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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第8章 友との決闘

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第179話 春風vs水音9 「戦い」の神、アレス登場


 「だ、誰?」


 目の前にいる零号から現れたワイシャツとジーンズ姿の茶髪の男性は、見た目こそ「気の弱そうなお兄さん」を思わせる雰囲気を出してはいるが、何故か逆らう事が出来ないくらいの圧倒的な存在感を放っていた。


 「お、お前、何者だ!?」


 マールは怯えながらも強気な態度で男性にそう尋ねると、男性は申し訳なさそうな笑みを浮かべて、


 「初めまして、僕はアレスといいます。オリュンポスの……いえ、異世界『地球』の神の1柱にして、『戦い』を司る者です」


 と答えた。


 「い、異世界の、神だと?」


 震えた声でそう言ったマールに対し、男性ーーアレスはゆっくりと辺りを見回すと、マールの方を向いて、


 「随分と、好き放題してくれましたねぇ」


 と言った。表情こそ笑顔だったが、


 (あぁ、すっごい怒ってる!)


 と、その場にいる誰もがそう思い、戦慄した。


 マールもその笑顔にびびっていたが、


 「ふ、フン、丁度いいわ! 今日まで私()が身につけてきたこの『力』、あなたで試してあげる!」


 と、すぐにアレスを睨みつけながらそう言うと、その場で水の槍を何本も形成し、それら全てをアレスに向けて放った。


 しかし、アレスは落ち着いた様子で、右手の指をパチンと鳴らすと、先程まで襲いかかってきた水の槍は、アレスにあたる前に霧のようになって全て消え去った。


 マールはそれを見て、


 「……は?」


 と、なんとも間抜けな表情になった。


 そんな彼女に向かって、アレスは「おやおやぁ?」といった感じの表情で、


 「何ですか、このお粗末な『水』は? ここにポセイドンがいたら、『力の使い方がなっとらーん!』とブチギレますよ?」


 「いや、あの、は?」


 未だ訳がわからないといった表情をしたマールを無視して、アレスはさらに話を続ける。


 「まぁ、それはさておき、今日この場に来たのは、()()()()()どうしても許せない事が起こったので、ちょっと文句を言いに来たんですよ」


 「も、文句?」


 「ええ。あなた達がセイクリア王国にやらせた勇者召喚の所為で、この世界だけでなく春風君達の故郷である地球が大変な事になってしまったのは勿論許せませんが、それ以上に、今日はその春風君と水音君が、それぞれの『技』と『思い』をぶつけ合う素晴らしいビッグイベントなのに、それをまぁ……」


 『?』


 ーーギロリ。


 「よくもぶち壊してくれたな、この()()()がっ!」


 先程までに気の弱そうな表情から一変して、文字通り怒りの形相になったアレスを見て、マールは思わず、


 「ヒッ!」


 と、ビビって後ろに下がった。


 アレスは素早くマールのすぐ側まで近づくと、彼女のお腹を指でピンっとデコピンする様に弾くと……。


 ーーブオンッ!


 「ぐぅあああああああっ!」


 マールはまるで強烈なボディブローを受けたかのように体をくの字に曲げて、物凄い勢いで吹っ飛ばされた。


 その瞬間、


 「あっ!」


 と、イブリーヌの首を絞めていた水はパッと消滅した。


 それ見たアレスは、


 「イブリーヌちゃん、でしたね? 大丈夫ですか?」


 と、また気の弱そうな感じの笑みで尋ねた。


 「は、はい、大丈夫です」


 とイブリーヌが答えると、アレスは「良かった」と言ってその場からスッと浮かび上がり、吹っ飛ばされたマールを追って飛んでいった。


 残された者達は、


 「す、スゲェ」


 「あ、あれが、異世界の神の力なのか?」


 「て、ていうかあの人(?)、2回も『紛い物が』って言わなかった?」


 と、皆口々にそう言った。


 一方吹っ飛ばされたマールはというと、あれからどうにか踏ん張ってその場にとどまった。そこは、丁度春風と水音が戦っている闘技台の真上だった。


 苦しそうにお腹を押さえるマールの前に、アレスが飛んできて、


 「うわぁ、酷く不細工な面ですねぇ。アフロディーテやアルテミスが見たら、間違いなくドン引きでしょうねぇ。まぁ、どうでも良いですけど」


 と、気の弱そうな顔で酷い事を言った。


 マールは再びキッとアレスを睨みつけると、


 「それ以上近づくな! 近づけば、あそこにいる勇者水音の命はないぞ!」


 と、アレスに向かって叫んだ?


 「……はぁ?」


 「い、言っておくが、私は本気だ! 私が命令すれば、彼はすぐにでも自分で自分の命を断つだろう! それが嫌なら、大人しくお前達の契約者が殺されるのを黙って見ていろ!」


 お腹を押さえてそう喚くマールに対し、アレスは「ハァ」と溜め息を吐いて春風達がいる闘技台をチラリと見ると、ニヤリと笑って、


 「あー、すみませんが、()()を見てください」


 と、とある方向を指差した。そこは、春風達が戦っている闘技台の方だった。


 「な、何?」


 頭上に「?」を浮かべたマールが闘技台を見てみると、


 「な!?」


 そこには、今にも切り掛かってきそうな水音を前に、()()()()()()()()()()()()()()()春風の姿があった。



 


 


 


 

謝罪)


 大変申し訳ありません。前回の話の中に文章的におかしな部分がありましたので、誠に勝手ながら修正させてもらいました。

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