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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第8章 友との決闘

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第183話 春風vs水音13 「鬼」、誕生


 時は少し遡り、意識と無意識の狭間にて。


 「やめろぉおおおおおおおっ!」


 そう叫んだ時、水音の体が青く光った。


 「何!?」


 もう1人の水音がそれに驚いていると、水音を拘束していた両腕の鎖が、バリンと大きな音を立てて砕け散り、その勢いに乗って、


 「うおおおおおっ!」


 「ぐあっ!」


 水音はもう1人の水音を、力いっぱい殴り飛ばした。もう1人の水音は突然の事に対応出来ず、殴られた勢いでその場に尻餅をついた。


 「く。な、何故だ? 君は、彼を倒したいんじゃなかったのか? その為に強くなりたいんじゃなかったのか?」


 もう1人の水音は殴られた部分を押さえながら、水音に向かってそう尋ねると、


 「お前は『僕』の癖に、『僕』の事何にも理解してないな」


 と、水音は息をきらしながらそう答えた。


 もう1人の水音が「何だと?」と言うと、


 「僕が強くなりたかったのは、春風を()()()為だからだ!」


 「……どういう意味だ?」


 水音の言葉に、もう1人の水音はポカンとなった。そんな彼に構わず、水音は話を続ける。


 「確かに春風は凄い奴だよ。どんなにピンチになっても、それを覆す程の奇跡を起こして、最後はカッコ良く切り抜けて、そんなあいつを何度も『凄い』、『カッコ良い』、『羨ましい』って思ったさ」


 「……」


 「だけどある時、師匠が僕にこう言ったんだ」


 ーーあの子はいつだって、誰かの笑顔にする為に全力を出しちゃうわ。


 ーーでもその所為で時々、自分の事を蔑ろにしちゃう事があるの。


 ーーもし私の手の届かない所で、あの子が取り返しのつかない事になってしまったら、私はきっと、色んな意味で壊れてしまう。


 ーーだから水音、もしも私が動けなくなる様な事になったら、私の代わりに春風を助けてほしいの。


 ーーどんな手段を使っても良いから、お願い。


 「そしてその言葉を聞いてから暫くして、師匠の言葉が本当だって理解させらたんだ。このまま春風をそのままにしたら、きっと何処かで動けなくなって、やがて潰れてしまうってね」


 「……だから、彼を助ける為に強くなりたいと?」


 「ああ、そうだ。いつかあいつが本当に潰れそうになった時、『弟弟子』としてじゃなく、時には『友達』として、時には『ライバル』として、あいつを助けたいって、そう心に決めたんだ」


 真面目な表情でそう話した水音を見て、もう1人の水音は顔を下に向けて「そっか」と小さく言うと、


 「なら、僕は消えるよ。君の話を聞いてたら、僕は存在しちゃいけないって事がわかったから」


 と、スッと立ち上がって水音の前から消えようとした。


 だが、


 「待てよ!」


 「え?」


 水音はガシッともう1人の水音の腕を掴んだ。


 もう1人の水音は再びポカンとした表情になって、


 「どうして?」


 と尋ねると、


 「春風はどんな人間だって簡単に見捨てようとはしなかった。だから、僕もお前を見捨てたりなんかしない。お前にはこのまま僕の中で、僕という人間の生き様を見てもらうからな」


 「……君は……」


 その会話の後、2人の体は青い光に包まれた。


 その際、頭の中で、「声」が聞こえた。


 そして今、現実では、


 「よせ! 抵抗するな! 女神()に従え!」


 「嫌だぁあああああああっ!」


 女神マールに対してそう叫んだ瞬間、水音の体から青い光が発せられた。


 青い光は、まるで燃え上がる炎の様に大きくなり、見ている者達全てを圧倒した。


 「み、水音ぉ!」


 そんな状態の水音を見て、意識を取り戻していたセレスティアは叫んだ。


 一方、水音と向かい合ってる春風はというと、


 「大丈夫、水音?」


 と、仁王立ちを崩さずにそう尋ねた。


 それに対して、水音は青い光に包まれた状態で、


 「ありがとう、春風。僕を信じてくれて」


 と、春風にお礼の言葉を言ったので、春風はニコリと笑った。


 そんな春風に向かって、水音は話を続ける。


 「そうだ、凄く()()()()が起きたんだ」


 「何?」


 そう尋ねた春風に、水音は頭上にいるマールをチラリと見て答える。


 「悪い奴とはいえ、神様に逆らったら……」


 水音はスッと右手を差し出して、春風に「あるもの」を見せた。


 それは、自身のステータスの一部で、そこにはこう記されていた。


 桜庭水音(人間・男・17歳) 職能:戦鬼


 「『職能:()()』って、もしかして……」


 春風が尋ねようとすると、水音はそれを遮って答える。


 「うん。僕も、()()()()()()になっちゃった」


 『な、なんだってぇー!?』


 水音の言葉を聞いて、春風を除いた誰もがそう驚きの声をあげた。


 そんな中、ギルバートはというと、


 (そうか、そうだったんだな)


 青い光に包まれた水音を見て、心の中で呟く。


 (桜庭水音……)


 ーーお前が、『青き悪魔』だったんだな。


 


 

 


 


 


 

 以上、水音君の覚醒回でした。


 そして、誠に勝手ながら、前回の話に出てきた春風君の「力」についての文ですが、水音君が弟子入りした時点で既に持っていた為、その部分について修正しました。


 本当に申し訳ありませんでした。

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