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夢の跡  作者: 常務
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海の底に浸り 珊瑚の数を数え

空の上に昇り 雲の厚さを測る

身より落つる雫の池

見知らぬうちに目に余る


森の中に吸われ 落葉の脈絡を写し

山の上に参り 古石の凸凹を眺む

身より垂るる思いの巻

読めぬうちに脳裏へ()


南柯之夢 胡蝶之舞

ただ月のみぞ知るや

我が景迹(きょうじゃく)

ただ虫のみぞ聞くや

我が祝詞


往生の願い 友の血

額が地に突き 口ずさみ


来世の望み 友の涙

膝が地へ向き 鼻すする


四面楚歌 背水之陣

高尚ならん戦で

血眼に


邯鄲之歩 蛇行匍匐

姑息ならん道を

しなやかに


さあ叩け 大口

さあ隠せ 大嘘


痛み 沁みらんや

悔み 悟らんや

  ―タケ シモバヤシ

 

記者にこの歌詞の作成過程を聞かれたシモバヤシは思わず答えた。

「ある先輩の茨の道をイメージさせていただきました」

茨の道についてさらに掘り下げられると、

「彼の学生時代の出来事です。これ以上はお答えできません」

インタビュー会場を後にした彼は田中に電話をした。

「来週の水曜日、聞いてくれ」


その一週間後、記事にはそう書かれていた。

「新曲を作詞されたシモバヤシさんは歌詞についてこう語った。『これは僕の先輩の不遇の学校生活を中心に据えて書いた物です。作曲は『学舎』と同じ榊さんにお願いしました。彼女とも学友として一緒に過ごしてきましたので、彼女も昔話を思い出しながら楽譜に落としたのではないかと思います』そしてシモバヤシさんは匿名として先輩にメッセージを送られた。『お久しぶりです。お元気ですか。あなたは強い人です。あなたが様々な選択を目の前にして迷われた事を想像すると心がとても痛みます。でもどうかこの人生に後悔しないでください。あなたはまた他の誰かの人生を作ったのですから』」


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