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57.ストーカー

崎山さんの元カノから封書が…

「確か田沢さんが元カノが粘着質だって言ってた。もしかして崎山さんにストーキングしてるの?」


封入されていた紙は崎山さんも元カノこと百花さんのツーショット写真とベッドで上半身裸で寝ている崎山さんの恐らく事後の写真。

衝撃的な写真に流石に愛華には見せれない。しかしこのままほっておいて私に被害が来るのもなぁ…


とりあえず愛華には電話して事情を話すと


「崎山さんに正直に話した方がいいよ。恐らく咲を崎山さんに近付けたくなくてやってるから、崎山さんはストーキングされてるの知らないかも」

「そうだね。確か田沢さんが崎山さんは誠実だから疑問があったら答えてくれるって…ハニー君は知っていたのかなぁ?」

「有り得るね…知ってたら始めから対処しとけっちゅーの!」


何故か最終は田沢さんが悪者になって話しが終わった。丁度今日は水曜でいつも通りなら崎山さんか週末のお誘いが有るはず。

次会った時に聞いてみよう。

そう思っていたら早速崎山さんからメールが届く。土曜に少し離れた蕎麦が美味しい店にドライブがてら行かないかと誘われた。

行くと返事をして週末まで周辺に気をつけて過ごし約束の土曜になった。


待ち合わせは私の最寄駅の多々野駅前ロータリー。遠方だから待ち合わせも早い。9時にロータリーで待っていると眩しいくらい白い高級外車が来て窓を開けた崎山さんが爽やかな笑顔で挨拶してくれ助手席に乗り込む。


今日も男前な崎山さんだが、あの事後の写真が脳裏にチラつき落ち着かない。

奥様を亡くし”女性と楽しく潤いのある人生”って言っていたけど、それは体の方も含まれているんだと改めて認識した。

初めはジークさんを忘れる辛さを紛らわすBFのつもりだった。ティーンみたいにうぶでも無いのにそこまで考えて無く、ただ会って遊ぶのが楽しかっただけだ。正直Hするなんて想像も出来ないし多分無理だ。

すると私の様子がおかしいのに気付いた崎山さんが


「今は2人きりです。どんな話も誰も聞いていないですよ」

「崎山さん…」


崎山さんはいつも私が話しやすい様に話を振ってくれる。その気遣いが悪い人で無いのがわかる。


「実は…」


安全運転をしながら私の辿々しい話を相槌を打ちながら最後まで聴いてくれた。流石に事後の写真の事を話すのは勇気がいり話せなかった。


「今朝会った時から様子がおかしいと思ったらそういう事でしたか…」

「驚かれないのですか?」

「やはり法的処置が必要ですね」

「!」


この後崎山さんは包み隠さず元カノの山野百花さんの話をしてくれた。

結論から言うと2年前に半年ほど付き合ったひとまわり年下の女性。崎山さんは初めから亡くなった奥さま以外愛せないのと、結婚する気はなく大人の付き合いだと何度も言い、それでもいいとアプローチして来た彼女に根負けして付き合ったそうだ。


「彼女は若く綺麗で察しの通り体の相性も良く良好な関係を築いてきました。しかし…」


百花さんは崎山さんの経営する会社が事業拡大したのと、大手企業との業務提携する事を知り、結婚を望む様になったらしい。徐々に結婚を仄めかしその内行動に出るようになり、挙げ句の果ては既成事実を作る為にHする時はゴムに穴を開けたりし、最後は会社に乗り込んでくる様になったそうだ。我慢の限界が来た崎山さんは弁護士を立ち合わせ別れ話をし、手切金を払い別れたそうだ。その後暫くは接触は無く落ち着いた頃に知人の紹介で知り合った女性と付き合う事になったが、その女性の元へ私も同じ様な封書が送られた。その彼女は無視をしていたが…


「最後は彼女の職場まで行き迷惑をかけて警察のお世話になったんです。それが原因でその彼女と別れました。そして私への接近禁止命令が出て、次何かすれば訴えてを起こすと書面で警告してあったんです」

「…」

「恐らく私の裸の写真が送られて来たのでは?」

「!」


まさか崎山さんかその話を振られると思って無くて顔が赤くなってしまう。

運転中なのに私を手を握る崎山さん。そして


「やはり貴女は可愛い」


何も言えずに俯いてしまった。

そして気がつくと目的のお店についていた。


「折角来たのだから美味しいお蕎麦を食べ、その後ゆっくり話しましょう」

「はい」


こうしてちゃんと味わえるか分からないがお蕎麦をいただく事にした。

食事中は普通に楽しく食事と会話を楽しみ、車代の代わりに私が支払いをした。

車に乗り少し走った山の中腹に有るバーブ園に行き、園内の東屋でゆっくり話をする事になった。


妙に落ち着いている崎山さんに違和感を感じながら、崎山さんに買っていただいたカフェラテを飲みながら話を始める。百花さんの話をするのだと思っていたら


「咲さんは転生してから何度目ですか?」

「はぁ?」


崎山さんの発言が意味不明で固まってしまう。あまりに間抜けな顔をして固まる私を見て小さく笑った崎山さんが私の左手を取り指で痣を撫でて


佐奈さな以外の巫女の痣は初めて見ました」

「へ?」


変な顔をした私を見て今度は大笑いした崎山さんは話を続ける。


「私も妻の佐那も”時渡の扉”をくぐり転生した巫女と騎士なんです」

「…ウソ!」


とんでもない発言にフリーズして暫く思考回路がショートしてしまう。

私の再起動まで手を握り待ってくれている崎山さん。やっと起動し…


「崎山さんの前世はマルラル王国の住人だったんですか⁈」

「マルラル王国…懐かしい響きですね」


この後崎山さんの前世の話をしてくれた。2人は王城に仕える文官と侍女だったらしく、巫女と騎士に選ばれこの日本に転生し、今は2度目の転生らしい。

2人は2度とも生まれた時から近くに居て、物心ついた時からお互い好きだったそうだ。

そして生まれた時は前世の記憶は無く、初めて体を一つにした時に思い出したそうだ。

そして…


「2度とも生まれつき痣があり、何をしても消えなかった。そして愛し合い結ばれた時に前世を思い出しそして痣は消えた」

「…」


同じ転生者なのに全く違う事に戸惑っていたら


「痣がまだ有ると言うことは亡くなられた夫は”騎士”では無かったという事になります」

「…」


まさかの展開に元カノの話はすっ飛んでしまった。前世の話は愛華にもして無いから相談も出来ないし、明日絶対結果を聞く為に連絡…いや愛華なら突撃してして来そうだ。

今は前世の話より愛華には何て話すかに頭を使う。手を繋いだままの崎山さんが反対の手でコーヒーを飲み私に笑みを向けて


「田沢君に聞いていた最近別れた男性が”本当の騎士”では無いですか?」

「!」

「騎士になった時に枢機卿から渡の儀式はイレギュラーな事が起こる事があると聞きました。しかし巫女と騎士はどんな障害が有っても必ず結ばれるそうです。騎士は激愛する巫女を諦めません。私も騎士だから分かります」

「そうなんですか?」

「はい。だから諦めて下さい。貴女の騎士は必ず貴女の元に来ますから」

「…」


複雑な気持ちになりまた心が波立だした。

泣きそうな顔をしていたら崎山さんが握っていた手を引き抱きしめた。


「崎山さん⁈」

「許可もなく抱きしめた事を許して下さい。泣きそうなお顔されていたので…」


崎山さんの抱擁はジークさんより頼りないけど温かくて安心する。


「はぁ…やはり貴女は”巫女”ですね。貴女は心穏やかにしてくれる。佐那を抱きしめた感じに似ている…」

「崎山さん…えっと…」


赤子をあやす様に背中を優しく撫でた崎山さんさんが


「貴女の騎士が来るまで貴女の身と心を守りましょう。その対価に巫女の安らぎを与えて下さい。勿論貴女が危惧している様な体の関係は求めません。貴女が求めるならやぶさかでは無いですがね」

「いや!無い無い!」

「それは残念だ」


私が気にしていた”体の関係”も解決して安心し落ち着いたのになかなか解放してくれない崎山さんに困って来たら、崎山さんのスマホが鳴った。

やっと解放されて電話に出た崎山さんは立ち上がり離れていった。

情報過多で何が何だか分からない私。どうすんの?これから!

目の前の山に向かって叫びたい気分だ。

少しすると崎山さんが戻ってきて、目の前に座り悪い顔をして


「全て片付きましたから安心して下さい」

「片付いた?」

「私が動く前に正義の味方が出動した様です。敵にしたく無いから大人しくしておきますよ」

「正義の味方?」


それから何度聞いても話してくれない崎山さん。元カノは法的処置を取ったらしく、もう絡んで来ない事だけは話してくれた。


まだまだ疑問だらけの私をバーブ園の売店に連れて行き、ラベンダーのハンドクリームを買ってくれた。物で誤魔化されないと意気込んでいたが、そのハンドクリームでハンドマッサージをしてもらいリラックスし、崎山さんの車で帰路に着いた。


家まで送ると言ってくれたが、まだ家を教える気にならず多々野駅前で下ろしてもらう。別れ際にお礼言った時にふと思い…


「崎山さん。私がいつ巫女だと気付いたんですか?」

「田沢君から新しい企画のイメージに合う女性がいると聞き、その女性の話を聞いたのです。その女性の為人に心惹かれ、丁度彼女がいなかったし紹介してもらう様に、田沢君にお願いしたんですよ。そして初めてお会いした食事の時に巫女の痣を見て…」

「?」

「貴女の手を取った時に痣から懐かしい温もりを感じ認識した次第です」

「巫女の手から何か放出してるんですかね⁈」


すると楽しそうに笑い出し崎山さんが


「貴女は本当に可愛い!」

「やっぱり面白がっている!」

「また来週に!」


こうして波乱のデート?を終え足取り重く家に帰る。帰り道今日あった事を一所懸命整理するが、情報が多くて無理だと諦め、明日愛華が連絡してくるまでに考える事にして早目に休んだ。


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