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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第8章 友との決闘

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第175話 春風vs水音5 春風、怒涛


 (あ、あれぇ? 何この状況?)


 凛依冴の話が終わると、闘技場内はシーンと静まり返った。


 春風は観客席を見回したが、観客は殆どが静かになっていて、さらに目の前にいる水音も、まるでどうしたら良いのかわからないといった感じの表情になっていた。


 それを見た瞬間、


 (……何か、ムカつく!)


 と、春風の怒りに火がついた。


 春風は水音のすぐ側の地面に、スッと左手を向けて、叫ぶ。


 「求めるは“火”、ファイア!」


 ボッ!


 「うわぁ!」


 いきなり近くで火柱が上がって、水音は思わずびっくりしてその場を飛び退いた。


 その姿を見て、春風は、


 「ファイア! ファイア! ファイア!」


 と、何度も火の魔術「ファイア」を唱えた。


 ボッ! ボッ! ボッ!


 「わ! ちょ! ちょっと!」


 何度も上がった火柱に合わせて、水音は大慌てでその場を飛び退くと、


 「何するんだ春風! 危ないじゃないか!」


 と言って、水音はキッと春風を睨みつけたが、とうの春風はムスッとした表情で、


 「うるさい黙れ、いつまでも辛気臭い顔してんじゃあないこのスカタン」


 「ス、スカタン!?」


 水音に暴言を吐いた。


 水音は精神に大ダメージを受けた。


 しかし、春風はそんな水音を無視して、


 「ギルバート陛下!」


 「へ!? 俺!?」


 「勝手に人の過去暴露しないでくださいよ! あの時の事は、俺にとってすっごく辛い出来事だったんですからね!」


 「す、すまん」


 ギルバートに文句を言った。


 ギルバートはすぐに謝罪した。


 その後、春風はクルッと向きを変えて、


 「エリノーラ様!」


 「は、はい!」


 「なに人の職能バラしてるんですか! 折角今日まで隠してきたのに! 皇族ともあろう方がやって良い事と悪い事もわからないのですか!? 反省してください、子犬の様にシュンとなって!」


 「あう! ご、ごめんなさい」


 エリノーラにも文句を言った。


 エリノーラはすぐにシュンとなって春風に謝罪した。その姿は、まさに悪戯を叱られた子犬の様だった。


 春風はその姿を確認すると、


 「師匠!」


 「な、何、春風?」


 「彼岸花の分身を用意してくれて、ありがとうございます。おかげで俺、今日まで生き延びる事が出来ました」


 「は、春風!」


 「後、遅くなりましたけど……会えて嬉しいです」


 「! マイスウィートハニー!」


 と、顔を赤くしてお礼を言った。


 凛依冴は嬉しさのあまり目をウルウルとさせた。


 「最後に水音!」


 「ふえ!?」


 いきなり話しかけられて間抜けな声を漏らす水音に、


 「スッゲェ強くなったね」


 と、春風は穏やかな笑顔で言った。


 「……うん。君に勝って、君を超える為に、僕はここで強くなったんだ」


 水音は真面目な表情でそう言うと、春風は「そっか」と言って、


 「なら、俺から1つ『アドバイス』するよ」


 「アドバイス?」


 春風の言葉に、水音だけでなくギルバート達や観客達までもが「?」を浮かべると、春風は落ちている彼岸花に近づき、


 「俺を相手に『超える』なんて言葉を使ってるようじゃあ……」


 水音に向かって不敵な笑みを浮かべて言う。


 「俺には絶対に勝てないよ」


 「な!?」


 水音が驚きの声をあげると、春風は左腕を突き上げる形で空に向けた。


 その腕には、それまでつけていた『アガートラーム』よりもスマートな見た目をした、菱形に加工された赤、青、オレンジ、緑、そして、黄色、紫の宝石がはめ込まれたガントレットをつけていた。


 春風はソッと目を閉じて、叫ぶ。


 「来い、タクティカル・アタッチメント!」


 すると、ガントレットにはめ込まれた宝石が輝いて、そこから「何か」が飛び出し、ガションガションという音と共にガントレットに装着された。


 そして、装着が終わった時、スマートだった銀のガントレットは少々()()()見た目なった。


 「何だ何だ!」と驚く水音達を前に、春風は再び叫ぶ。


 「タクティカル・アタッチメント装着完了! 『アガートラームMkーⅡ』、起動!」

 

 「な、何じゃそりゃあ!?」と驚く水音達を他所に、春風は彼岸花を拾い上げて、


 「水音。俺に勝ちたかったら……」


 切先を水音に向けて、


 「この俺の全てを……」


 真っ直ぐ水音を見て言い放つ。


 「『()()』する気でかかってこいっ!」


 それを聞いて、水音は、


 「は、春風ぁ!」


 と言って、歯をギリっとさせるのだった。

 


 


 

 

 ここへきて、まさかの新装備紹介。


 そして、最後の春風の台詞は、物語を書く前からずっと言わせたかった台詞でした。


 書くことが出来て、本当に良かった。

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