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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第7章 襲来、「邪神の眷属」

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第134話 その名を呼ぶ

 お待たせしました。1日遅れの投稿です。


 辺り一面真っ暗な闇。


 その闇の中に落ちた歩夢を追って、春風は絨毯型魔導具から飛び降りた。


 外で起きてる異変の影響か、入った時はゆっくり落ちていたのだが、今はもの凄い速さで落ちていた。


 「春風様、私無茶をしないでと言いましたよねぇ!?」


 と、左腕の零号の中でそう悲鳴をあげたジゼルを無視して、春風は落下中の歩夢に向かって右手を伸ばしながら、必死になって呼びかけた。


 「ユメさん! 手を伸ばしてください、ユメさん!」


 しかし、歩夢からの反応はなかった。


 だが、春風は諦めずに呼び続ける。


 「ユメさん、ごめんなさい! ()()()()()()()()()()()! 俺は……()は、ユメさんに()()()()()()()()()()があるんだ! 話したい事も、いっぱいあるんだ! だから……」


 そして、春風は歩夢のすぐ側まで近づき、その名を呼んだ。


 「目を覚ましてよ、()()()()()!」


 次の瞬間、歩夢は目を開いて、差し出された春風の右手をがっちりと掴むと、自身の方に春風を抱き寄せた。


 春風は一瞬驚いたが、直ぐにハッと我に返り、空いた左手をベルトのポーチに突っ込むと、そこから魔導フライングボード……通称「フライボード」を取り出し、魔力を込めた後、それに飛び乗った。


 真っ暗な空間の中、春風と歩夢を乗せて宙に浮くフライボード。


 春風は「フゥ」と一息入れると、今も抱きついている歩夢に話しかけた。


 「大丈夫、ユメちゃん?」


 「……やっと」


 「?」


 「やっと、呼んでくれたね、()()()()()


 「え……むぐ!」


 春風が何か言おうとしたその時、春風の唇に何か柔らかいものがあたった。


 それは、歩夢の唇だった。


 そう、春風は歩夢に、()()()()()のだ。


 それに気づいた時、歩夢の唇が春風の唇から離れた。


 ニコリと笑う歩夢に、春風が尋ねる。


 「さてはずっと気絶したフリしてたな?」


 「えへへ。うん、ホントはフーちゃんが来る前から目が覚めてたんだ」


 笑顔でそう言った歩夢に、春風は喜びや呆れが混ざった複雑な心境になったが、再び「フゥ」と一息入れてから言う。


 「色々言いたい事があるけど、今はここから脱出しよう」


 「うん」


 歩夢がそう返事すると、春風はフライボードを操作してリアナ達の所に戻った。


 一方、絨毯型魔導具に乗っているリアナは、中央の魔石に魔力を注ぎながら、春風達が来るのを待っていた。


 「うう、ハル大丈夫かなぁ」


 と、1人不安で泣きそうになっていると、


 「お待たせ!」


 と、下から歩夢を抱いた春風が現れた。


 「ハル!」


 「リアナ、ありがとう。じゃ、交代して脱出だ!」


 「うん!」


 その後、リアナと交代した春風は、絨毯型魔導具を操作して上を目指した。


 そして外ではというと、ループスの分身は未だにルーシーが出した鎖によって拘束されていた。


 その時、


 「ウグッ!」


 突然、ループスの分身が苦しみだした。


 「な、何だ何だ?」


 と周囲が首を傾げていると、


 「グボファア!」


 と、突然ループスの分身が大きく口を開いて、そこから何か大きなものが出てきた。


 周囲が更に「何だ何だ!?」と一斉に首を傾げると、それは、大きな絨毯に乗った春風達だと理解した。


 「よっしゃあ、脱出成功!」


 そう叫んだ春風は、その後絨毯型魔導具を操作してアデル達の側に向かった。


 驚いていたアデル達だったが、春風の姿を確認すると、


 「アニキーッ!」


 「ハル兄ぃー!」


 「春風様ぁー!」


 と、すぐに春風の側まで駆け寄った。


 「みんな、ただいま……って、ルーシー!?」


 再会を喜ぶ春風だったが、ルーシーの今の状態を見て驚いた。


 「あ、ハル兄さん?」


 「そうだよ、俺だよ、ハルだよ!」


 春風がそう答えると、ルーシーはそれまで纏っていた濃い紫色のオーラを消し去って、


 「ハル兄さん!」


 と、春風に駆け寄った後、思いっきり抱きついた。


 「お、オイ、どうしたのルーシー?」


 春風がそう尋ねると、代わりにアデルが怒鳴りながら答えた。


 「アニキが悪いんだよ! アニキが邪神の眷属の体内に飛び込んだ所為で、ルーシーが怒り狂って暴走しちゃったんだよ!」


 「え、そうなのか!?」


 アデルの話を聞いて春風が驚いていると、ルーシーの抱きしめる力が更に強くなった。


 よく見ると体はブルブルと震えていて、顔は見えないが、恐らく泣いているのだろうと思った春風は、


 「ごめんな、ルーシー」


 と、ルーシーの頭をよしよしと撫でた。


 するとそこへ、


 「アー、スマン、チョットイイカ?」


 と、ループスが尋ねてきたので、春風達が「?」を浮かべながらループスの分身の方を向いた。


 「どうしたんですか?」


 春風がそう尋ねると、ループスは言いにくそうに答えた。


 「サッキノ闇ノ魔力ニヨル攻撃ノ所為デ……()()()()()()()()()()


 『……え?』


 次の瞬間、ただでさえ大きくなっていたループスの分身が、更に大きくなった上に、2本あった腕が6本になったり、尻尾がもう1本増えたりと、どんどんその姿が異形のものとなっていった。


 春風はその姿を見て、


 「冗談キツイよ」


 と、小さくボソリと呟いた。


 


 


 

 今回小説の中で、初めてキスシーンを書きました。


 そして、第7章もいよいよ大詰めとなりました。

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