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7.ジークヴァルト〜 前世1 〜

ジークヴァルトsideの前世です

今日は兄上の婚約のお披露目会があり、(仮)婚約者のエミリアが来る。早く起きていつもより身支度に時間をかける。


俺はマデライン侯爵アルフレッド。俺は次男坊だから家は継がない。来年から騎士を目指し訓練所に入所予定だ。将来は分家を立上げ兄上を守る騎士になる。


身支度が終わりお披露目会場となる庭に出た。準備はほぼ終わり執事が最終チェックをしている。

俺はエミリアをエスコートする為に会場を確認しておく。


エミリアはマルラン王国女性に珍しく控え目で大人しい性格。自己主張が激しい他の女性から弾き出される事が多くよく見てあげないといけない。

人目が気になら無い所を確認してエミリアか疲れたら休ませてあげよう。


来賓客がそろそろ到着し庭に人が増え始めた。エミリアを迎えに行く為に入口に向かったらあっという間に令嬢達に囲まれた。群がる令嬢達の香水や化粧の匂いで気分か悪くなる。しかし紳士たるもの顔に出してはいけない。自慢では無いが俺はモテる。

っが嬉しくも何とも無い。エミリアに好かれればそれでいい。


令嬢達をかわしやっとエミリアを迎えに行く。

ジョージ兄にエスコートされエミリアが来た。


エミリアは今日も愛らしい。菫色のドレスは控えめなデザインでエミリアは良く似合っている。

そこへまた令嬢達がやって来て囲まれるとエミリアは拗ねた顔をしている。『可愛い…』ヤキモチをやいてくれ気持ちが高揚する。

「失礼。婚約者が来ましたので」

令嬢達に挨拶をしてエミリアの元へ走って行く。エミリアは穏やかに微笑む。彼女エミリアは兄上の挨拶したと言うので、兄上達が談笑するテーブルへ案内すると兄上はまだ御学友と談笑中だった。隣のテーブルでお茶を飲みながら兄上を待つ。

少ししたら従者がきて母上がお呼びとの事。エミリアも一緒に行こうと言ったが、兄上が話が終わりそうなのでこのまま待つと言われ、少し不安だったがエミリアを置いて母上の元へ急いだ。

母上の要件は母上のご学友がお見えになったらしくご挨拶するために呼んだらしい。伯爵家夫人でご子息も一緒だった。ご子息は俺の1つ年下で彼も嫡男で無い為、騎士を目指して訓練所に入所を目指しているそうだ。近い未来訓練所で一緒になるだろう。知り合いは多いに越した事ないので挨拶をし話をしてた。いいタイミングで失礼をし、一人きりにしたエミリアが心配で先ほどのテーブルへ急いだ。

遠くにエミリアが見えた。


「誰だあいつは!」


男とエミリアが話をしているがエミリアの様子がおかしい。確かに彼女は人見知りするがあんな風に顔に出したりしない。早歩きで近づくにつれてエミリアの表情の原因が分かった。

『あの男距離感がおかしい!』婚約者でも無いのに事あるごとに、エミリアの髪や手に触れている。非常識な奴だ!自分の婚約者に気安く触れる男に怒りを覚え気がつくと走っていた。


エミリア元に行きあの非常識な奴を殴ってやろうと思い男の顔を見て驚く。

マルラン王国の3大公爵家の中での広大な領地を持つイグラス家の子息ケイン様だ。確か兄上がエド兄とご学友だ。

エミリアが俺に気付くと安心した表情をする。取りあえずケイン様に失礼の無い様に適当な理由を着けてエミリアとその場を離れた。


人が少ない噴水の近くのベンチにエミリアをエスコートしているとエミリアは少し震えていて


「何かされた訳では無いけどあの方少し怖いわ…」


と呟く。珍しい…エミリアは人の悪口や愚痴は言った事が無い。この時言いようのない不安が押し寄せた。


ケイン・イグラス。彼が俺とエミリアの未来を脅かす人物になるとはこの時は思ってもみなかった。



この日の兄上の婚約お披露目会は無事終わりエミリアを見送り、不安な気持ちで兄上にイグラス家のケイン様について聞いてみた。


「ケイン殿の兄上が学友だがあまり交流は無いのでよく知らんが、一度弟が同じ年だと言う話をした記憶がある。確かケインはまだ(仮)婚約者がいないはず。中々気難しい性格で色んな令嬢を紹介されても首を縦に振らないと聞く。公爵様が男色ではないかと心配されていると噂になっている」


男色?そんな訳ない!エミリアに向けたあの視線は完全に男の目をしていた!嫌な予感を抱えながら暫くは平穏な日々を送っていた。

そしてお披露目会から5日ほど過ぎエミリアに会いに行った時変化が起こっていた。

不安げなエミリアの表情に一抹の不安を感じエミリアに心配事があるのか聞いてみた。


「実は、エドワード兄様の婚約お披露目会の翌日から、ケイン様から毎日お花が届いているんです。お父様にも相談したのですが従者にお断りするのは失礼になるから、次にケイン様にお会いした時にお断りしなさいと言われました」

「毎日か?」

「はい。毎日オレンジ色の薔薇が1輪届いています」

『オレンジ色…ん!ケインの瞳の色だ!』間違いなくケインはエミリアに惚れている。

俺の中にドス黒い感情が湧きあがる。


「エミリア!贈られた花はどうした!まさか部屋に飾っているのか!」

「そんな訳ないわ!サロンに飾っているの。お花に罪は無いもの…」


ケインの花がエミリアの部屋に飾られて居ない事に安堵する。申し訳無さそうにエミリアが続けて話す。


「ケイン様と関係あるか分からないけど、イグラス公爵家と親交のある侯爵家や伯爵家の令嬢からお茶会の招待状も急に増え始めて困っているの…」

「おじ様は何て言ってるんだい⁈」

「私が嫌なら行かなくていいと…今の所全て断っているわ」


不安そうなエミリアを優しく抱きしめて頬にキスをした。


「大丈夫だよ。エミリアは俺が守るから!」

「お願いね!アルフ!」


この後お茶をしながらエミリアとの時間を堪能してお互い嫌な事を暫し忘れたひと時となった。

お読みいただきありがとうございます。

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