第198話 春風vsアデレード2 「狂戦姫」アデレード
今回、この物語を読んでくれている皆様に、どうしても謝罪しなければならない事があります。
詳しい内容は後書きに書きました。
白金級ハンター、アデレード・マリッサ・グレイシア。
グレイシア王国の王女として生まれた彼女が、ハンターの道を歩むことになったきっかけは、彼女が12歳の時だった。
妹と共に王城近くの森に遊びに来ていた時に、盗賊達に襲われたのだ。
その日の彼女達には護衛の騎士も数人いたのだが、強さは盗賊達の方が上で、皆死んではいないもののほぼ全員が重症を負った。
そして盗賊達の手がアデレードと妹に迫ったその時、彼女の中で「何か」が目覚めた。
「あれ? わ、私は……」
そして気がつくと、彼女の手には血の付いた剣が握られていて、周囲には血塗れになった盗賊達が転がっていた。
側で震えていた妹に、何が起きたのかを尋ねると、
「姉様がやったんです」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は全てを思い出した。
盗賊の手が自身に伸びたその瞬間、盗賊が持っていた剣を奪い、その勢いで1人、また1人と盗賊達を斬り捨てたのだ。
まだ職能を授かってない少女が、複数の盗賊を倒す。こんな異常な出来事、普通の少女ならショックを受けるだろう。
だが、アデレードはそれを知った時、血で汚れたその手と剣を見て、
「アハハ……」
と、ニヤリと笑っていた。
この事態を知ったグレイシア王国の女王は、すぐに神官にアデレードを調べるよう命じた。もしかすると、固有職能を持っているのかもしれないと思ったからだ。
だが、幾ら調べても、アデレードに固有職能はなかった。
その後も調べに調べて、結局辿り着いた答えは、
「グレイシアの王族は先祖代々戦士系の職能を持つ者が多いから、恐らくアデレード様はその血を最も濃く受け継いでいるのでしょう」
というものだった。
女王達はアデレードが固有職保持者でないことに安心し、ホッと胸を撫で下ろした。
しかし、肝心のアデレード本人はというと、
(……ちょっと、気持ちよかったな)
生まれて初めて剣を持ち、振るい、敵(この場合は盗賊達)を斬った時の「感触」を忘れることが出来ずにいた。
それ以来、アデレードは王族としての教育の他にも、様々な戦闘技術を学ぶようになった。当然、親である女王には内緒でだ(といっても既にバレているのだが)。
そして身に付けた知識や技術を、お城の兵士や騎士達を相手に試していったのだが、
(違う。まだまだこんなものじゃない)
そう思っているうちに、やがて力を試す対象を、「より強い存在」へと向けるようになり、
(いつか、そいつと戦いたい!)
と、強く思うようになった。
それから3年後、彼女は待ちに待った職能を授かった。
授かった職能は、「猛戦士」。
普通の戦士よりも、かなりの攻撃性を備えたその職能は、アデレード自身がが最も望んでいたものだった。
「これで、もっと強い奴と戦える!」
その後、とある「準備」を済ませたアデレードは、王国を飛び出してシャーサルへと向かい、ハンターの門を叩いた。そして魔物の討伐を主な仕事とし、授かった職能を使いこなす為の訓練をしながら、その力と技術を磨き上げていった彼女は、やがて大手レギオンである「紅蓮の猛牛」にスカウトされ、以後そこで生活するようになる。
そしてそのレギオンで、メキメキと次第に頭角を表したアデレードは、僅か1年半という異例の早さで白金級ハンターの仲間入りを果たすのだった。
その際、彼女にはある「二つ名」が与えられた。
武器を手に取り、美しくも狂った様に戦うその姿に、恐怖や畏敬の念を込めてこう呼ばれた。
「狂戦姫」。
その後、彼女はシャーサルを襲った「邪神の眷属(ループスの分身)」とは別の魔物を討伐した後、ウォーリス帝国で開催された春風と水音の決闘を見て(といっても帝国で直接見たのではじゃなく、魔導映像配信技術を通して見たという意味)、
(よし、次はこいつと戦いたい!)
という想いが芽生え、レギオンリーダーであるヴァレリーに、
「あいつと戦う為にウォーリス帝国に行かせてほしい!」
と頼むと、その国に行く事になったギルド職員の護衛という形でなら良いという事になり、その職員ーーメイベルと共にシャーサルを旅立ち、辿り着いた帝国で春風に一騎打ちを申し込み、
「ヒャッハーッ! さぁ、第2ラウンドといこうじゃないか!」
と、現在に至るのだった。
謝罪)
誠に大変申し訳ありません。
前回の後書き(修正したものになりますが)書いた通り、アデレードさんのフルネームを「アデレード・マリッサ・グレイシア」に改名し、彼女の祖国も「グレイシア王国」に変え、更に身体的特徴も「金髪」から「銀髪」に、家族も「弟」から「妹」に変更しましたので、以後、この設定で進めたいと思っております。
勝手な事をして、本当に申し訳ありませんでした。




