第96話 そして、「俺達」は今日も行く
今回はエピローグ的な話ですので、前回以上に短めです。
(本当に、色々あったなぁ)
ギルド総本部へと向かう途中で、春風がそんなことを考えながら歩いていると、
「どうしたの、ハル?」
と、リアナが横から尋ねてきた。
「ん? いや、レギオンを作る事を決めてから今日まで、色んなことがあったなぁって」
「ああ、確かにあったねぇ」
「特に驚いたのが、アリアさんだよぉ。まさか、レギオン名が決まってすぐ、長かった髪をバッサリ切ったんだから」
「うんうん。あれはびっくりしたよねぇ」
そう、実はレギオンの名前が決まってすぐに、アリア……否、アリシアが短剣を取り出し、春風達の目の前で自身の髪をバッサリと切ったのだ。本人曰く、
「断罪官としての私は、もう死んだのだから」
と、それまでの自分に別れを告げるという意味を込めたものだという。
しかし、その時に身につけた戦闘技術まで捨てるつもりはないそうで、現在、彼女は拠点を守るガードマン的な役割を担っている。
春風とリアナがその時のことを思い出していると、
「おーい、アーニキー!」
「ハル兄さーん、リアナ姉さーん!」
と、少し離れた位置でアデルとルーシーが呼んでいるのが見えた。
「行こっか、リアナ」
「うん!」
2人はすぐにアデル達の側に駆け寄った。
そして、ギルド総本部受け付け。
「すみません、仕事を受けにきました」
「わかりました。ただ今受けられるのは、こちらになります」
そう言って、受け付けの職員は春風達にいくつかの仕事を紹介した。
「それじゃあ、今日はこれとこれで」
春風はその中から2つの仕事を選んだ。
「はい、わかりました」
受け付けでのやり取りが終わると、春風達は総本部を出て、シャーサルの外に繋がる門に向かった。その後、門番のロナルドに挨拶すると、門を潜ってシャーサルの外に出た。
外に出ると、春風はリアナ達の方を向いて、
「よおしみんな、今日の仕事は、目当ての魔物を討伐しつつ、薬草の採取をする事だ。わかってると思うけど、決して無理はせず、みんなで帰る、これ、大事な事だからな」
「うん」
「ああ、わかってるよ」
「は、はい、頑張ります!」
3人の返事を確認した春風は「よし」と頷くと、右腕を突き上げて宣言する。
「ハンターレギオン『七色の綺羅星』、お仕事開始だぁ!」
『オオーッ!』
春風のその言葉に、リアナ達も右腕を突き上げて返事をするのだった。
これで、第6章は終了です。「第5章のその後の話」をテーマにしたので、短い話数になるかなと思っていたら、思った以上に長くなってしまいました。また、今回初めて登場した春風達のレギオンの名前ですが、「カッコ悪い」と感じたら申し訳ありません。
ともあれ、次回は本編をお休みして、暫くは新しい間章を書いていきますので、これからもよろしくお願いします。




