第131話 春風とジゼルの体内探索
お待たせしました。1日遅れの投稿です。
「おお! こりゃすげぇな!」
飲み込まれたリアナ達を救う為、ループスの口から体内に飛び込んだ春風。
そこは、普通の生物の体内の様な所ではなく、ただ真っ暗だった。彼は今、その真っ暗な中をゆっくりと落ちていた。
(うーん。結構落ちてると思うんだけど、一体どこまで続いてるんだこれ? ちょっと興味はあるけど、今は早くみんなを見つけなきゃ)
と、呑気にそんなことを考えていていると、
「は〜る〜か〜さ〜ま〜」
左腕のアガートラームに装着した零号から、ジゼルの声がした。
「? どうしたんですかジゼルさん?」
春風がそう尋ねると、ジゼルは零号から出てきて、
「私、言いましたよね? 『無茶はしないでください』って」
と、笑顔で尋ね返した。ただし、目は笑っていなかったが。
「……あ」
その瞬間、春風は自分がしたことを思い返した。
冷静になって考えてみると、いくらリアナ達を助ける為とはいえ、自分から体内に、それも口から入ったなど、「これってかなり無茶しているんじゃないか」と、今になって疑問に思ってしまったのだ。
「あー、俺、そんなに無茶なこと、しました?」
恐る恐るそう尋ねた次の瞬間、ジゼルはピキッとなって、
「無茶なことをしたに、決まってるじゃないですかぁーっ!」
と、真っ暗な空間で、春風を思いっきり怒鳴った。
数分後、
「うぅ、めっちゃ怒られた」
「当たり前です! 反省してください!」
ジゼルにかなり怒られたのか、春風はしょんぼりしていた。一方ジゼルはというと、零号内でまだプンスカと怒っていた。
それから春風はゆっくりと落ちながらリアナ達を探していると、
(ん? 何だあれ?)
と、今の位置よりも下の方で、何かが光っているのを見つけた。
見つけた時は小さな光だったが、落ちていくにつれてその光はだいぶ大きくなった。
そして春風の足が光に触れた瞬間、眩い光に包まれるのを感じて、
「「う! ま、眩しい!」」
と、春風とジゼルは思わず目を瞑った。
「……う、う〜ん。ハッ!」
気がつくと、そこは床と壁と天井が真っ白な広い部屋の中だった。
(ここ、体内だよな? 何でこんな部屋みたいなのがあるんだ?)
頭上に「?」を浮かべながら辺りを見回すと、
「春風様! 床を見てください!」
「え? あ、みんな!」
と、床に転がっている状態のリアナ達を見つけた。
春風はまず、一番近くにいるリアナに近づき、
「リアナ! リアナ!」
と呼びかけたが、
「……」
気を失っているのか、春風の声に答える様子はなかった。
「テツ! オイ、テツ!」
「……」
「ケータ、起きろ! ミウさん! イオリさん、シオリさん! ユメさん! レイモンド様!」
その後、春風は鉄雄達にも呼びかけたが、全員反応はなかった。
「駄目だ、目を覚さない。ちくしょう、どうすればいいんだ?」
「春風様……」
春風はリアナ達を目覚めさせる方法はないかと考えていた、その時……。
ドォオオオオオオオン!
「「!?」」
突然の爆発音と共に、部屋が揺れたのを感じた。
「な、何だ!?」
「この音。春風様、外で何かが起こっているようです!」
「外!?」
春風とジゼルが驚いていると……。
ドォオオオオオオオン! ドォオオオオオオオン!
「ま、また!?」
今度は連続で爆発音が鳴った。
「オイオイ、俺達が中にいるんだぞ!」
「一体、外で何が起きているのでしょうか!?」
わけもわからず混乱する春風とジゼル。
2人は知らなかった。
ループスの分身の体内でリアナ達を探していた時、外ではというと、
「グォオ! コレハ、ヤバイ!」
「やめるんだ、ルーシー!」
「お願い、落ち着いて!」
「許せない。絶対に……許せない」
ループスの分身を相手に、ルーシーが暴走していた。
その理由は、少し前に遡る。




