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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第8章 友との決闘

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第144話 悪夢

お待たせしました、1日遅れの投稿です。


 「ごめんね春風君、間に合わなかった」


 アマテラスにそう言われて、春風は「え?」となった。


 「あ、あの、間に合わなかったって、何がですか?」


 恐る恐るそう尋ねた春風に、アマテラスは申し訳なさそうに答える。


 「地球は、もう駄目みたい」


 「ちょ、ちょっと待ってください! それって……」


 「見て、地球が消滅していくわ」


 「そ、そんな!」


 アマテラスに促されて、春風は地球が消えていく様子を見た。


 「ああ、地球が……消えていく」


 「君はよく頑張ったわ。今まで、ありがとう」

 

 そう言うと、アマテラスは春風の目の前から消えた。


 アマテラスだけでない。ゼウスやオーディン、さらに他の地球の神々も、皆春風の前から消えた。


 そして、何もない真っ白な空間に、春風だけが残された。


 「そんな、俺の、俺の所為で、俺が、もう少し早く、そんな、嫌だ、嫌だ、嫌だぁあああああっ!」


 そう叫ぶと、春風はその場に膝から崩れ落ちた。


 だが、


 「春風様っ!」


 自身を呼ぶの声を聞いて、春風は「ハッ!」と目を覚ました。


 「大丈夫ですか春風様!?」


 声がした方を向くと、そこにはイブリーヌがいた。


 いや、イブリーヌだけでない。側には心配そうに春風を見つめるギルバートとディックもいたので、春風は漸く、自分が置かれている状況を思い出す事が出来た。


 そう、ここはウォーリス帝国の馬車の中で、自分は今、皇帝であるギルバートの招待を受けて、仲間達と共にウォーリス帝国に向かっている途中だったのだ。


 そして、その最中、「邪神の眷属」ことループスの分身との戦いの疲れが出たのか、知らないうちに眠ってしまったのだ。先程まで見た地球消滅の光景は、どうやら夢の中での出来事のようだった。


 暫くの間ボーッとしていると、


 「オイ、大丈夫か幸村春風」


 「春風様?」

 

 と、ギルバートとイブリーヌに話しかけられたので、


 「え? あぁ、はい、大丈夫です、ご心配おかけしました」


 と、春風は慌ててそう答えた。


 しかし、


 「いや、どう見ても『大丈夫』って感じじゃねぇだろ。すげぇ汗かいてるぞ」


 と、ギルバートにそう指摘されて、春風は「え?」と言って自身の首に触れると、


 「うわ! ホントにすごい汗」


 と、ギルバートの言った通り、確かに汗でびっしょりと濡れていた。

 

 (うわぁ、お姫様と皇帝陛下の前で寝ているとか俺恥ずかしい〜)


 と、春風が自身にドン引きしていると、


 「あの、春風様……」


 と、イブリーヌが話しかけてきた。


 「え? あ、はい、何でしょうか?」


 「春風様、もしかして何か『怖い夢』を見ていたのですか?」


 「はい?」


 いきなりそう質問されて、春風は思わず「?」を浮かべた。


 「何故、その様な事を聞くのですか?」


 「だって……」


 イブリーヌは懐からハンカチを取り出すと、ソッとその手を伸ばし、春風の目元を拭って、

 

 「春風様、()()()()()()()から」


 と言った。

 

 「……へ?」


 春風は一瞬呆けた後、直ぐに腰のポーチから小さな鏡を取り出して自分の顔を見た。


 (うお! 何じゃこりゃあ!?)


 そこには、イブリーヌの言った通り、汗と涙を流す自分の顔があった。


 春風は恥ずかしさのあまり自分の顔が熱くなったのを感じた後、


 「す、すみません! みっともない所をお見せしてしまって!」


 と、ひたすら頭を下げて謝罪した。


 ギルバートはそんな春風に、


 「ああ、いいよいいよ、お前も色々あったんだなってわかったから。まぁ、後でその辺の事も話してもらうからなって事で」


 と、手を軽く振りながら「気にするな」といった感じでそう返した。


 それを聞いて、「うぐ……」と春風が唸っていると、ギルバートは窓の外を見て、


 「お、わりぃ、直ぐにでも馬車をとめて休憩といきたい所だが、もうちょっと我慢してくれ」


 「?」


 首を傾げる春風に、ギルバートは指を差しながら窓の外を見る様に促した。


 春風は促されるままに窓の外を見ると、その指の先には大きな都市の様なものが見えた。


 「あ、あそこってもしかして……」


 と、春風が口を開くと、ギルバートはニヤリと笑いながら答える。


 「そ。あそこが、我がウォーリス帝国の帝都さ」


 「帝都。そうですか」


 と言って、春風は一瞬視線を落としたが、再び真っ直ぐ帝都を見て、心の中で呟く。


 (あそこに、水音がいる)

 

 


 

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