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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第7章 襲来、「邪神の眷属」

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第127話 春風、動く

お待たせしました。1日遅れの投稿です。


 (うわぁ、めっちゃ見られてるぅ。俺、目立つの嫌いなんだけどなぁ……)


 ドームの外にいる多勢の人達に見守られながら、春風は心の中でそう呟いた。


 鉄雄達とレイモンド、そしてリアナは今、ループスによって結界の中に閉じ込められている。戦えるのは自分1人だけ。といっても、左腕のガントレットに装着された零号の中にジゼルがいる為、完全に1人ではないのが救いなのだが。


 (はぁ、うだうだ考えても仕方ないか)


 そう思った春風は、取り敢えず彼岸花を構えながら、目の前の邪神の眷属……否、ループスの分身に、スキル[英知]を使用した。その結果……。


 ループス・エイリアス・ウルフ(レベル:*#%)……「月光と牙の神ループス」によって生み出された狼型の分身体。


 (えぇ? レベルの表示なんか変なんだけど。そして説明もシンプルすぎなんだけど)


 表示された結果を見て、春風は真面目な表情を崩さずに、心の中で文句を言った。


 「ドウシタ? 来ナイノカ? 何処カラデモカカッテキテ良イノダゾ?」


 と、そんな様子の春風を、ループスは小馬鹿にするような感じで挑発した。


 しかし、春風はその挑発に乗ることはなく、


 「わかりました。では……」


 そう言った次の瞬間、先程までループスの分身の目の前にいた春風は、いつの間にかループスの真横にいて、


 「いきます」


 「!?」


 と、ループスの分身の首めがけて彼岸花を振り下ろした。


 「ヌオ!」


 しかし、ループスの分身は、間一髪の所でそれを回避した。


 一体あの一瞬で何が起きたのか、ループスは勿論、ドームの外の人達にもわからなかった。


 実は春風は[英知]を使った後、密かに両足に魔力を流して脚力を強化し、ループスによる挑発の後、素早くループスの真横に移動したのだ。


 そうとは知らないループスは、


 「フフン、惜シカッタナ」


 と春風に余裕を見せたが、とうの春風はというと、特に気にした様子も無く次の行動に移った。


 春風はループスの分身に左手をかざすと、


 「求めるは“風”、『ウインド』!」


 と、自身のオリジナル魔術「ウインド」を放った。


 「クッ!」


 ループスの分身はまたも間一髪の所で避けるが、避けた先で春風による「ウインド」が何発も襲いかかってきた。


 ループスの分身は、大慌てでそれらを全て避けた。


 が、次の瞬間、


 「とらえた」


 最後のを避けた先では、春風が彼岸花を構えて待ち構えていた。


 狙いは、心臓への突き攻撃だ。


 春風はガラ空きになったループスの分身の心臓にあたる部分に、彼岸花の切先を向けて、容赦無く突き出そうとした。


 だが、


 「舐メルナァ!」


 突如、ループスの分身の体から、黒い稲妻が何本も放出された。


 「!」


 春風は直ぐに攻撃をやめて稲妻の回避に専念した。


 しかし、黒い稲妻は何処までも春風を追いかけた。


 (しつこいな。だったら……)


 春風はその場に立ち止まると、彼岸花に自身の魔力を纏わせた。


 春風の魔力を纏ったことによって、真紅の刃がさらに赤く染まる。


 そして、


 「打ち消せ、彼岸花!」


 春風はそのさらに赤く染まった彼岸花を、力いっぱい振るった。


 すると、赤く染まった刃と同じ真っ赤な斬撃が、黒い稲妻めがけて放たれた。


 その後ぶつかり合う稲妻と斬撃。


 結果は……。


 ドォオオオオオン!


 大きな爆発と共に両方とも打ち消された。


 「ホウ、中々ヤルナ」


 ループスは春風の戦いぶりを褒めた。


 「出来れば、そのままあなたにダメージを与えたかったです」


 それに対して、春風は真面目な表情で強気な発言で返した。


 「ホホウ、随分ト大キクデタナ。ナラバ、()()ハドウカナ?」


 ループスがそう言った後、ループスの分身の体が頭部を残して形を変えた。


 といっても、それほど大きな変形というわけではない。


 それまで4本足で立っていたのだが、スッと2本足で立ち上がり、前足は鋭い爪の様に尖った指をした手になり、後ろ足はまるで人間の足の様になった。


 変化したその姿を見て、春風は小さく呟く。


 「人狼(ワーウルフ)か」


 そう春風の目の前にいるのは、狼の頭を持つ人型の魔物「人狼」だった。ただ、その大きさは狼の姿の倍はあった。


 「フハハハ! サア、ドウスル?」


 春風を見下ろして、ループスは高々に笑いながら言った。


 その姿を見て、結界内のリアナ達とドームの外にいる人達は、ゴクリと唾を飲んだ。


 しかし、そんな中でも春風は落ち着いていた。


 「おお、リアルなボスキャラの第2形態初めて見た。それじゃあ、そっちがそう来るなら……」


 そう言って、春風は彼岸花を鞘に収めると、ベルトに付いている革製のポーチに手を突っ込んだ。


 その後取り出したのは、左腕に装着されたものと同じ銀のガントレットなのだが、大きさはそれよりもやや大きい……というより、何処か()()()感じの見た目をしていた。


 春風はガントレットが装着されたままの左腕に、そのゴツい見た目のもう1つのガントレットを装着した。


 そして、春風はまた小さく呟く。


 「魔力、充填」


 すると、ゴツいガントレットが一瞬だけ光った。


 その後、光がスゥっと消えたのを確認して、春風はゆっくりと口を開き、


 「タクティカル・アタッチメント、装着完了。『アガートラーム』、起動!」


 ガントレットの、()()()()()を叫んだ。


 


 


 


 

 


 


 

 


 


 

 

 ついに明かされた春風のガントレットの名前。次回はこのガントレットの、「真の力」が発揮されます。


 因みに、いつも装着しているガントレットが「アガートラーム」で、今回登場したゴツい方のガントレットが「タクティカル・アタッチメント」です。

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