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ユニーク賢者の異世界大冒険  作者: ハヤテ
第7章 襲来、「邪神の眷属」

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第108話 その頃の勇者達


 春風達が人形となったアイザックと話をしていた丁度その頃、「勇者」ことクラスメイト達は、自分達の為に用意された宿屋で、何やらコソコソと動いていた。


 「よし、誰もいねぇ、行くぞ!」


 『OK!』


 クラスメイトの1人、朝日鉄雄が小声でそう叫ぶと、残りのクラスメイト達と共に素早く移動し、見張りの騎士達の目を掻い潜って宿屋の外に出た。


 その後、宿屋からある程度離れた場所に着くと、


 「全員整列! 番号、1!」


 と、同じくクラスメイトの1人、天上美羽も同じ様に小声でそう叫んだ。そしてそれに続く様に、


 「2!」


 「3!」


 「よ、4」


 「5!」


 「6」


 と、他のクラスメイトらも叫んだ。


 ところが、


 「7!」


 『……え?』


 突如発せられたその声に、クラスメイト達が恐る恐る声がした方を向くと、そこにはフワッとした長い金髪の少女がいた。服装こそ動きやすさを重視したものだが、その少女の正体を知っていた彼らは、


 『い、イブリーヌ様ぁ!?』


 と、驚いて悲鳴じみた叫び声をあげた。勿論、小声でだ。


 「な、何でイブリーヌ様がここにいるんですか!?」


 ハッとなった美羽が、大慌てて目の前の少女、イブリーヌに尋ねると、


 「酷いです皆さん、わたくしを除け者にして! 皆さん、春風様の所に行くのでしょう!? だったら、わたくしも行きます!」


 『え、えぇ〜?』


 プンスカと怒りながら答えるイブリーヌを見て、クラスメイト達はどうしたのもかと悩んでいると、


 「ええい! もう、来ちゃったものはしょうがないから、このまま一緒に行っちゃおうよ!」


 とクラスメイトの1人である野上恵樹が、半ばヤケクソ気味に叫んだので、


 「そ、そうだな。ぐずぐずしてると騎士達に見つかっちまうしな!」


 「う、うん、そうね! そうしましょう!」


 『オォーッ!』


 と、他のクラスメイト達もそうしようという事になった。その様子を見て、


 「皆さん、ありがとうございます!」


 と、イブリーヌは満面の笑みでお礼を言った。


 そんなわけで今、彼らは春風達のレギオン「七色の綺羅星」の拠点を目指して、すっかり夜になったシャーサルの中を進んでいた。当然、迷子にならない様に一塊になってだ。


 ただ、そんな彼らの様子を、都市の住人やその他の通りを行き交う人々が、怪しいものを見る様な目で見つめていた。


 (うぅ、何か恥ずかしいよぉ)


 (ここを抜けるまで我慢して)


 そんなやり取りの中、現在クラスメイトが通ってるのは、商業区の中でも特に酒場や食堂などが多い場所で、時折そこから漂う良い匂いが、彼らを誘惑していた。


 「くっ! 良い匂いがするぅ!」


 「ちょっと! 夕飯食べたばっかでしょ!?」


 「ええ。ですが、確かに良い香りがします」


 「チョイチョイ、イブリーヌ様? 気持ちはわかりますが、今は駄目ですよぉ」


 「うん、だって、私達……」


 「そうだな、俺達今……」


 そして、イブリーヌを除く全員が、合わせた様に言う。


 『無一文だ(お金持ってない)から』


 そう、彼らは召喚されてからずっと王城の中で生活していた為、自分でお金を稼いだ事がないのだ。


 「そう、私達は無一文」


 「だから、店に入りたくても入れねぇ」


 「宿屋の人に、『夜食』って言って用意してもらったお弁当があるけど……」


 「これは、幸村君達への手土産なんだよね」


 「うぅ、それはわかっているのですが……」


 拠点までの道を頑張って進んではいるが、進めば進む程、良い匂いによる誘惑が強くなっていった。


 「だぁあ! 駄目だ! ここからはペースを早めるぞ!」


 鉄雄はそう叫ぶと、早足でその場を後にしようとした。


 だが、次の瞬間、


 「あ、危ない!」


 「へ?」


 ドンッ!


 「ウオッ!」


 慌てて進んだ為に、突然目の前に現れた人影に対応出来ず思いっきりぶつかり、鉄雄はその場に尻餅をついた。


 「す、すんません!」


 鉄雄はその状態のまますぐにぶつかった相手に謝罪すると、


 「いや、こちらこそすまない、大丈夫か……て、君達は……」


 「え?」


 ぶつかった相手を見て、クラスメイト達が「あっ!」と、小さく叫ぶと、


 「あ、あなたは!」


 と、イブリーヌも驚いた表情でその人物を見た。


 それは、彼らが見知った人物だった。

 

 

 

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