『バラード第二番』
6
家に着いたのは予想より早かった。実際、少しは助けてやろうと長話でも聞くつもりだった。スーツを脱ぎすててシャワーをとりあえず浴びてみた。体は綺麗になっても、心は淀んだままだった。寝室に行き、クロゼットの隅にある箱を取り出した。前に開いたのはいつだっただろう。埃は手形のようにまたうっすらと積もっていた。開く前に一息深呼吸した。そして一分間くらい見積もって頭を下げたまま沈黙した。目を微かに閉じて。一分なのかどうかはどうでも良かった。この箱を開けるのに必要な儀式なのだ。
中に入っていたのは日記帳。何回数えても十八冊で一冊も増えたりしない。増えるはずもないと自分を嘲笑ったけど、増えてほしいと願いながらいつも数えている。大事そうに一冊だけ取り出してみた。中身はもう暗記できるほどだったが、子供ながらの文字を見てみるといつも違う感情が沸き上がる。今日は少し軽い気持ちだった。ありがとう。いつも残っていてくれて。ごめんなさい。残せてあげられなくって。
そう囁いてみた。今日もお返事は帰ってこない。
明日の事を考えて早めに寝床に就いたが、眠れそうにない。引き出しの中から睡眠薬を取り出した。この前も全く同じ流れだった。シャワー、箱、睡眠薬。そのような夜はいつも星が余計に明るく輝いていた。窓の外に目を遣ると、今日も月の周りを輝いている。前は三つだった気がしたが、今日は五つに増えている。二十分もすれば会いに行けるかもしれない。わくわく、怖がりながら、眠りに落ちた。
おやすみなさい。
7
本番の発表会が終わって控室に戻った。
「おめでとう!大成功だったよ」
村上が満面の笑みで入ってきた。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
栖原と小塚は頭を下げた。
「良かったです。栖原さんがプレゼンをリードしていただいたので緊張することなく進められました」
「いえいえ、こちらこそ素晴らしい展示資料で進めやすかったです。村上さんも最後まで真剣に議論していただいてありがとうございます」
発表の直前で村上との協議で発表順番をもう一度変換した。素早い対応と同行のスタッフの努力でより分かりやすい発表ができた。
「いや、成功したのは君たち二人とチームの成績だ。今日はゆっくりして明日は祝賀会だ」
「ありがとうございます」
「今日はこれから自由行動ですか」
小塚が突然聞き出した。確かにこの後に何もイベントは入っていないはず。
「え、これから、えっと、そうだな、ホテルには早めに戻ってこれからの事をいくつか確認したいけど、三、四時間くらいは自由行動でいいだろう」
「ありがとうございます」
そっちの方がありがたかったのか。
「そうだなぁー、みんなにもそう伝えておいてくれ、遠出もそう多くなかろう。時間は少ないが、ちょっとでも楽しんでくれたら」
「分かりました。連絡しておきます」
「じゃ、自由に出かけてくれていいよ」
と言って村上は控室から出ていった。部屋には同行スタッフの一部と本社の人間と開発組の調整技術スタッフがいる。あれこれで二、三十人はいるだろう。
「あの、言いにくいのですが、」
同い年である一方、仕事の時はなぜかお互い敬語で話している。
「はい。何か」
大仕事が終わって声も軽く弾んでいた。ちょっと浮かれないよう自分に言い聞かせた。
そんな声を聞いて緊張しなくなったのか、
「一緒にお食事などどうです?」
序詞なく言ってきた。
急に言われた上、この場でどうしてと思いながら、
「え、ええっと」
「ご迷惑ならあれですけど……」
「い、いえ、お世話になりましたので、もしよかったら、ご一緒させていただきます」
その場で失礼にならない精一杯の対応をした。その気があればいつでも前もって言ってくれればいいのに。
「良かったです。急で断られるかと心配しました」
「断るだなんて、お世話になりましたので」
この時確実に二人はただの同僚だった。その空気のおかげで逆にその誘いは誰からも注目されなかった。
「では一時間後にここでお待ちしてます」
「え、一時間後?」
「あ、ちょっと発表が伸びるかも知れないと思って予約入れましたので」
予約、と思って渡された小さなメモには有名レストランの名前が書かれていた。そういう事情に疎い自分でもテレビなどで聞いたことがあって、確かに紹介してたリポーターは予約一か月待ちだなどと言っていた事を思い出した。
「こんな場所で、」
続きが出てこない。その名前にただただびっくりしていた。
「立派なお仕事に似合う場所にと思って」
一緒に頑張ってきたけど、このような形は全く想像できなかった。なんだか違和感を感じた。明日に祝賀会がある事は二人にだけ村上から前もって言われたのだ。
「明日には、」
また中途半端な言葉になってしまった。
「個人的にです」
これ以上聞くことは無いだろう。
「すみません、お気遣いありがとうございます」
一応仕事上では小塚が先輩である。
「じゃ、これで一旦」
と彼女は出ていった。手に握ったメモの触感はただのメモじゃなかった。これは丁寧に用意されていた物だった。さらに詳しく見てみると万年筆で書かれてある。そんな洒落たことをするのはさすが宣伝だと思ったのはその時だけだった。
「お疲れっす!」
技術組の人間は荷物の後片付けを終えたのか、みんな奥から出て来た。
「お疲れ様です。夕時までは自由時間ですから」
そう告げてから部屋から出ていった。こんな場所では落ち着けない。
「おう、どこに行こうか。」
「酒だ酒!」
「そんなもんホテルでも飲めるじゃねぇーか」
「誰か知らないのか、案内しろよ!」
廊下で中の騒ぎが漏れて聞こえてきた。自分はそんな事に悩まされなくてもよくなった。一時間くらいどこでだって潰せるだろう。ここからレストランまでの移動も時間がかかる。
スマートフォンのアプリで調べてみたら、そのレストランは会議場からホテルと逆方向にあった。人目を避けたのだろう。ここから歩いて二十五分、今から一息すれば向かう時ごろだ。
十五分前には着きたいから、と計算するとそれほど時間が残っていなかった。早速向かうことにした。知らない道を歩くのはいつぶりの事だろう。あっちこっちに掛かっている見知らない看板が目を刺激する。夕暮れ時とはいえ、大都市の空気は地元とは違う。小さい頃このような場所を何度憧れたことか数え切れないが、今は全く興味を無くした。なぜかは知っていた。許されていない気がしているのだ。あの場所から離れる事が。
歩きながらこんな事を考えている時、突然ふと別の事が思いついた。こんな改まったお誘いはもしや。だとすると恐ろしい事が起こるに違いない。どうしよう。断り文句を探し始めたが時間を確認すると、さほどの猶予も無くなってしまった。気づくと店の前で先と同じ装いだが、なんだか雰囲気の違う小塚が立っていた。
「すみません、遅くなりまして、」
遅くっと言っても十五分以上余裕はある、彼女の方が早すぎたと言いたかった。
「いえいえ、着いたばかりですので」
早速二人して店内に入った。
「先日予約してます小塚です」
「小塚遥香様でございますね、お二人様で、こちらへどうぞ」
と丁寧に案内された先はガラス側の二人席だった。空はもう色合いを失せ、人工照明に飾られた建物絵巻が目の前に広げられていた。こんな風景を小さいごろ夢の中で描いたことがあった。
「ごゆっくりお楽しみくださいませ、では失礼いたします」
という事は全ては用意されているようだ。
「ありがとう、急に来てもらえて」
「いえいえ、こちらこそまさかこんな用意までいただいて、」
「今日はゆっくりしましょう」
彼女の言い方は先から気になる。そして今、メモとこの雰囲気が重なり、心に抱いた恐れが現実になるかも知れないとヒヤヒヤしてきた。
「お疲れ様です」
シャンパンでまずは二人だけのささやかな祝賀。
「上手く進めて良かったね」
「ええ」
周りも控えめにお食事を楽しんでいる。落ち着いた雰囲気だ。ピアノはショパンの『バラード第一番』だった。CDで聞いたことがある。ただ、場所に合わせて一部編曲されたみたいだった。そんなつなぎ方ではなかったのかもしれない。
照明は手元のお料理が見えるくらいに絞られていて、必要以上に光ることを避けて配慮された感じがした。ドアの外からすでに中はあまり見えない。
大きなグランドピアノで奏者が控えめに演奏している。ただし、この曲は確かに激しい持ち上がりがあった、CDを初めて聞いたときの事を思い出した。どうするんだろう。
「今日はそれだけではなく、えっと」
「何か」
聞く調子を極端に軽く抑えて、音量をいつもよりも抑えた。ピアノの発する声で消えない程度に聞いてみた。
ちょうどピアノの演奏が最も抑えた場面にきて、ほぼ音が聞こえない単調な反復小節に来た時に、
「付き合ってもらえませんか」
そのあとピアノはこの場の状況を考えずに、盛り上がりを見せ、飛び跳ねるような運指で跳躍音のオンパレードに入っていった。ここでは話しても聞こえないだろう。
「すみません急に」
再び音符は嬰音の下がりで激しく放たれていった。そして待っても次の音が聞こえなくなった。
「あの、」
僕はためらって何も言えなくなった。
その時、次の曲が始まった。ショパンの『バラード第二番』。こういう事かと思いながら次のタイミングを探した。その間は手元のお料理に向き合うことにして失礼ながら待たせることにした。
曲は少しだけ上り坂の時に、
「僕はダメなんですよ」
彼女は曲の事なんか全く考えていなかったから、聞き返す時はちょうど感情移入の激しいパートに移った時だった。ピアノの跳ね上がり方はお食事に少し似合わなくなってくる。
彼女の言う事を正しく聞き取りたかったから、何か言ってきたようだけど、黙ったままにした。
単調な終焉をいったん迎えてメインメロディーに戻った時に聞き返した。
そのあとはしばらく話せそうだと知っていたから、
「あの、何かおっしゃいました?」
彼女は少し不満そうに、
「なぜなんです、お付き合いしている方がいらっしゃるとでも?」
「僕はお付き合いができないかと思います」
「立ち入った話じゃなければ理由を教えてください」
すでに立ち入った話になっていることを彼女は気づかなかった。
二、三秒ためらって、曲にもう猶予がないと悟って、
「僕は、ゲイなんですよ」
言った瞬間、再び音符は上り坂を走り始めた。
彼女は少し前のめりになった体を元に戻すことができずに、口を辛うじて開いた。
「そう、なんです、か」
つながらなかった。
悲壮なパートに入った後、僕はそのまま黙っていることにした。お互いに時間が必要だ。
二回ほど似たメロディーが続き、雑乱に聞こえるタッチが続く。しかし、調子は明らかに下り調子だった。どんどん半音ずつ音が下がっていく。チャップリン映画に出てきそうなバックミュージックだった。これは遊びであって、現実ではない。全ては風刺であって、希望ではない。全ては諦めであって、積極ではない。全ては過去であって、今ではない。
曲の進行は再び落ち着くようになっては再び激高する。ジェットコースターの気分だった。
ド音の連打が始まった。これでやっと地上へと連れて戻された。
「だからです。もっとも聞かれなければお教えしませんが、」
「失礼しました」
もう遅くはないか。
『バラード第三番』は聞いたことが無かったが、次に来るであろうと思いながら二人は食事を続けていた。
最初は穏やかな春一番だった。今日の気温みたいな肌触りがする。実に聞き心地がいい。
「話題を変えませんか」
ちょうど強いタッチとぶつかって消えかかっていたが、聞き取れたと思う。
「そうですね」
口調に少し淋しさが聞き取れた。
「これからも一緒に働けるだろうかね」
僕から話しかけてみた。
「どうですかね、再びご一緒できたらいいんですけど」
春陽気が再び吹き込まれる。お互いの顔のシルエットは見えていたが卓上の照明に工夫されて見え隠れする。彼女はそこまで考えたとすればと恐ろしい。
「そうですか。もう二度と」
彼女は急に遮った。言いたい事は分かったらしい。
「そんな事は無いんですよ。関係ありません」
その後音符の振動がわずかに伝わってくるほど春嵐が吹き荒れた。春はそんな季節だなと感じながら雨を想像してみた。この曲は何を書いていたものだったっけ。
春という季節は天気が上下するものだ。そんな起伏に載せられて二人は先ほどと変わらぬペースで食事を口に運ぶ。軽快なパートと重厚なパートは食欲に関係すると言われているらしいが、そんな素振りが見えない二人だった。
「皆さんそうおっしゃるんです」
「初めてではないんですよねということは」
「そうですよ」
「みなさんはどんなご様子?」
この話を避けたくともその柱から離れずにぐるぐるし始めた。初めて経験することではないが、もはや煩わしさを感じる。
「みなさんはそれぞれですよそりゃ」
もう上下関係などどうでもよくなった。というか配慮していられなかった。ただの同い年の彼女として接することにしか今心の余裕はない。
「私は失礼でしょうか?」
「いえ。全然です。もっと激しい方もいます」
穏やかに滑り込まれる曲の結末は素っ気なかった。テーブルの周りはまた静まり返った。フォークの音が微かに背中から聞こえてくる気がした。
「今まで言われたことがなかったのでどうすればいいのか」
「結構ニュースで見るようになったでしょ」
「最近はしばしば言われますね。ただ、全く実感が無くって」
「日本では様々な調査で全体の約一割前後が僕みたいな様々な形の性を持っている事が分かっているんです」
何回か経験したことがあったので、知識を少し持ち合わせていた。
「世界では近年様々な啓発活動が盛んになりましたよ。日本でも言われ始めたでしょ」
「でも栖原さんは初めてですね」
僕が初めてなのははっきりと言われた人であって、初めて会った人ではないはずだ。
「カミングアウトは初めてでしょうね」
「ということはみなさん結構隠されるんですか」
「そうです。差別や社会的な障害を感じて隠す人が残念ながら今は多数派です」
「私は何とも思っていません。安心してくださいね」
「本当にそうお思いなら良かったです」
「理解されない苦しみはあたしなりにも持ってます」
「そうですか」
流すことにした。
「人それぞれなんですよね本当に」
「そうみたいですよ。宗教ではないけど、一人はただ一人みたいですね」
一人はただ一人、そう自分に言い聞かせてきた文句でもある。言ってみたものの恥ずかしかった。
軽快な明るい振動が空気から伝わってきた。なぜか心地が良かった。
「良かったらあたしの事も聞きます?」
交換条件みたいで嫌だった。
「いえ、気にすることはないんですよ」
「そうですか」
先ほどと違った、落ち着いたおしとやかな淋しさがあった。奥まった雰囲気。
「ええ。本当に光栄にそのお話の相手に選ばれるになってもそれは別の日に。今日はお腹いっぱいでしょ」
「分かりました。じゃまた別の日に」
「そうしましょ」
そのあと体の斜め前にあるグラスを手にして彼女の方に少しだけ差し出した。
彼女も笑みを浮かべてグラスを口につけた。ほんの少しだけ。
横のガラスから大都会の夜景がまた様変わりしている。今日の星の数は少ない。満月は先日だったから今日は下弦なのか。
知らない間に時間は会話とともに過ぎていった。
怖くないと言えば嘘になる。時間が進むこと、会話が口から出てゆくこと。そしてそれらが目に見えずに共に体の外で消えてゆくこと。このピアノの演奏に載せて。
曲は『バラード』の繰り返しであった。あれこれ三十分以上は経つ計算になる。そんな事を思いながら失礼だなと感じた。
今まで口にしてきたお料理のお味に全く集中できないでいたのだ。このお店にとってお客様の事情などはどうにもできないのだ。お客様にはお味を確かめる義務があるのだ。ここはファミリーレストランではない。もちろん、どこの食べ物も心を込めて作られていると信じたい、信じている。
彼女はこの曲の繰り返しが気づいているのだろうか、僕は次の子羊に手を伸ばしはじめた。
お料理はこれからがメインになるみたい。お味が徐々に濃い目になっていく。ここで照明は一段とゆっくりではあるが切り替わった。ここにも本当の夜が訪れるのであろう。
彼女のチョイスが良かったのか、重たい話にも、楽しいお話にも、お料理が合わせてくれるように準備されていた。この気持ちで自分なりな違った味わいが感じ取れる。
ちょっと苦めのコショウの香ばしさと子羊肉の独特の弾力と舌触り。中はレアの感触がした。ハーブはここで登場。噛みごたえは十分。口を持て余さないようにと考えられていると思いたい。
彼女の計算は上手すぎた。
聞き覚えのある旋律の中、彼女も黙ってお食事を楽しんでくれているのだろうか。
「その、」
沈黙を破ってみた。
「はい」
「明日の祝賀会のあと、お時間いただけます?」
「ええ、何もなかったんですよね確かに」
「今日のお返しにと言ったらお粗末ですが、お時間いただければと思って」
「大丈夫ですよ。でも、今日の明日で」
彼女は様々な事を瞬時に感じたみたい。頭をすごい速さで回転させている感じがした。目尻に力を感じた。
「だからどうしてもお粗末にはなってしまいますが、でもぜひこのタイミングにと思って、」
今後それぞれの配属先は決まっていないのだ。
「このタイミングで良ければ、ぜひまたご一緒に」
「ありがとうございます」
母奥は自然と口角を吊り上げた。目尻が長く引っ張られている。口の中はまだ羊肉の香りが充満していて鼻腔を突き抜けた。
何をしようかまだ決めていなかったが、とりあえず約束は取り付けておいた。
「いいえとんでもない。こちらこそ」
そのあとのお料理には味蕾を傾けてあげることができた。心の中にはハテナマークがついたままだったが、無視しておくことにした。初めての事ではないと言い聞かせて。
デザートにはチョコレートが入っていた。ほろ苦いその風味は男女二人の心中少なくとも片方を表現している。
彼女がそのデザートを食べる時は少し眉間を寄せた。
「お嫌いですか、苦めのチョコレート」
「いいえ、好きですよ。ただそんなに苦いとは見た目から思えなくって」
そういう事だったのか。自分もそのほろ苦いチョコレートでありたい。どうだろう。
「楽しかったです色々とお味を楽しめて」
彼女は自分をお料理に集中させた。
「ええ、今日はありがとうございます」
楽しかったとは言いたくなかった。楽しくはなかった。ほろ苦い。でも、嫌いではない。
「じゃ、ホテルまでご一緒しますね」
彼女が言い出した。
「はい」
そう答える上に何か一言添えたかったけど、言葉が出てこない。
そのレストランから出るとき、ちょうど『バラード第二番』が再び終わった。
夜中の大都会を彼女と一緒に歩く時も『バラード』のピアノ曲が頭から離れなかった。余韻ではない。それはイメージがいい方だ。
一緒に歩いて帰る途中、彼女が一言だけ聞いてきた。
「これからもしばらく会えませんか」
彼女の精一杯のフォローだと思って、
「僕なんかで良ければいくらでもお付き合いします」
彼女はその意味を分かってくれたようだ。