこと、今も尊敬してるの?」


 その質問を聞いて、恵樹は一瞬「え?」となったが、すぐに真面目な表情になって、


 「そうだね、俺が言うのもなんだけど、子供みたいに好奇心が旺盛で、一度こうと決めたらすぐに突っ走っちゃう所もあるけど、自分の仕事にとても誇りを持った父ちゃんを、俺、凄く尊敬してるよ」


 そう答えた恵樹を見て、春風は「そっか」と呟いて小さくニヤリと笑うと、


 「うん、許す」


 「! ハルッち……」


 「でも、1つ条件みたいなものがある」


 「え、何?」


 「俺の方から、()()()()()()()()()()()が1つあるんだ。それを言う事を許してほしいんだよね」


 と、春風が出したその条件を聞いて、


 「えぇ? あー、うん、良いよ」


 と、恵樹はポカンとしながらも「OK」を出すと、


 「ありがとう」


 と、春風は笑顔でそう言った。


 その後、深呼吸をして気持ちを整えると、真剣な眼差しを恵樹に向けて、


 「この世界に来てすぐに皆の事を置いて外に飛び出した俺に、こんなことを言う資格がないのはわかってるんだけど……」


 その言葉を聞いて、恵樹はゴクリと固唾を飲んだ。


 「俺は、ケータの事、『大切な仲間』だって思ってる。勿論、ケータだけじゃなく、テツやミウさん、イオリさんやシオリさんのこともそう思ってる」


 「ハルッち……」


 「そして俺は、これからも皆と『仲間』でありたいって思ってる。ただ、その為にも……ていうか、ある意味『今更感』が半端ないんだけど、どうしても、()()()どうしても必要なことを言うね」


 「な……何?」


 かなり真剣な表情でそう話す春風に、恵樹はタラリ冷や汗を流すと、春風は穏やかな笑みを浮かべて、


 「()()()()()()()()()()()()。『春』の『風』って書いて、『春風(はるか)』です」


 と言って、恵樹の前にスッと右手を差し出した。


 それを見て、恵樹は一瞬「あ……」と言ってポカンとなったが、すぐに「ハハ」と笑って、


 「俺、野上恵樹! フレンドリーに、『ケータ』って呼んでよ!」


 と、満面の笑みで差し出されたその手をギュッと握った。


 それを聞いて、


 「うん。よろしくケータ!」


 と、春風も笑顔でそう返した。その後、


 「じゃあ、この話は取り敢えず終わりってことで。あ、でも……」


 「?」


 「もし、全部話せる時が来たらさ、その時は聞いてくれるかな?」


 「! うん、いつでも待ってるよ」


 「ありがとう。でもって、ごめん」


 「良いよ良いよ、俺、幾らでも待っちゃうからさ!」


 そう言って、お互い笑い合う2人だったが、


 「ところでさ、ケータ」


 「? 何、ハルッち」


 キョトンと首を傾げる恵樹に、春風は「とある方向」を指差して、


 「()()、どう突っ込みを入れたら良いのかな?」


 「あれ?」


 恵樹はそう言って、春風が指を差した方向ーー扉の方を見ると、


 「……あ!」


 と、恵樹はちょっとだけ驚いた表情になった。


 そして、肝心の扉の方はというと、


 「うぅ〜」


 「ううぅ〜っ」


 と、何やら複数の啜り泣く声を聞いて、恵樹は、


 「あ〜、あれねぇ〜」


 と、再び冷や汗をタラリと流した。


 「どうしよう、ケータ」


 「う、うーん。どうしよっか……」


 2人はお互い顔を見合わせて、なんとも困った様な笑みを浮かべるのだった。


  


 

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